ブロガーサミットの準備が佳境に入ってきていて、関係ないブログ記事とか書いている場合ではない状況ではあるのですが、どうしても気になってしまったので勢いでブログ書きます。
先日の「コンビニや飲食店の冷蔵庫バカ写真炎上騒動が連鎖し続ける背景にある8つの要因」という記事を書いたこともあり、なんとなくその周辺の記事を横目で追っていたんですが。
個人的に非常に残念だなぁと思っていたのが、一部の人たちのバカな行為の背景についての議論が、いつのまにか低学歴と高学歴の議論になって、低学歴な人はバカな行為をするのは仕方が無い的な流れになっている面があることです。
多分、この議論のきっかけは、24時間残念営業さんの「うちら」の世界 の記事で、「低学歴の世界」という表現が使われたからだと思うんですが。
24時間残念営業さんでも最初に「どうオブラートに包んでもうまく表現できないだろうから、あえて露骨な言葉を使う。」と断ってから使われていて、あくまで高学歴と低学歴の対比のために使ったというよりは、「彼ら」の世界を表現するために使ってると思いますが、やっぱりこういう対比の言葉って一人歩きしやすいんだなと改めて思います。
24時間残念営業さんの記事の後に低学歴論が加速する背景になった記事としては、おそらく下記の二つの記事が連鎖したのが大きいんだと思います。
■私のいる世界→追記の記事2つあります – ひきこもり女子いろいろえっち
■低学歴と高学歴の世界の溝
二つの記事は本人の実体験に基づいている記事で、私自身も読んで非常に納得してしまったし、こういう事実はあるんだと思いますし。
これはこれで、日本が抱えている問題に対する問題提起として、重要な議論だなと思います。
とはいえ、今回の炎上事例の連鎖反応を、学歴と紐付けて語るのは違うと思いますし、この流れでそういう文脈ができてしまうのは良くないと思います。
自分の書いた記事も勘違いされていると嫌なので、このブログごときで書いても伝わらないかもなぁとは思いつつも、書いておきます。
とか長い前置き書かなくても、シンプルな話として分かりやすいのは、丁度タイムリーに出てきた昨日の下記の記事でしょう。
■USJ迷惑行為で送検された大学生――”余罪”を次々に告白
ここ最近は、飲食店冷蔵庫系の炎上事例が連鎖しているので、バカな行為の写真アップの象徴はローソンの炎上事例が象徴となっていますが、実はその2ヶ月以上前に大きな話題になっていたのがアトラクション系の迷惑行為です。
で、この行為を行っていたのは神戸大生。低学歴か高学歴かの分類で言えば明らかに高学歴ですよね。
実際5月にはこんな記事が掲載されています。
■USJで集団迷惑行為の常習犯!神戸大のバカ学生
■USJ迷惑騒動で分かった大学生の”低レベル”――次々と明らかに
「神戸大のバカ学生」とか「大学生の低レベル」ですからね。
低学歴・高学歴の分類で言うと、高学歴側の人たちが実際には同様の「バカな行為」を存分にやってるわけです。
どうしても他に表現する言葉が見つからなくて私も「バカな行為」とバカという単語を使っているので、バカ≒低学歴と脳内変換されやすいのも問題なのかもしれませんが、こういう社会的にバカな行為をするかどうか、というのは学歴とは何の関係も無いという良い証拠です。
実際、上記の記事の関連記事にはこんな記事も出てきます。
■「高学歴エリート」のTwitterはなぜ暴走するのか?
