何でヤフーの未来はブログで話題にならないのか

ヤフーCEO:「グーグルもポータルらしくなってきた」 – CNET Japanを読んで。

 先週の記事になりますが、ヤフーCEOのTerry SemelがWeb2.0 ConferenceでGoogleについて「彼らをポータルとして評価すると、おそらく4番手くらいになるだろう・・・Yahooのモデルの方が多角化されている」と自らの優位性を強調する発言が掲載されていました

 最近のブログ界では、もっぱらネットの覇権争いの話題はGoogleとMicrosoftを中心に回っているわけですが、個人的にはなぜここまでYahooが話題にならないのか不思議な感じもします。

 GoogleとYahooがその企業としての性格の違いから、大きく異なる方向性のビジネスになりつつあるというのは過去のCNETの梅田さんの記事をはじめ、多くの人が指摘していた話です。
 実際、自らの企業を中心に独自のエコシステムを構築しようとするGoogleやMicrosoftに対して、Yahooはメディア企業としての打ち手を取っていますからエコシステムの覇権争いという意味では話題にならないのはわかります。

 それにしても、ネットの未来が語られる中で、Yahooがこれだけ出てこないのは、どうにも違和感があります。

 そういえば、GoogleとAmazonの合体でGooglezonなんて未来をかたって話題になったEPIC(今は字幕版があります)にもYahooはちらっとも出てなかった気がしますね。

 Alexaのページビューランキングで見ると、Yahoo.comは英語サイトでいまだに堂々の1位ですし、Yahoo.co.jpも世界4位という高順位。 
 インターネット上での存在感は大きいはずなんですが、なぜかブログのネタとしては書かれづらいようです。

 特に日本におけるYahooの存在感って圧倒的なはずなんですけどね。

 まぁ、冷静になって歴史振り返ってみると、画期的な新製品で熱狂的なファンを集めていたソニーと、地味であまり話題にならないけど強い松下、とかホンダとトヨタとか、そういう比較ってのは良くある話ですね。
 GoogleとYahooの扱いの違いもそういうことだったりするんでしょうか。
(そういえば、「ヤフーのモノマネ戦略こそが、ヤフーの強さとなるのか」なんてのを昔に書いたのを今更思い出しました。)

 ひょっとしたら、ブログの書き手はGoogle AdsenseでGoogleにお小遣いをもらっているから恩義があるというのも影響しているのかも・・・そんなわけないか。
(そういう話なら、YahooもOvertureでコンテンツマッチ広告を始めれば、もう少しブログの未来論に登場できるかもしれませんが)

広告収入とソフト販売収入はどちらが足腰が強いのか

「Googleデスクトップ2」日本語版が提供開始–オフラインでGmailの検索も – CNET Japanを読んで。

 ようやくGoogleデスクトップ2の日本語版が出ましたね。

 個人的には8月から英語版を使い続けているので、いまさらという感じもありますが、改めてGoogleデスクトップの機能を眺めていると、どうしてもMicrosoftとGoogleの今後を考えずにはいられません。
 

 Googleデスクトップは、ver1の登場当時こそデスクトップ「検索ソフト」と呼ばれる存在でしたが、ver2の現在では明らかに次の段階にその歩みを進めています。

 簡易RSSリーダー的な機能や、ニュースや株価情報などの受信機能がついていれば、widget的なオプションソフト群の機能もついていて、ちょっとしたPIMとしても使えたりします。

 特に注目なのは、Gmailのデータをローカルでも検索できる点でしょう。
 GmailのようなASP型メールの最大の弱点は、データがGoogleのサーバーにあるので、PCがネットにつながってない時にメールを見ることができないところにあるわけですが、Googleデスクトップがあれば、オフライン状態でも過去のメールは検索可能。
 Googleがメールをキラーアプリとして、利用者の巻き取りを図ってくるだろうという意気込みのほどが伝わってきますね。

 
 個人的に最近気になって仕方が無いのは、Microsoftのような製品やサービスの利用料を中心にしたビジネスと、Googleのような広告収入を中心としたビジネスは、どちらが足腰が強いのだろうかという点。

 Microsoftが利用者にお金を払ってもらってビジネスを展開するのに対し、Googleのメインの収入源はそのほとんどが広告主からの広告収入。利用者からはほとんどお金を取っていないことになります。

 この二つがお互いの収益基盤を消そうと戦った場合、強いのはどちらなのでしょうか?

