うちの会社がネット選挙系案件を全てお断りしている5つの理由

 なんだか夏の参院選が近づいてきていて、すっかり世の中がネット選挙ネット選挙と騒がしくなってきましたね。
 まぁ、かくいう私自身も何度かネット選挙解禁については日経MJのコラムとかに書いていますし、下記のようなブログを書きながらネット選挙解禁を心待ちにしていた側の一人ではあります。
ネット選挙解禁のためには、ネットで声をあげて政治家の自発的な行動に期待するだけではダメではないか、という話。
ネット選挙解禁 不慣れが生むミス・トラブルに注意
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 その関係で、てっきり私やAMNがネット選挙関連の支援をビジネスとしてやっているのではないかと、何件か政治家の方のネット選挙支援とかのご相談を頂いていたりはするのですが、実は私及びAMNではネット選挙関連の案件は全てお断りしています。
 なんだかんだと誤解している人も多いようですし、せっかくご連絡頂いたのを毎回お断りするのもなんだか申し訳ないので、なんでお断りしているのかを、こちらにも明確に書いておきたいと思います。
 理由は下記の5つです。
■次の選挙でネット選挙解禁されるから、ネット活用しようというのは遅すぎる
 まず大きいのは、今から候補者の人たちが慌ててネット活用を始めても、たいして選挙には役に立たないだろうという点。
 たしかに私はネット選挙解禁をこの7年ぐらいずっと心待ちにしていましたし、今回のネット選挙解禁に喜んでいる一人ではありますが、私が喜んでいるのは、選挙期間中に我々有権者も候補者について言及すると違法になるリスクがあるという、言論統制としか言いようのない時代錯誤のルールが改善されたからです。
 政治関連のネット利用が禁止されていたのはあくまで選挙期間中の2週間のみ、それ以外の期間はネットはある程度自由に使えていたわけで、何年もかけて多数のフォロワーやファンを集めている政治家の方はたくさんいます。
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 ソーシャルメディアは積立保険とサントリーのソーシャルメディアチームを率いる坂井さんが表現されていましたが、ソーシャルメディアの力は長い期間地道に続けることによって大きくなってくるわけで、それが今から夏の選挙に向けてソーシャルメディア始めて選挙に勝ちたい、というのは明らかに初動が遅すぎます。


■今まで使っていなかった人が、いきなり全力活用するのはリスクが高すぎる。
 さらに大きいのはリスクの話です。
 今から選挙に向けてネット活用を検討したい、と相談してくるというのは、残念ながら今までほとんどネットやソーシャルメディアを活用していなかったのが明らかです。
 そんな状態でいきなり本番活用したら、何だかんだと失言したり、やってはいけないことをしてしまったりとトラブルが起きやすいのは間違いないでしょう。
 特にもし政治家の方々が橋下市長のツイッターを見てあこがれて始めるとかだとしたら、危険すぎます。
 特に今はメディアが初めてのネット選挙におけるトラブル発生を今か今かと待ち構えている状態ですから、わざわざ素人が準備も無しに突っ込んでいくのはメリットよりもリスクの方が大きすぎる気がします。
 今から半年後の選挙に向けて準備したいというのであれば、まだやりようもあるとは思いますが、今から来月に向けてなにかやるのであれば、多分ネット活用に力入れるよりも他にリスクが低く効率が良い方法があるんじゃないかなと思うわけです。
■ネット選挙は解禁されたけど、他にも意味不明のルールが多々残っている
 自民党の河野太郎議員に先日ネット選挙解禁についてお話ししたときに、「公職選挙法を根本的に改正しないと意味が無い」と話されていたのが非常に印象的だったのですが、ネット選挙解禁とは言うものの、実際にはまだいろいろと複雑なルールが残っています。
 選挙期間外の選挙運動が禁じられている点などが象徴だと思いますが、既存の議員は今も議員だから議員として支援者周りをしても問題ないのに、これから議員を目指す人は出馬するから応援してくれ、とやると違法なんだとか。
 まぁ、細かいところは良くわからないですし、知りたいとも思いませんが。
 正直こんなややこしい世界、うちみたいな素人がのこのこ出て行く世界じゃ無いなと思ったりするわけです。
■AMNのファン重視、アンバサダー重視のアプローチに、選挙支援は馴染まない
 これはうちの会社ならではの理由ですが、地味に一番大きいのがこちら。
 AMNでは現在企業の製品やサービスのクチコミをしてくれるファンを「アンバサダー」と定義して、アンバサダー重視でのコミュニケーション支援に特化しています
 
 デジタルカメラとか、飲料とかであれば、その製品のファンの人たちに集まってもらってイベントとかやったところで、他の製品のファンの人たちが怒ることってまず無いわけですが。
 政治の場合にはどうしても、うちの会社がどこかの政党の支援者イベントをやったりすると、AMN自体にその政党色とかつく印象が出てしまい、パートナーの方々とかコミュニティ全体に迷惑をかけてしまうリスクが高いんですよね。
 まぁ、アメリカのオバマ大統領が誕生した時みたいに、明白にAMNが目指している世界感と合致する政党とか政治家の方が出てこられたら、会社とコミュニティ全体でそっちを応援する、みたいなことはありうるのかもしれませんが。
 現在の政治家の方々には申し訳ないですが、そこまで社運をかけて応援したい政治家の方も政党も、今の時点では思いつかないのが正直なところです。
 
■ネット選挙バブルが激しくて、ちょっと怖い
 実際問題、ネット選挙周辺では結構ビジネスがまわっているようで、なんでやらないの?と聞かれることも多いのですが。
 
 まぁ、うちの会社は私自身の性格的に、石橋叩いて渡らないタイプなので、どうしてもこういうバブルには乗り切れないんですよね。
 解禁されてから次の選挙までの間の瞬間湯沸かし器的な盛り上がりに、正直乗り切れそうに無いのでスルーした、というのも正直なところです。
 こういうのに機敏に乗っていくのが有能な起業家というものなのかもしれませんが、そういう意味では私はペイパーポストブームも、グルーポンブームも、ソーシャルゲームブームも、ことごとく乗り遅れていたりしますし、起業家では無いんだろうなと思います。AMNでも二人目の社長ですし。
 そういう意味では、私やAMNの立ち位置というのは、バブルが終わって皆さんの気持ちが落ち着いてから、自分達にできることを考えるのが向いているのかなと思っていたりします。
 というわけで、要は祭りに乗り遅れて、遠目に眺めるしか無いから安全圏から愚痴っているというのが、実態かもしれませんが。
 少なくとも今回の選挙に関してはAMNでは一切のネット選挙系案件はお断りしておりますので、ご理解頂けますと幸いです。
 数年前にやったみたいに、ソーシャルメディアを活用して若い世代の投票率をあげるためのプロジェクトとか、そういうのは興味があるので、ひょっとしたら何かやるかもしれませんが・・・やらないかな。
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