Amazonのロングテールの尻尾は思ったより長くないらしい

MS、書籍デジタル化プロジェクトに参加–ヤフー主導の団体でグーグルに対抗 – CNET Japanを読んで。

 先日、Googleが推進していた書籍デジタル化プロジェクトが、米国出版社協会から提訴されたなんてニュースもありましたが、今度は対抗するYahooのグループにMicrosoftが参加するということのようです。

 個人的にはAmazonがあれば書籍の入手については全く困ることが無いので、この手の書籍デジタル化の意義がイマイチ良く分かっていないのですが、最近Amazonとネットのギャップを感じる出来事に遭遇しました。

 それが「ネットは新聞を殺すのか」の湯川さん、「ガ島通信」の藤代さん、「ニュースの現場で考えること」の高田さんが共同で執筆した「ブログ・ジャーナリズム」という書籍。
 この書籍、既存メディア出身者がブログとジャーナリズムについて幅広く議論していると言う意味で、他にはない意義深い書籍だと思います。

 個人的にも、第二部のR30さんや高広さんとの対談に素人ブロガー代表として掲載していただいたのもあり、非常に楽しみにしていたのですが、Amazonで検索しても出てこないなーと思っていたら、何でも出版社が大手ではないためにAmazonでは取り扱ってもらえないのだとか。
 ブログの書籍がネット出版社に取り扱ってもらえないと言うのは非常に厳しい話ですよね。
(現在購入は野良舎のブログで受け付けているようです

 Amazonと言えば、これまでの店舗在庫に依存する書店と比べ、はるかに多様な書籍が販売されていることから、よくロングテールの分かりやすい事例として利用されているわけですが。
 結局、ビジネスモデルとしては、在庫管理という実態が伴ってしまうために、必ずしも全ての書籍を取り扱うわけではないんだな、と改めて感じる出来事でした。
(実際、梅田さんのブログでも、8月にAmazonとGoogleのロングテールの違いについて考察されています。)

 そう考えてみると、Amazonでも出版社レベルで絶版になってしまった書籍は当然入手できませんし、Amazonで表示されないから我々が気づいていないだけで、実はAmazonが取り扱っていない隠れた良書や良い情報源になる書籍と言うのは世の中に存在するのかもしれません。

 そう思うと、GoogleやYahooの書籍デジタル化プロジェクトも、なるほどやる価値はあるかもしれないと思えてきます。

 そういえば、先日、エンジニア向けの技術書の企画が、出版社の企画会議を通らないので、自費出版のような形でオンデマンド販売をするのを検討していると言う話を聞きました。
 そもそも、今販売されている書籍と言うのは「ある程度まとまって売れる可能性がある」と出版社が判断した書籍しかないわけで、企画段階で断念しているニッチなテーマの書籍と言うのは、きっと山ほどあるわけですよね。

 そういうものも書籍デジタル化プロジェクトの過程で、検索経由で日の目をあたるようなことになれば、ニッチなテーマの書籍の市場と言うのが、今のAmazonのロングテールどころではないぐらい細く長ーい形で出現してくるのかもしれないですね。

書籍「アルファブロガー」を書きました。

 FPNのメンバーと共著で、インタビュー本の「アルファブロガー」を執筆しました。
 個人的には、濃いブロガーの方々の話を聞きたいというのが書籍の企画動機だったので、半分以上のインタビューに同席させていただき、非常にいい経験になりました。
 ご協力いただいた皆さん有難うございました。

アルファブロガー 11人の人気ブロガーが語る成功するウェブログの秘訣とインターネットのこれから
アルファブロガー 11人の人気ブロガーが語る成功するウェブログの秘訣とインターネットのこれから FPN(フューチャー プランニング ネットワーク)

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ヤフーとMSNのIM連携は電話料ビジネスの終わりを加速する?

ヤフーとマイクロソフト、IMの相互乗り入れ計画を発表 – CNET Japanを読んで。

 今振り返っても、先週は実に話題の多い週でしたね。

 日本のメディアは楽天・TBS問題一色でしたが、通信事業の分野でもKDDIとパワードコムの合併が発表されたり、ソフトバンクBBがADSL事業分離を発表するなどもりだくさん。自分のブログの速度ではとても追いつきません。

 中でも個人的にインパクトがあったのが、上記のヤフーとマイクロソフトのIMの相互乗り入れの話題です。

 何と言っても、ヤフーとマイクロソフトの提供するメッセンジャーサービスは、米国の利用者こそAOLメッセンジャーに次ぐ2番手、3番手のサービスですが、利用者数は既に二つあわせれば5000万近く。
 さらにグローバルで見れば、MSNとYahooが1位と2位。合わせれば3億近くの登録者数があり、当然日本においてもMSNとYahooメッセンジャーでかなりのシェアがあることが想像されます。