 Googleは、最近もGoogleOfficeの噂なんかがありましたが、広告収入が安定してハイレベルなエンジニアの給料を支え続ける限り、Microsoftが有料で販売しているサービスを次々に無料で提供していくでしょうし、今の勢いなら実際可能でしょう。

 Microsoftの最大の収益基盤であるOSの分野も、もし利用者のPCがシンクライアントの理想に近い形で動作するようになれば、LinuxなどのオープンソースOSでのデスクトップ端末の道を開く形で侵食することもできるかもしれません。

 実際、渡辺さんに教えてもらったDave’s Blogによると、GoogleがサンフランシスコのWiFiインフラを無料で提供しようとする動きもあるぐらいですから、広告収入が支える企業が、何でもかんでも利用者にサービスを無料で提供してくれる未来もあっておかしくなさそうです。

 ただ、逆にこのGoogleの広告収益基盤が脅かされることは無いのか?というのが非常に気になります。

 Microsoftのスティーブ・バルマーは「Googleとその広告事業をたたきつぶす」と明言しているそうですが、その真偽は別として、仮にMicrosoftがGoogleのAdsenseと同様の事業を立ち上げることができた場合、そのときのGoogleの優位性って何になるのでしょうか?

 確かにGoogleマップのローカル検索広告等、Googleはネット上の広告ビジネスにおいてはMicrosoftに対して、現在大きく先行しているわけですが。
 単純に広告ビジネスと考えると、Adsenseを現在使っている人たちは、より美味しい広告サービスがもし出てきたら、そちらに移ってしまう可能性もあるように思います。

 もちろん有料のソフトウェアを無料で提供されるのに比べたら、インパクトは少ないかもしれませんが、広告事業の手数料削減競争であれば、広告以外の収入源があるMicrosoftに強みがあるような感じもしてきます。
 何しろMicrosoftのソフトはプレインストールで自動的に売上が上がってきますし。
(当然、GoogleもMicrosoftが追いつく前に、どんどん先に行こうとするんでしょうが)

 実際問題、最近、MicrosoftとGoogleが水面下でAOL買収に動いているなんて話も有りますが、このあたりにはBetween the Linesブログにあるように「どの会社がAOLの広告ネットワークを提供するか」という争いを体現しているのかもしれません。

 
 あらためて歴史を振り返ってみると、御手洗さんが「マイクロソフトはとまらない」という記事で書いているようにMicrosoftは過去にも大胆な戦略転換を実行した実績があり、「PC時代の企業でネット産業でも互角の競争をしている企業ってマイクロソフトだけ」。
 
 まだまだ、この戦いがどうなるかは、見えてこない感じがしてきます。

書籍「ブログジャーナリズム」の対談に掲載されました。

ガ島通信の藤代さんにお誘いいただき、ブログジャーナリズムの書籍用のR30さん、高広さんとの座談会に参加させていただきました。
第二部として掲載されています。
素人な質問を連発していて恥ずかしい限りですが、いい勉強になりました。

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ブログとジャーナリズム、メディアビジネスの微妙な関係

市民ジャーナリズムの普及で起こるメディア革新–ダン・ギルモア氏 – CNET Japanを読んで。

 先日来日したダン・ギルモア氏のインタビュー記事がCNETにアップされましたね。

 ダン・ギルモア氏は、草の根ジャーナリズムの第一人者で、FPNのような読者投稿型ニュースサイトを運営している立場としては、非常に注目している人物の一人です。

 ただ、個人的にずっと引っかかっているのは、ブログ側の人とメディア側の人の、ブログとジャーナリズム論的なものに対する意識の違いの大きさ。

 個人的な印象としては、メディア業界のブログを中心としたCGMに対する危機意識の高さに比べ、一般的に一人ひとりのブロガーは、ジャーナリズムやメディアビジネス的なものに対して、それほど興味が無いのが普通だと思います。

 実際、自分としてもブログを日々書いている中、「ジャーナリズムたるには、中立性とか不偏不党がうんぬんかんぬん」とやられてしまうと、あまりに恐れ多いし、なんか話がややこしくなって、ブログを書く手も止まってしまうという感じがあります。

