日本でマス広告神話の崩壊はいつ始まる?

【波多野blog】 マス広告神話の崩壊を読んで。

 日経ビジネスで「もうCMは売れない-テレビ万能のウソ」という特集が組まれています。


 波多野さんのブログでは下記のようにコメントされています。

「顧客接点、いわゆるコンタクトポイントやタッチポイントについても述べられているが、これらの考え方と費用対効果などを突き詰めると、当然高額なマス広告への投入額は低くなる。とくに、効果測定の困難なイメージ広告などと比べると、ログやコンバージョンレートがわかるネット、ダイレクトマーケティングは広告主からすると理解しやすい。」

 広告主の側からすると、最近の流れは明らかにこの方向だと思います。
 GoogleのAdsenseのようなキーワード広告に代表されるように、ウェブ広告は広告を見た人の行動を最終的な細かいコンバージョンのレベルまで補足することができるので、費用対効果が実に明確です。

 それに対してテレビCMのようなマス広告は、費用が巨額の割に成果が非常に見えづらく、効果測定が困難です。

 AD Innovatorの織田さんがnikkeibp.jpで米国AD TECHのレポートをまとめていますが、このレポートの中でも「今までのマスメディア型の一方向のメッセージの伝達の時代は終わり、企業と消費者間、消費者同士での双方向のコミュニケーションが始まっている」というコメントや、「マスマーケティングは終わった。なぜならマスメディアは終わったからだ」という発言など、米国で脱マスメディアの流れが明らかになっているのが読み取れます。

 ただ個人的には、日本国内では、それほど肌でその変化を感じられていません。
 先週Eビジネス研究会で、@コスメで有名なアイスタイルの吉松社長の講演を聞いてきましたが、その中でも大手化粧品メーカーの広告戦略がいまだにマス中心で動いているという話が出てきました。
 
 先日「ハードディスクビデオと電通の未来 を読んで」にも書きましたが、電通の業績は好調ですし、広告代理店の方々も、結構強気な話をされる方が多いです。

 実際のところ、日本でマス広告崩壊のきっかけは本当に見え始めているんでしょうか?
 どうも素人には良く分かりません。
 
 まぁ結局、「シフト」が始まっているだけなら、全体として大きく変化して見えるまでには数年かかるという話かもしれませんね。
 

 ちなみに、将来の広告の流れを考える上で興味深い記事を二つ見つけたので、メモも兼ねて紹介しておきます。

 一つは、goodpicの「U2が無料で協力するiPodと、FireFoxの25万ドル寄付広告に見る「プロモーションの自由」」で書かれていた「情報の蓄積というだけでなく、実際の商品の購買行動においても「意見交換してみる価値がある」商品が、自然淘汰を生き残っていくのかも。」という視点。
 そもそも口コミ的なものが発生する商品かどうかという、商品自体の価値が重要という話。

 そして、H-Yamaguchi.netの「ゲームにおけるプロダクトプレースメント」で書かれていた「新たな媒体が生まれればそこに広告がつく。きわめて自然な流れだ。ゲームの場合、通常の映像コンテンツに比べてインタラクティブ性が強いため、これからさらに発展し、新たな手法が開発されるだろう。」という視点。
 利用者の視線や興味を拘束できるものであれば、何でも広告になりうるという話。

 こうやって考えれば考えるほど、テレビ広告を中心にマス広告を打てば何とかモノを売ることができたという時代は終わるんだなぁ・・・と思うのですが。

 はたしてテレビCMを中心に10億円投じて力技で知名度を上げようとしている9199.jpはどうなるのか、興味深々な今日この頃です。