ツイッターノミクス (タラ・ハント)

4163724001 「ツイッターノミクス」は、カナダのモントリオール在住のタラ・ハントさんがツイッターを始めとするソーシャルメディアを考察された書籍です。
 献本を頂いていたのですが、読書メモを書けてなかったので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この本は、タイトルこそツイッターノミクスと、ツイッターメインになっていますが本の中身自体はいわゆるWeb2.0というキーワードに代表されるソーシャルメディアを活用したコミュニティやコミュニケーション、ネットワークの在り方について考察されている本です。
 特に印象的なのは、ソーシャル・キャピタリストという概念と「ウッフィー」という金銭とは異なる評価の概念。
 実際にソーシャルメディアを長く使っている人であれば、納得の概念ですが、意外に使っていない人に理解されづらい概念とも言えるでしょう。
 ソーシャルメディアを活用したマーケティングに携わる方、ソーシャルメディア的なウェブサービスを開発されている方には必読書と言える本だと思います。
 「ビジネス・ツイッター」や「グランズウェル」、「ブログスフィア」等と合わせて読むのもおすすめです。
【読書メモ】
■ソーシャル・キャピタリスト
 大勢の人と信頼関係でつながり、コミュニティを形成し、ウッフィーを増やす人
 
■ウッフィーは、その人に対する評価の証
 人に喜ばれるようなことをしたり、手助けをしたりすれば、あるいは大勢の人から尊敬され評価されれば、ウッフィーは増える。
■ウッフィーを増やす3つの方法
 好かれること、つながること、一目置かれること
■Eventful Demand
 アーティストがコンサートをやるのをただ待つのではなく、ファンの側から好きなアーティストのために需要をつくってしまおう、というもの
■PayPerPost(ペイパーポスト)
 「問題はブロガーがカネをもらうことではなく、もらったと明示しないことだ。これでは、ブロガーと読者の間の信頼関係は壊れてしまう」(ジェフ・ジャービス)


■ウッフィー・リッチになるコミュニティ・マーケティング
・大声でわめくのはやめ、まずは聞くことから始める
・コミュニティの一員になり、顧客と信頼関係を築く
・わくわくするような体験を創造し、注目を集める
・無秩序もよしとし、計画や管理にこだわらない
・高い目標をみつける
■DellIdeastorm
 デルはこれまでに、カスタマー・コミュニティから出されたアイデアを数十個以上、製品やサービスに生かしている
 DellIdeastormのトップ・イノベーターを正式に社員として採用し、製品開発チームに加わってもらうことさえ計画している
■賞金や賞品といったインセンティブは、停滞気味のコミュニティに活を入れるには効果的だが、ゼロからのスタートには向かない。賞金目当ての人を大量に呼び込んでしまう危険性が大きいからだ。
■ただひとりのお客様を想定する
・アマゾンも一人の顧客を思い描いて発展した
・マーケティング会社の架空の顧客層ではなく実在の顧客から始める
■ウッフィーを増やす11のヒント
・ディテールで差をつける モレスキン
・ワンランク上をめざす TED
・感情に訴える ボージュ・オー・ショコラ
・楽しさの要素を取り込む ヴァージン
・あたりまえの物をファッショナブルにする
・「フロー体験」を設計する アップルコンピュータ
・パーソナライゼーションの余地を残す MOOカード
・実験精神で望む スキニー
・シンプルにする 37シグナルズ
・お客様をまずハッピーにする iPodとiTunes
・ソーシャル・キャタリストをつくる
■なにかプロジェクトを始めるときに事前にやるべきなのは、水も漏らさぬ計画を立てることではなく、状況変化を敏感に察知するレーダーと機敏に対応する仕組みを用意することである。
■そもそもFlickr自体、ルディコープという会社が大規模多人数参加型オンライン・ゲームのために開発したツールだった。ところがFlickrの方が人気が出そうだというので、ゲーム開発は棚上げにされた経緯がある
■多くのオンライン・コミュニティでは、会話をぶち壊しにするような不心得者が一人でも現れると、どうしても大勢がそちらになびきやすい。自由な討論を維持しつつ破壊行為を防止するのは、神経を使うむずかしい仕事である。
■失敗を恐れる人はわかっていない。問題は失敗をすることではなくて、やってしまった失敗にどう対処するかということである。
 実際には、小さな失敗をいくつかやってしまっても、それを認めることでむしろ共感を得られることが多い。
■Twitterのユーザー数をビズ・ストーンは決して明かさない。
 ビズは数を明かさないことによって、大切なのはTwitterがもたらす新しい体験であり、悲喜こもごもの物語であり、社会的な影響力であることを示唆し、それについて考えるよう訴えているのである
■5つの高い目標
・よいことをする クレイグズリスト
・まず顧客のことを考える サウスウェスト航空
・顧客にパワーを与える 私の始めたシチズン・エージェンシー
・ゲームでボランティア活動を促進する アコハ
・事業の枠を超えたことをする ティンバックツー
■コミュニティ意識を持つまでの四段階
・コミュニティの仲間になりたいと思う
・コミュニティの影響力、コミュニティへの影響力を感じる。
・コミュニティへの参加によって充足感や達成感を得る
・歴史や体験を共有し強い絆を感じる

4163724001 ツイッターノミクス TwitterNomics
村井 章子
文藝春秋 2010-03-11

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