P2P で何が変わるのか:インスタントメッセージング

前回のコラムでは、いくつか P2P アプリケーションの主なものをご紹介しました。今回からは、それぞれもう少し深く P2P ならではの特徴を見ていきたいと思います。


前回のコラムでは、いくつか P2P アプリケーションの主なものをご紹介しました。今回からは、それぞれもう少し深く P2P ならではの特徴を見ていきたいと思います。

皆さん、インスタントメッセージングというソフトウェアはご存知でしょうか? この言葉自体は知らない人も、 Windows メッセンジャーや Yahoo メッセンジャーと言えばご存知の方は多いはずです。(Windows XP には、Windows メッセンジャーが内蔵されていますね。)

インスタントメッセージングソフト(以下 IMソ フト)は、基本的にはパソコンからパソコンへと簡単なメッセージを送ることができるソフトウェアです。「メッセージを送るなら電子メールでいいんじゃないの?」と思われる方も多いかもしれません。確かにメッセージを送るという行為は同じですが、前回のコラムでも説明したように、 IM ソフトにはメールにない P2P ならではの特徴があります。

■リアルタイムのやり取りが可能

メールと異なり、間にメッセージを蓄積するためのサーバーが存在しませんので、送信するとすぐに相手に届きます。そのため、電話のようにリアルタイムのやり取りが可能です。

■相手の状態が分かる

パソコン同士で直接相手を認識するため、相手がいるかどうか(少なくとも IM ソフトが起動中かどうか)を把握することができます。

ただし、相手のパソコンが起動していることが必須のため、メールのように相手がいない間に送るということはできませんし、ファイアウォールを越えてやり取りをするのが難しかったり、異なる IM ソフト同士で通信することはできなかったりと、様々な制限もあります。

なお、通常の IM ソフトではサービス提供元の会社にあるサーバーを中心に動作している形になっているため、サーバー型アプリケーションに近いというのが実態です。

ちなみに、最近はグループチャットやファイル共有の機能、 VoIP(インターネット電話)の機能などが盛り込まれているものが増えています。おそらく今後も様々な機能が盛り込まれていくものと思われます。

なお、IM ソフト分野自体は最近急成長を遂げている分野で、利用者はすでに世界で2億人とも3億人とも言われています。

また、IM ソフトのことを、個人向けのただの雑談ソフトと思っている人も多いかもしれませんが、 IM ソフトは業務利用のアプリケーションとしても非常に注目されています。米調査会社の InsightExpress によると、 2001年夏の段階で、すでに IM ソフト利用者の20%が職場で、職務を遂行する目的に利用していたという調査結果もあります。

現在、アメリカでは企業向けの IM ソフトの覇権争いが始まっており、 3月上旬には、 Microsoft が企業向け IM ソフトのテスト版をリリースしたことで話題を呼びました。

企業によっては利用を制限する方向に動いているところも少なくないようですが、将来的には電子メールと同様にインターネット時代に欠かせないコミュニケーション手段になると言われています。

参考:主な IM ソフト一覧

MSN メッセンジャー
AOLインスタント・メッセンジャー
Yahoo!メッセンジャー