2004/9/22にjapan.internet.comに掲載されたコラムです。
前回のコラムでは、 P2P でも著作権を守れる技術として、 NetLeader というサービスを紹介しました。
ただ、著作権を守るという行為は、もちろん技術だけでなされるわけではありません。
今回は、少し P2P ソリューションから離れて、技術的なサービスではない活動を紹介します。
■セキュリティ協会が提言するファイル交換のガイドライン
現在、日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)から、「P2P ファイル交換安全利用ガイドライン」が公表されています。
JNSA とは、日本におけるネットワークのセキュリティレベルの維持・向上や情報セキュリティ意識の啓発を中心に活動している、 NPO(特定非営利活動法人)です。
JNSA には200社近い企業が参加しており、制作部会や技術部会などテーマごとに分かれた部会でワーキンググループを構成し、成果物の作成や啓蒙活動など幅広い活動をしています。
今回ガイドラインを作成したのは、その JNSA の技術部会の「コンテントセキュリティ WG」というワーキンググループで、現在は下記の2つの項目をうたっています。
P2P ファイル交換安全利用ガイドライン
・著作者の許可なく著作物を収録したファイルを交換しない
・著作者の許可なく著作物を収録したファイルを中継しない
■違法な著作物のコピーに一石を投じることができるか?
このガイドラインは実にシンプルなつくりになっていますので、驚かれる方も多いと思います(詳細は JNSA のサイトでご覧ください)。
以前「著作権とコピー技術」のコラムでも触れましたが、本質的には、このガイドラインでうたわれていることは、 P2P ファイル交換ソフトだけの話ではありません。
ただ、P2P ファイル交換ソフトの登場により、著作物の違法コピーがこれまでとは比較にならないレベルで広がっていることも事実です。
それほど深い罪の意識もなく誰でもできてしまうということも、大きく影響していると考えられています。
はたしてこのようなガイドラインが、違法コピーの増加に一石を投じることができるのでしょうか?
現在 JNSA はこのガイドラインを Web サイトに公開し、ガイドラインへの意見を募集しています(意見募集期限は9月30日までです)。
皆さんも意見を提出されてみてはいかがでしょうか。