■なぜ”バカ発見器”に引っかかったのか――Twitterで暴言のキャリア官僚
6月に話題になった復興庁の元参事官がTwitterで暴言を吐いていた事例ですね。
この元参事官は文字通りのエリート官僚。
当然のように出身大学は東大だと思われます。
超高学歴ですよね。
この人が低学歴なら日本人全員低学歴です。
要は、ソーシャルメディアに後から考えれば誰もが「バカな行為」と思ってしまうような投稿をしてしまう行為というのは、学歴の高い低いとか一切関係ないんです。
それどころか、上記の記事だと「高学歴エリートの方が暴走する」ぐらいの印象を受けるタイトルですからね。
元の事例が変わるとここまで、問題の原因が違って見えるわけですから、不思議なもんです。
実際、今回の飲食店・コンビニ系の炎上事例だって、原因となった従業員やアルバイトが低学歴かどうかは分かりません。
でも、やっぱり、今から見るとあまりにバカバカしい行為なので、「こういうことやるやつは頭悪いんだろうな」≒「低学歴なんだろうな」となってしまいやすいんだと思います。
じゃあ、どういう人が炎上行為をやっているのか、というのが大事な質問だと思いますし、そこに対する明確な答えは私も持っていませんが。
あえて誤解を避けずに言葉をつけるとしたら、自分の仲間に対して「カッコつけたがり」な人間が陥りやすいんじゃないかと思っています。
どこにでもいますよね、仲間内の誰かがちょっと無茶な行為をしたら、それぐらい自分もできるとさらにその上を行く無茶をして自分の「勇気」を証明したがるタイプの人。
先生にいたずらしたり、下校時間に無茶したり、交通ルール破ったり、万引きしたり。
自分にも大なり小なりそういう側面があった時代がありました。
「おれ、こんなことできるんだよ。おまえむりだろ」
「そんなのヨユーだろ」
「じゃあ、やってみろよ」
まぁ、うちの小学一年生の息子の、友だちとの公園での見栄の張り合いとかも、いつもこんな感じ。
どちらかが引くまで続くんですよね。
今回の冷蔵庫炎上騒動も
「お前は冷蔵庫入って写真あげるのなんて無理だよな」」
「超余裕だよ」
「じゃあ、やってみろよ」
みたいな議論が内輪とかLINEとかでされてそうなのは想像に難くありません。
そこで見栄よりも罰則や制裁に対する恐怖心が勝ってしまう人は、そこで止めるんだと思うんですけど。
仲間内での見栄やカッコつけたがる気持ちが勝ってしまう人は、誰かに止められるまでどこまでも行ってしまうんですよね。
そういう意味で24時間残念営業さんの「うちらの世界」というのは絶妙な表現だったと思います。
実際、上記で紹介したUSJでトラブルを起こした大学生達のこんなコメントがあります。
「捜査関係者によると、3人は府警が事情聴取を始めた当時、まるで人ごとのように淡々と動機を語っていた。しかし次第に事態の深刻さを理解し、後悔を口にするようになったという。ある学生は捜査員にこんな本音を漏らした。
『今ではUSJや他のお客さんにひどいことをしたと思います。こんな大きいことになるとは思っていませんでした』」
彼らにとっては、ただの仲間内での肝試し行為でしかなかったのでしょう。
友だちと競うように度胸試しをやり続け、単なる遊びでしかなかったんでしょう。
でもUSJのようなアトラクションを事業にしている場所における迷惑行為は、自分達が良ければ良いというレベルの話では全くなく、他の参加者に迷惑をかけることもある上に、実はそれにより事故が起きるとUSJ自体の運営が窮地に追い込まれるという深刻な妨害行為。
それを仲間内では想像できず、お互いの「カッコつけたがり」を優先していたものと思います。
上述のエリート官僚のツイッター上での暴言とか、自民党議員のニコ生での暴言とかも同じ。
ちょっと古いですが、身近な事例で言うと、ツイッターで佐々木俊尚さんに暴言吐いて謝罪した人たちとかの構造も同じです。
その瞬間の仲間内では、暴言を激しく吐けば吐くほど「あいつ、あそこまでハッキリ言うなんてカッコイイ、凄い」とか認められるんですよね。
でも仲間ではない人が後から発言だけ見ると、なんで公の場でそんな暴言吐いたんだろ、バカだな。となる。
親しい人たちだけとつながってコミュニケーションをすることができる、ソーシャルメディアの特性が悪い方に振れるとこうなるんですよね。
もちろん、良い方に振れれば、現在ブロガーサミットで出している「あなたがブログを続けてきて良かったと思った出来事を、ブログに書いて教えて下さい。」というお題に呼応してブロガーの方々が書いてくれているようなメリットがあるので、リスクだけを見て、ソーシャルメディア禁止とかには絶対にならないで欲しいですし。
悪い点よりも良い点を伸ばすための教育をしていった方が、禁止にするよりも大事だと思っていますが。
でも、ソーシャルメディアにはこういうリスクがあり、「カッコつけたがり」がバカな行為をしてしまいやすい構造を持っているのも、現時点では事実です。
今回の飲食店・コンビニ系の炎上騒動も、結局騒ぎを起こしている張本人からしたら、ちょっとした度胸試しでしかない行為だったんでしょう。
まさか、自分達の行為が休業や閉店につながりかねない深刻な犯罪行為であることを認識できていなかったんでしょう。
上述の大学生と同様に、張本人達が自分達の行為を反省して、こういう後日談が出てくる状態になることを個人的には祈っています。
ということで、今回の一連の炎上騒動は、学歴とは直接は関係なく、自分の中での「カッコつけたがり」が勝つか、何かを失うかもしれないという恐怖感が勝つかの精神構造でしかないと思います。
冷静な皆さんには、是非学歴論とソーシャルメディア炎上論は、切り分けて議論して頂くと言うことで、一つ、よろしくお願いします。