 おまけに、もし、ここ最近噂されているAOLの買収合戦に、マイクロソフトが勝つようなことになると、間違いなくこの相互乗り入れにAOLメッセンジャーが入ることになるわけです。

 
 この相互乗り入れのインパクトが示すことはCNETで森さんが分かりやすくまとめていますから、是非そちらを見ていただければと思いますが、やはり気になるのは何故「自らの事業領域の数少ない課金可能なサービスの機会をも破壊させてしまうというポイズンピル的な選択」をこの段階で取ってきたのかという点でしょう。

 利幅の少ない相互接続料に過ぎないとはいえ、音声通話というのは、利用者が従量課金を許容するネット上では残り少ない収益機会。

 今回の相互乗り入れが、躍進するSkypeに対してのものなのか、不気味に準備を進めるGoogle Talkに対してのものなのか、どちらを意識した防衛策なのか分かりませんが、防衛のためだけなのであれば相当念を入れた防衛策といえるでしょう。

 ここで、気になるのはこの手のソフトフォンの集合体が、果たして既存の電話サービスにどれぐらい影響を与えるのかと言う点です。

 電子メールが普及したときに、郵便を中心に同じような議論がありましたが、今のところ郵便はそれほど強烈な影響を受けていません。
 そういう意味では、既存の電話サービスについても同じような見方をすることもできるかもしれません。

 ただ、個人的に気になるのは音声データは郵便と違ってデジタル化に非常に向いているという点。
 


 Web2.0に関して非常にまとまった記事をCNETで江島さんが書かれています
が、その中でアメリカの高校生にとって「もうCDプレイヤーなんて家電製品カテゴリは絶滅したも同然なんだね?」というくだりがあります。

 音楽も音声と同様デジタル化が非常に向いている分野ですから、既に彼らにとっては音楽はCDのような物質を購入するものではなく、デジタルで入手するのが当然になっているようです。(しかも無料でというおまけつきですが)

 そう考えると電話のような音声コミュニケーションも、音楽におけるiPodのような端末のブレークスルーさえあれば、インターネットを通じてソフトフォンのようなもので無料で利用するのが当然になるというのは、案外近い未来かもしれないと思えてきます。
 

 ちなみに、同じ記事で、IPフォンSkypeについて高校生が興味がなさそうな反応をするくだりも出てきますが、これも「米国のケータイは無料通話が500分ぐらいあるので、すでに電話というものは事実上定額で使い放題」という現実があるからだそうです。
 (日本におけるSkypeの動向については、横田さんによる分かりやすい連載がHotwiredで始まっています
 
 そういう意味では、結局電話サービスが従量課金で儲かるものという前提は、既にそこら中で破綻し始めているということなのかもしれません。

 結局、電話のような音声コミュニケーションも、森さんがいうような「ユーザーが大量に存在するもののカネを取れないという、ある意味で「困ったちゃん」的な存在」として、「最終的には検索のようなメタサービスのプラットフォームとしてビジネス的には機能するしかないのだろうか?」というのが落としどころということになってしまうような気がしてきます・・・

 いや、この分野は本当に分からなくなってきました。

結局、勝負を決めるのは広告媒体の陣取り合戦?

ヤフー、AOL争奪戦に参戦か?グーグルやマイクロソフトからの奪取を狙う – CNET Japanを読んで。

 先月からMicrosoftとGoogleが水面下でAOL争奪戦を繰り広げているなんて言う噂が流れてますが、Yahooも見ていられなくなって参戦するようですね。

 AOLといえば、インターネットの一時代をリードし、タイムワーナーと合併して大いに物議をかもしたのがつい5年前の出来事なんですが、完全に今は昔ですね。

 いまやAOLは合併後の社名からも外されてしまい、元会長のスティーブ・ケースが合併「失敗」についてのインタビューで語るほどになってしまいました。
(最近の楽天・TBS合併話を見ていると、ついこの話を思い出してしまうのは私だけでしょうか。)

 
 ちなみに、AOLにとって何とも寂しい限りなのは、今回の買収合戦が完全に広告収入防衛戦になっている点。

 何でも現在AOL経由でGoogleが得ている広告収入が3億8000万ドルだとかで、shintaroさんに教えてもらったところによると、これはGoogleの現在の売上の15%近くを占めているそうです。
 大きいですよね。

 マイクロソフトはGoogleの収入源を断つために、ここは是非とも奪いたいところでしょうし、Googleは当然奪われるわけには行かず、Yahooが今回買収合戦に参入した理由も、「2社が目を付けたのを見て、『ライバルに取られるのは絶対嫌だ』と考えた以外に、参戦の明確な理由は見あたらない」だとか。
 