 そもそも「ジャーナリズム」ってどういう意味なんだろう?と思って、gooの国語辞典でジャーナリズムをひいてみると、

ジャーナリズム [journalism]
新聞・雑誌・テレビ・ラジオなど時事的な問題の報道・解説を行う組織や人の総体。また、それを通じて行われる活動。

 と書いてあります。うーん、やっぱりどうもこう定義されると、普通のブログがジャーナリズムな感じはありません。

 じゃあ、アメリカのjournalismが違うのか?と思ってwikipediaをひいてみたところ

Journalism is a discipline of collecting, verifying, analyzing and presenting information gathered regarding current events, including trends, issues and people. Those who practice journalism are known as journalists.

 と書いてあります。
 disciplineとか書かれると、やっぱりなんだか難しそうです。

 そんな中、先日のダン・ギルモア氏のイベントで、印象的だったのは、Jun Seita’s Webにも書かれているギルモア氏のジャーナリズムの定義

 ギルモア氏曰く
 「あなたの提供した情報に、誰か(1人以上)が有益だったと感謝したとき、そこにJournalismが成立する。」

 CNETのインタビュー記事でも、ハリケーンカトリーナやロンドンのテロ事件における一般市民の写真などを例に挙げて「撮影した人が実際に何の仕事をしているかわかりませんが、その人はその写真を撮った瞬間、まさにジャーナリストでした。」と市民ジャーナリズムの定義をしています。
 なるほど、確かにこういう定義であれば多くのブログはジャーナリズムに当たるのかもしれません。  
  

 そんなことを考えながら改めて、メディア側の人の危機意識の根の深さが分かってきた気がします。

 メディア側の人とブログを書いている人の意識がずれているのは、ある意味当たり前ですよね。
 結局のところ、ブログを書いたり携帯電話のカメラで写真をアップしたりする一人ひとりは、それほどジャーナリズム的なものを意識して活動しているわけではなく、ジャーナリストとしての収入を欲しているわけでもありません。
 一般的に、ブログを書いている人はあくまで趣味の延長で、ジャーナリズムやメディアビジネスを日々意識する必要は無いわけです。

 ただ、この個人個人の生成した情報を集団として捉えると、メディア側にとっては見える世界が確かに変わります。

 シンプルに、この個人の集団を自分達のビジネスを脅かす新たなライバルとして捉えると、自分達のビジネスの収益のもとを、趣味で無料でやってしまう人たちとの競争という軸の思考回路になりますから、それはやっぱり大変です。
 

 やっぱり、ここは思考回路を切り替えるべきでしょう。

 ギルモア氏が言うように、「ユーザーが作り出すコンテンツがプロの作るジャーナリズムに取って代わるというより、両者は補完関係にある」という思考回路に立てば、逆にメディアビジネスのパラダイムが変わろうとしている今こそ、新しいビジネスチャンスだということが言えると思います。

 結局のところ、ブログを書いている個人個人が集団としてのジャーナリズムを意識しない限り、既存のマスメディアの役割をこの個人の集団が本質的に置き換えることは無いでしょう。
 マスメディア的なものの必要性というのは今後も存在するはずです。
 
 米国ではメディア産業がネット企業を買収したり、先日はAOLがブログ発行会社のWeblogs,Incを2500万ドルで買収なんてニュースもありましたし、多分メディアが挑戦できることって、もっといろいろあるんだろうと改めて感じる今日この頃です。

全くオタクじゃない人なんて本当にいるのだろうか

ITmediaニュース:オタクは遍在する――NRIが示す「5人のオタクたち」 (1/2)を読んで。

 野村総研が、オタク市場について再定義をして、オタク人口を172万人、市場規模を4110億円と発表したそうです。

 何でも、昨年の調査結果の反響が大きかったので、今回は勢いに乗って調査対象を広げたとかで、そのテーマは12分野。

 昨年が「アニメ」「アイドル」「コミック」「ゲーム」「自作PC」だったのに対し、今回は「AV機器」「携帯型IT機器」「クルマ」「旅行」「ファッション」「カメラ」「鉄道」の7分野を追加。
 
