「次世代広告進化論」は、サイバーエージェントの須田伸さんの書籍です。
献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
この本では須田さんならではの広告についての新しい視点だけでなく、昨年末に話題になったFTCの「推奨広告と証言広告の使用に関するガイド」という新しい広告規制についても詳細に解説されていますので、広告やクチコミマーケティングに携わる方には参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■2009年12月1日FTCが「推奨広告と証言広告の使用に関するガイド」を策定
クチコミ広告というよりは、むしろ「すべての推奨広告に関する規約改訂」と理解するべきでしょう
■メーカーから「制作協力金」といった名目で、出版社や放送局に支払われたお金を使ってメディアが取材したり、記事や番組を作ったりといった、以前からある「(広告と明記されていない)PR的コンテンツ」も、金銭、あるいは金銭と同等物のやりとりがあった場合には「広告」であり、罰則の対象になる可能性があるとしています。
■「個人の感想であり、商品の効能を確約するものではありません」という断り書きをいれさえすれば、「推奨広告」における多少オーバーな表現も免責されると言う「避難所」は、「除去」されるべきと明確に断定している
■「今回の規約改定が禁止しているのはあくまで「人々をだます表現」であり「人々をだます表現」は憲法によって保護されない」(FTC)
■新聞社の多くが販売収入と広告収入の両方を落としている中で、「なんだか、ウェブへのバイアスがかかっているのでは」と感じる新聞記事が目立つように成っている気がするのです。
■編集されない自分を持つ意味
著名人が熱心にブログを書く大きな理由は「ブログ記事は他人に編集されることがない」ということにあります。
■Twitterは、人々の関心や行動様式が拡散する中で、同じコンテンツを同時に楽しむことの価値を向上させる、いわば「タイムシフト・ビーター」の役割を果たしていく可能性が高い
■これまでの広告の仕組みは「toC」消費者に向かって、広告メッセージを発信する。受け手である消費者に向けてメッセージを伝達すると言うものです。
これにたいして、ソーシャルメディアにおけるマーケティングは、従来の「toC」ではなく「withC」になります。言い換えればメッセージを広めたりだったり、ブランドの強化だったり、さまざまなマーケティングプロセスに消費者を巻き込むと言うことです。
■ユーザーレビューを読んでいれば、ヒット映画を作れるかといば、そんなわけはありません。
■アイデアのつくり方
・課題に対する資料を集める。考える。ブレストする
・いったん忘れて、身体活動を行う
・浮かび上がってきたアイデアを、しっかりキャッチする
■「何でもいいから言えよ」といって、ようやく新人が出したアイデアを「それはないな」の一言で片づける。場の空気をネガティブなものにし、若い芽を摘むのに、これくらい簡単な方法はありません。
■伝播するストーリーの3つの条件
・シンプルであること
・説得力があること
・伝えたくなること
■サウンドバイトポリティックス
なぜ、パンチラインが必要かといえば、メディアが、あるいは歴史家が、ある事件や現象を後世に伝えるために、あまたの情報の中から、「これだ!」という象徴的なエッセンスを見つけ出し、これを引用して広める作業を行うからです。
みんなが「すべて」をみる場面においては、「サウンドバイトポリティックス」は不要です。
■「アンチジャイアンツも実は巨人ファン」と言いますが、「アンチミシュラン」が多数出現したことで、ミシュランのブームは美食界という小さなコミュニティを超えて広く大勢の人々の話題となったと見ています。
■広告はお祭りから日常にシフトする
■多くの社員がブログを書いていたり、SNSで活発に発言をするようになっている現在、社内における「インナーブランディング」は、企業文化や商品・サービスを社会へ広げていく上での重要なゲートウェイになるはずです
■オバマ氏は、本格的な選挙戦に突入する前に、カリフォルニアのグーグル本社で講演して、その際に「私は、感覚に頼る大統領選挙をやりたんくない。事実やデータに基づく選挙戦をやりたい。だから、エンジニアの皆さんの助けが必要だ」と呼びかけたのだそうです。
次世代広告進化論 ソフトバンククリエイティブ 2010-03-24 by G-Tools |