 何とも消極的な理由ですが、結局ゲーム理論的にはこういうものかもしれませんね。

 ちなみに、今回のAOLの買収話には、AOL自体がある程度ビジネスモデルの転換に成功したから魅力がでたという面もあるようです。

 AOLといえばダイヤルアップ時代には一世を風靡したものの、ブロードバンド展開に失敗して、すっかり存在感が薄くなっていたのですが、最近はインターネットへのオープン路線に転向して広告収益を中心としたビジネスモデルになれたとか。

 ただそれも「Time Warnerがサイトに対する支配権を得た時から、サイトを手放したがっていたのは周知の事実だ」そうですから、売却を前提でビジネスモデルの転換を図っていたようで、完全にお荷物扱いですね。

 AOLからすると、引く手あまたのように見えて、何ともさびしい買収合戦のようにも思えます。

 
 それにしても、米国では、Web2.0カンファレンスが結構注目を浴びて盛り上がっていたものの、結局トップレベルの企業の勝負を決めるのは「積み上げることができる札束の分厚さ」というのも実に悲しい感じがしますが。

 FlickrとかWeb2.0の代表企業も、結局Yahooとかに買収されていってしまいますし・・・これが現実というところなんでしょうか。
 (このあたりはkwmrさんの「2つのシナリオ」が気になって仕方がない今日この頃ですが・・・)

ビデオポッドキャストはアマチュアコンテンツを加速するか

ITmedia D LifeStyle:ビデオiPodの登場で変わる「何か」 (3/4)を読んで。

 もうすでに昔話の感もありますが、いよいよアップルからビデオiPodが登場しましたね。
 
 製品名がiPodのままというのが、いかにも今後ビデオ対応が普通になるというアップルの強いメッセージのようです。
 メディア・パブPodcast Nowにも書かれているように、これがいわゆる「ビデオキャスティング時代の幕開け」になることは間違いなさそうです。
 

 当然、一般的にビデオコンテンツとして注目されるのは音楽のプロモーションビデオなわけですが、個人的に気になっているのは上記のITmediaの記事で小寺さんが書いているような、アマチュアによる映像公開の流れ。
 特にビジネス関連の映像コンテンツです。

 
 実は個人的には、結構日本でポッドキャスティングのような音声のアマチュアコンテンツ作成の流れがブレイクするのって難しいんじゃないかな、と思っていた節があります。
 ただ、最近、徐々に周りでポッドキャスティングをする人が増えていることもあって、ちょっと考えが変わってきました。
  
 1年近くやっているkengoさんは別格としても、すでに14回目を数えるモダシンさんとかPodcastingJuice上位者を始め、八田さんと横田さんも最近実験しているそうですし、ついには湯川さんもポッドキャスティングを始めるとかで、思わず第一回の実験台にされてしまいました。
  
 で、実際に録音に協力して、あらためて感じたのは、コンテンツ作成の流れの違い。
 

 何しろインタビュー一つ取っても、文字原稿にしようと思ったら、普通テープ録音なり何なりから書き起こさないといけないわけですが、ポッドキャスティングなら録音が上手くいけば、ある程度そのまま活用可能。(当然本格的にやるなら、ある程度の編集は必要になると思いますが)
 シナリオさえきちんと作って、インタビューやコンテンツを上手い流れで作りこめる人であれば、実は長文ブログを書き起こすよりも比較的コンテンツは作りやすいかもしれません。

 しかも、文字原稿に比べて、音声コンテンツは発言のトーンや、感情の入り具合をそのまま伝えることができるコンテンツ。

 自分が、ブログに溢れているビジネス情報に飽き足らず、そこら中のイベントにやたらと出かけていくのは、やっぱり講演者の発言のトーンや、力の入れ具合を感じたいからだったりするのですが、こうやって音声で生のトーンが伝わるのなら、かなり代わりになってくれるような気もしてきます。

 ただ、音声コンテンツが難しいのはやはり録音の質の維持。
 耳からしか情報が入ってこないだけに、雑音や会話の間や資料をいじっていたりする音が妙に気になります

 これが映像コンテンツなら、意外にその敷居が下がることになりそうな気がするのは私だけでしょうか?
 (そんな簡単な話ではないのかな・・・)

 
 さらに、映像コンテンツはチャネルの制限があって、マス向けのものしかほとんど入手できないのが現実です。
 特にネット系ビジネス関連のセミナーやベンチャー経営者のインタビューの映像コンテンツなんて、テレビはもちろんケーブルテレビやネットでもめったに見ることはできません。
 これが、もし個人レベルで配信できるようになったら結構面白いことになりそうです。

 なんといっても最大の課題は映像コンテンツを保存するためのストレージになるのでしょうが、すでにKNNの神田さんのようにビデオレポートを実践中の人もいますし、最近のサーバーコストの低下速度を見ていると、結構遠い話ではないような気も・・・