「マイクロソフトでは出会えなかった天職」は、ルーム・トゥ・リードの発案者であるソーシャルアントレプレナーのジョン・ウッドが書いた書籍です。
以前から気になっていたのですが、「チェンジメーカー」や「グラミンフォンという奇跡」に影響されてようやく買ってみたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
正直なところを言うと、この本のタイトルがあまり好きになれなかったので今まで食わず嫌いで読んでなかったのですが、読んでみて、何故いままで読もうとしなかったのか後悔している自分がいます。
この本で描かれているのは、いわゆるお涙頂戴の寄付の世界ではなく、ボランティア活動をいかに永続させるためにビジネスとして運用するかと言うマイクロソフト出身者ならではの社会起業論。
個人的には、どうしても24時間テレビ的な年に一回だけボランティア精神を思い出すと言うアプローチに違和感を感じつつ、Blog Action Dayのような年一回の活動に参加しつつ、という感じで混乱していたのですが、この本にその違和感に対する答えを見つけた気がします。
社会起業を目指している人だけでなく、自分が何のために働いているのか忘れがちという普通のビジネスマンこそ、是非一度読んでみると良い本だと思います。
【読書メモ】
■鍵をかけてしまってある学校の本棚
「本は貴重なのです」「学校にもほとんどありませんから、子どもたちが傷めてしまうのが怖いのです」
■「あなたはきっと、本を持って帰ってきてくださると信じています」
■ダライ・ラマによれば、僕たちのいちばん基本的な義務は、この地球上で自分たちより「持っていない」人々を助けることだ
■最初に驚いたのは、世界で推計8億5000万人が、基本的な読み書きもできないこと
■「ポーターは、旅行業界の歴史を通じて、レンタカーを洗車した人はだれもいないと言いました。所有している意識がなければ、長期的なメンテナンスはしないのです。」
■モノを売るたびに損を出していたら、そのビジネスはいずれ行き詰まるだろう。多くの慈善活動は資金繰りに苦労しているが、見て見ぬふりをして、救世主が現れて助けてくれるだろうと思っている。これは悲劇を生むパターンだ。
■寄付者と合う前に確認する5つのポイント
・お金のある寄付者は、教育が自分の人生に役に立ったという経験をしている可能性が高い
・寄付がもたらす直接の効果がわかる。
・運営コストは低く抑えている。
・情熱を売り込む。
・人は、人生により多くの意味を求めている。
■泣き落とし作戦
哀れみを利用して寄付者に懇願することは、貧困者をおとしめることになる。
罪悪感をマーケティングに利用してはならない
■1995年にジェフ・ベゾスが会社を設立したとき、一冊も本を売らないうちから、ホームページで「地球最大の書店」と宣言していた
■「僕たちは世界でいちばん裕福な国で、コカ・コーラのような製品を世界中の人に売りたい、ウォルマートのような低価格を支える低賃金労働者の恩恵にあずかりたいなどと思っている。でも、そのお返しはあまりしていない。僕たちは安上がりにグローバル化を進めてきた。たとえば、この10年間にアフガニスタンに学校を作るべきだった。あの国の教育制度を確立する努力をしていれば、テロリストはいまより少なくなっていたはずだ」
■献身的な労働には、優れた労働環境で報いるべきだ
■ルーム・トゥ・リードとグラミン銀行
どちらの組織も、むずかしいが少し革新的だと思われることを始めた。
どちらの組織も、説得力のある言葉で大義を語れる優秀で力強いリーダーがいる。
どちらの組織も、助けようとしている人たちが、自分たちでも自分を助けることを求めている。
■「それはできないと言う人は、それをしている人を批判するべきではない」
■世界を変える手助けをするために自分の人生を少し変えてみようと思っているなら、僕の心からのアドバイスを一つ----考えることに時間をかけすぎず、飛び込んでみること。
■いまの自分以外になろうと望まず、完璧な自分であるように努めなさい(聖フランシスコ・サレジオ)
■1999年12月の設立以来、英語の児童書140万冊以上を寄贈して、学校287校、図書館3540ヶ所、コンピュータ教室と語学教室117ヶ所を建設し、2336人の女子児童に長期の奨学金を提供してきた(2007年6月現在)
マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった 矢羽野薫 武田ランダムハウスジャパン 2007-09-21 by G-Tools |