 野村総研によると「オタク」はもうアニメやコミック、SF好きに限るものではなく、「オタクはすべての趣味分野に存在するというのが同社の考え」だそうで、こだわりの対象に対して、所得や余暇時間のほとんどを費やす「消費性オタク」と、「自分の趣味を周りに広めたい」「創造活動をしたい」と考える「心理性オタク」の2種類の特性を兼ね持つ人が真のオタクだそうです。

 この定義で行けば、私は昔はジャンプオタクやゲームオタク、今は世界遺産オタクにブログオタク、うちの嫁さんはカバンオタクというところですが。
 これだけ定義が広がってくると、オタクを定義しているのか深い趣味のことを言い替えてるだけなのか良く分からなくなってきますね。
 

 個人的には、この定義で全くオタクに当てはまらない人って本当にいるんだろうか?とか改めて思ってしまったりします。

 自分がはまれるものを見つけたときには、それに没頭したいと思うだろうし、その魅力を他の人に知ってもらいたいと思うもんだったりするもんなんじゃないのかなーとか思ったり。

 まぁ確かに仕事があったり、家庭があったりすると、何もかも捨てて長期間没頭するとかするのは難しいと思いますが、多かれ少なかれ人間なんだから、ある程度の趣味やはまるものってあるはずです。

 
 そんなことを考えていたら、ふと「定年退職したお父さんが、趣味が無いから家でやることもなくボーっとしている」なんて話を思い出しました。
 そういえば、現在定年退職を迎えるような世代は、自分の趣味どころか家庭も犠牲にして会社のために働いた人が多かったと言われる世代。

 確かに、その世代からすれば、趣味に没頭できる人間は確かに異質なのでしょうし「オタク」というのは少数派なんでしょう。
 でも、趣味がある人とない人を比べると、限度はあるものの、趣味がある人の方が人間として豊に見えるのは私だけでしょうか?

 これからライフスタイルが多様化してくれば、ひょっとしたら「オタク」の方が普通で、趣味に没頭する人たちをオタクと呼ぶ、「趣味無し人間」の方が変だったりする時代になるのでは?

 そんな変なことを思ってしまったブログオタクの3連休初日でした。

アップルのバズマーケティングの凄さ

「ビデオiPodか、それとも?」–アップルの「発表」にさまざまな憶測 – CNET Japanを読んで。

 10月12日に、またまたアップルが何かしら大きな発表をするようです。

 9月7日のイベントの時には「Here we go again(またその時が来た)」だった招待状のメッセージ、今回報道陣あてに送られた招待状には「one more thing(あともう1つ)」と書かれているそうで。

 なんでもiPod情報局によると、この招待状にある「One more thing…」というのは「アップルコンピュータCEOのスティーブ・ジョブズ氏が新製品を発表するときのお決まりの文句だ」そうです。
 しかも招待状の画像は思わせぶりな赤いカーテン、これは気になってたまりませんね。

 すっかりブログ界は、この話題で盛り上がっているようで、「さっそく何千人ものブロガーがさまざまな可能性に言及している」模様。
 しかも、新型iPod説から、実は意表をついてMacじゃないかという話もあれば、ついには、「携帯電話のカメラで隠し撮りしたという「設定」」のビデオiPodの画像が流出していたり、BBCがフライングでアップルが10月12日にビデオiPodを発表するというニュースを流したとか、マスメディアも巻き込んでの憶測合戦が始まっています。
 

 それにしても、このアップルのバズマーケティング手法の上手さは本当に憎らしいほどですね。
 マスメディアを通じて発表するだけであれば、こんな回りくどいことをする必要はないんですが、事前にこういう噂を流すことによって、発表以前にも噂話によって世間の注目を発表に集め、発表と同時に口コミのエネルギーをさらに爆発させる。

 もちろん、そこで発表する製品の魅力が無ければ、二度と通用しない手法になるわけでしょうけど。
 アップルはこれまでのところ毎回期待を裏切らないどころか、たびたび期待を超える発表を続けてきていますから、非常に良いポジティブな口コミのサイクルが回り続けている感じですね。

 個人的には、これだけ口コミがまわってればテレビコマーシャル打たなくても良いんじゃないの?とか思っちゃったりもするんですが、アップルはテレビコマーシャルもまためちゃめちゃ上手いですからねー。
 本当にアップルのマーケティング担当者の爪の垢を煎じて飲みたいところです。

 そういえば、さすがに今度はソニーの同日発表は無いんでしょうか。