2004/12/2にjapan.internet.comに新しいコラムが掲載されました。
前回と前々回に紹介した医療情報やワイン日記は継続的な情報共有を目的としているアプリケーションですが、今回紹介するのは、突発的な事態の情報を共有しようというアプリケーションです。
その名も「P2P 地震情報」。
「地震情報なら Web サイトで見ればいいよ」という方もいるかもしれませんが、このソフトウェアは P2P 技術の分散性に目をつけた面白い仕組みになっているのです。
■P2P 型の特徴を生かす
新潟県を中心に大きな被害をもたらした新潟県中越地震は、まだ皆さんの記憶に新しいところだと思います。
地震の直後というのは人々がいっせいに状況確認を行おうとしますので、情報のやり取りがピークに達します。新潟県中越地震の際も、固定電話や携帯電話はいっせいにつながりづらくなりました。
気象庁の Web サイトなどによる地震情報配信も、本質的には同じ問題を抱えています。
例えば、全国の人がいっせいに気象庁の Web サイトにアクセスすると、当然サイトへのアクセスは混雑します。また、そもそも気象庁の Web サイトのサーバーがある地域に大地震が発生すると、誰も地震情報を入手できないというリスクもあります。
「P2P 地震情報」はその代替手段のひとつとして、分散処理のできる P2P ならではのメリットを生かしている点が特徴といえます。
■P2P 地震情報の機能
地震情報と言えば気象庁ですから、このアプリケーションは気象庁主導で作成していると思われるかもしれません。
ところが、実はこの「P2P地震情報」は、「地震が気になる」一人のプログラマの方によって開発されています。
機能も地震情報の共有機能に特化し、広告もなければ、その他のニュースの配信機能もありません。
とにかく地震情報をいかに素早く効率よく伝達するかということを考えて P2P 技術を選択し、開発を始めたそうです。
現在「P2P 地震情報」で実現しようとしている機能は下記の3点です。
・気象庁が発表する最新の地震情報の自動チェック
・利用者の口コミによる迅速な地震情報の発信・共有
・地震に関するメッセージの交換
地震情報の分散配信だけでなく、利用者の口コミを情報源に使おうとしているところも、実に P2P ならではの仕組みだと言えるでしょう。
12月から公開されたばかりのソフトですので、まだまだ動作不具合もあるようですが、来たる12月18日には、動作検証を兼ねて公開で配信テストをされるようです。
興味のある方は参加されてみてはいかがでしょうか。