キラー・クエスチョン 常識の壁を超え、イノベーションを生み出す質問のシステム (フィル・マッキニー)

4484131161 「キラークエスチョン」は、副題にあるようにイノベーションを生み出すための質問の仕組みについて考察されている書籍です。
 献本を頂いていたのですが、遅ればせながら書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
 この書籍は、元ヒューレット・パッカードでパーソナル・システムズ・グループのCTOだったフィル・マッキニーという方が書かれた本で、彼の質問を軸にした「アイデア開発実行システム」が紹介されています。
 良い経営者やリーダーは部下への質問の仕方が上手いという話は良く聞きますが、この本ではイノベーションを生み出すための質問のメソッドが丁寧に紹介されています。
 イノベーションを生み出すという行為は、アイデアマンが突然思いつくというイメージを持つ人は少なくないと思いますが、正しい質問を重ねていくことで議論の過程からイノベーションを生み出すというアプローチはなかなか興味深いです。
 自分はアイデアマンじゃないからイノベーションが生み出せないと思いこんでいる人には参考になる点がある本だと思います。
 「イノベーションのジレンマ」や「ブルー・オーシャン戦略」を合わせて読むのもお勧めです。
【読書メモ】
■良い質問はふたつのカテゴリーに分類される
・事実を確認するための質問
・調査を伴う質問
■ソクラテス・メソッド
 教師が畳みかけてくる質問に生徒が答え続けるうちに、持論の正しさが脅かされていくメソッド


■キラークエスチョンの三つのカテゴリ
・あなたの顧客は誰か
・あなたは何を販売しているのか
・あなたの組織はどのように機能しているのか
■組織の抵抗勢力があなたのアイデアを拒む4つの理由
・エゴ:ああ、それなら私もとっくに考えているよ
・疲労:どうせ承認されないさ
・リスクを避けたい:その余裕はない
・現状への満足:我々は常にこうしてきた
■FIREメソッド
・Focus
・Ideation
・Ranking
・Execution
■ゲートファンディング・モデル
・市場の妥当性確認:全てのアイデア
・顧客の妥当性確認:ゲート1のアイデアの50%まで
・限定的な起動:ゲート2のアイデアの50%まで
・グローバルな起動:ゲート3のアイデアの50%まで
■あなたにとっての誰は誰か?の質問の例
・顧客が私たちの製品を選ぶときの基準は何か?
・私の製品に対してお金を支払う能力も意思もないと勝手に思い込み、販売活動の対象から外している相手は誰か?
■あなたにとっての何は?の質問の例
・既存の構成要素を組み替えれば、現在は関わりの無い顧客のために新しい製品を創造できるか?
・何か不愉快に感じられる点があって、私の製品を購入してくれない相手は誰か?
■いかに実行するか?の質問の例
・私が業界の関係を調整し直したら何が起きるか?
・R&Dのプロセスをどのような順序で進めるか?順序を逆にしたら、どんな結果を招くか?
■キラー・イノベーション・ワークショップの6つの黄金律
・フォーカスを定める
・キラー・クエスチョンをふたつ、宿題として与える
・現場で調査してもらう
・フィルターにかけない
・アイデアづくりのスケジュールを定め、それを守る
・ランキングは卑しい言葉では無い

4484131161 キラー・クエスチョン 常識の壁を超え、イノベーションを生み出す質問のシステム
フィル・マッキニー 小坂恵理
CCCメディアハウス 2013-09-28

by G-Tools