CNET Japan Blog – 梅田望夫・英語で読むITトレンド:データの重要性を指摘するO’Reillyを読んで。
タイトルだけを見たときは良く分からなかったが、この記事の中心テーマは、まさに私の最近の個人的興味の中心と完全に重なっていた。
テーマになっているのはSNS(この記事ではソーシャルソフトウェアと定義されている)とGoogle、Microsoft、及びP2Pだ。
最近GREEを使えば使うほど感じていたのだが、メールのアドレス帳とSNSが連動していれば確かにそんな便利なことは無い。
前回「MSNがソーシャルネットワーキング「GREE」に学んだこと を読んで」でもメールとの親和性についてtakeshimさんがコメントしてくれている。
それから良くGoogleのGmailとOrkutの統合についての話を知人としていたのだが、MicrosoftもOutlookで同様の取り組みがあるとは知らなかった。
まぁ、冷静に考えれば当たり前のことなのかもしれないが。
梅田さんが書いている「データ・ロックイン」というのがキーワードだろう。
GREEにしてもmixiにしても、利用者がSNS上で友達リストを完成させようとする行為をベースに利用者数を増やしている。確かにその過程は楽しい。
だが、大抵の人は友達リストを増やすのに疲れた段階でSNSに「飽きて」しまうようだ。
(私は別に飽きても良くて、ゆるくつながっていること自体がSNSの良さだと思っているが)
結局人間は怠惰な生き物なので、友達リストをいくつも作るのは無理なのだ。
メールアドレス帳に、IMのコンタクトリスト、SNSのリンクリスト、年賀状の送付リストに名刺データベース。本質的には同じモノのはずで、そのデータをあっちにもこっちにも入力するのは正直相当手間だ。
そう考えると、「必須のツール」であるコミュニケーションツールとSNSのような仕組みの連動は必須で、それらのデータを握った企業がネットの中心を維持できるという理論は非常に良く分かる。
実際、コミュニケーションツールとSNSが連動すると、現在とは全く違うソーシャルソフトの世界が出てくるはずだ。
例えば、GREEで友達リストが100を越えると正直もう管理不能に陥る。
仲の良い友達も面識の無い人もゴチャマゼだし、どういう知り合いだったか、疎遠なのかどうかも識別不能だ。
他のメンバーから見ても、例えばキーマンとのリンクが多い人がそのキーマンと本当に「濃いつながり」なのかどうかは良く分からない。
そのためにリンクの数だけが勝ちになってしまい、むやみに知らない人にリンクを張って数を増やした人が、なんだかキーマンのように見えてしまったりもする。(私も人のことは言えないが)
Orkutがリンクの際に相手を5段階評価する仕組みを取り入れているのも、このあたりの問題意識からきているのかもしれないが、これがメールやIMのやり取りの多さが自動的にリンクの濃さに反映されるとどうだろう?
誰が誰と本当に濃い中なのか一目瞭然になるし、自分が誰と最近コミュニケーションが疎遠になっているのかも一目瞭然だ。
そんな便利なソーシャルソフトなら手放せなくなることは間違いない。
ただ、ここで私もTim O’Reillyと同じ疑問を感じてしまう。
「はたして、そんな重要な情報の管理を一企業に頼らないといけないのか?」
そのソーシャルソフトに頼れば頼るほど、自分がビジネスで、プライベートで、どういう人とどのように付き合っているのかサービス提供企業には一目瞭然だ。
もちろんそこは倫理や信頼の問題だから、技術の問題とは別問題なのだが。
これだけテクノロジーが進化しているのに、私たちはまだ自分のコミュニケーションやデータの管理を企業に頼らないといけないのだろうか?
自分がP2Pに携わっているから言うわけではないが、もっと利用者自身のツールとして存在する手帳やカレンダーのようなツールが出てきてしかるべきではないのだろうか?
私がP2Pに魅力を感じているのも、そういう視点からなんだなぁと改めて感じてしまいました。
(なんだか一人でちょっと勝手に感動してしまったので、長くなってしまってすいません)