「グラミンフォンという奇跡」は、バングラデッシュのグラミンフォンの背景について紹介されている書籍です。
以前R30マーケティング社会時評で紹介されていて気になっていたのですが、「チェンジメーカー」を読んで改めて気になって買って読んでみました。読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
グラミンフォンと言うのは、マイクロファイナンスで有名なムハンマド・ユヌスのグラミン銀行のバックアップを得て、バングラデッシュで展開された携帯電話サービス。
新興国にいる人間からすると、想像を大きく裏切られる効果が、携帯電話と言うコミュニケーション手段にあることに衝撃を受ける一冊です。
特に個人的には「私は、<つながること>はすなわち生産性なのだと気付いた。それが最新のオフィスであろうと、発展途上国の村であろうと」というグラミンフォンの創業者イクバル・カディーアの言葉には、私たちがインターネットに感じる未来と同じ文脈があるように思います。
社会起業家を目指す方だけではなく、ビジネスの本質を考えさせられる本だと思いますので、普段と違う視点でビジネスやコミュニケーションを考えてみたい人におすすめの本です。
【読書メモ】
■包括的資本主義
一日二ドル未満で暮らす三十億人以上の人びと、すなわち所得階層の底辺に属する「ボトム・オブ・ザ・ピラミッド」の人びとに新たな可能性を与える
■外燃機関となる三つの力
・IT
・現地の起業家
・外国人投資家
■政府以外のものはすべて、政府との距離の長さに比例して貧しくなっていく(ロバート・ノヴァック)
■世界銀行は、貧しい国々に援助を与える代わりに、アメリカなどの豊かな国で農業への補助金をやめさせたらどうか。その結果生まれる農産物の貿易の方が、わずかな支配者層に与えられる何十億ドルよりも多くの人のためになるだろう(イクバル・カディーア)
■「私は、<つながること>はすなわち生産性なのだと気付いた。それが最新のオフィスであろうと、発展途上国の村であろうと」(イクバル・カディーア)
■「経済学者の中には、雇用を創造することが貧困問題の解決策だという人がいる。しかし、雇用は正しく創造されなければ、貧困を永続させるだけだ。」(ムハマド・ユヌス)
■資本がほとんどない場所に資本を投入すると、より高いリターンが得られる。つまり、豊かな地域より貧しい地域に資本を投入した方が、国の総所得は速く拡大するのである。
■「ハイテクは不平等な立場にいる人たちを同じ土俵に乗せる。そのため、これまで発明された中で、最も強力な民主化のツールとなる。社会を平等にするための手段として、ITは最も偉大なのだ」(サム・ピトローダ)
■牛を育てて生活するための資金を貧しい女性に提供することで、グラミン銀行は実質的に個人事業と起業を促進していた。
■真の情報格差(エコノミスト)
・どこにいても、年齢を問わず、人びとは電話をほしがる
・情報格差は、西側で共通認識となっているコンピュータやインターネットの利用とはほとんど関係ない
・携帯電話は情報格差の架け橋となる
■Mコマースは携帯電話の最初のキラーアプリケーション
・電話による貯金とバーチャルATMとしての利用
・送金や受け取り
・指定小売店での買い物と支払い
■包括的資本主義
富を創造するときに同時に富を社会に広め、投資家にリターンをもたらしながら貧しい人たちにも力を与えるような、双方に利益をもたらす資本主義
■時間と労働力を節約するための道具は、農村部の貧しい人びとにとっては適切でないと結論づけた。彼らは持っているものは少ないが、時間と労働力は余っているのだ。
グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 [DIPシリーズ] 東方 雅美 英治出版 2007-07-12 by G-Tools |