ハワード・ストリンガーCEOはソニーの新たな時代を作れるか?

ソニー出井氏、「ちょっと寂しい気もする」–代表交代の会見にて – CNET Japanを読んで。

 会社ですからいつか経営陣交代するものですが、さすがに今回の人事には驚きましたね。

 このタイミングというのもそうですが、なんといっても誰もが驚きなのは、ソニーのトップにいよいよ日本人以外の人間がつくことでしょう。
 アメリカ人がソニーをアメリカの会社と思っている、というのが良く聞く笑い話でしたが、これでソニーも名実ともに真のグローバル企業の仲間入りと言う感じでしょうか。

 日本人としては少し寂しい気もしますが、まぁグローバルカンパニーという視点で考えると、逆に遅かったぐらいの人事なのかもしれません。

 今回の人事が自発的なものなのか、委員会の圧力によるものなのかは良く分かりませんが。
 出井さんが14人抜きで社長に選ばれたときも、海外のメディアで「Idei Who?」という見出しがあったという逸話があったように、このタイミングでこういう人事を発表してくるところがいかにもソニーらしいと言えるのかもしれません。
livedoorコンピュータの記事によると、なんとハワード・ストリンガー氏はナイトの爵位も持ってるそうですが・・・)

 ちなみに個人的に注目したのは、プレステ成功の立役者だった久夛良木さんが、社長になるどころかソニーの取締役からも外されたこと。

 一部では次期社長の呼び声も高かった久夛良木氏ですが、いくら今回社長になれなかったといってもまだ50代。
 本来なら退任させられる年ではありませんよね。

 今後は、「ゲームビジネスグループ担当COOとしてゲームビジネスを統括し、新たにグループ役員に就任する予定」だそうですが、その前はセミコンダクタからホームエレクトロニクスまで中核事業を幅広く担当していたことを考えると、印象としては完全に「久夛良木外し」。なんとなく出井、安藤両氏に道連れで退任させられた感じを受けます。

 まぁPSXも中途半端でしたし、PSPでもいろいろありましたから、久夛良木さんにとっては人事のタイミングが悪かったと言うのもあるのかもしれませんが、これで久夛良木さんも元のゲームの世界に逆戻り。
 プレステシリーズ自体も、今後はゲームを中心にしたフィールドに回帰するのでしょうか?

 もちろん、果たして今回の人事でソニーが復活を遂げることができるのかどうかは、これまた未知数。
 CEOのハワード・ストリンガー氏がコンテンツ畑で、社長の中鉢良治氏がエレクトロニクス事業の生え抜きと、見た目のバランスは良さそうに見えますが、はたしてそのバランスに意味があるのかどうかは微妙です。
 
 出井さんいわく「久夛良木氏と中鉢氏を比較することはできないが、中鉢氏はよく周囲の声を聞いたうえで適切な時期に適切な決断ができる人物だ。」とのことだそうですが、R30::マーケティング社会時評では中鉢氏の社長就任は「エレキ出身の人を誰か上に置かなければならないという政治的妥協の産物ではないのか?だとすると今後も厳しいなあ。」と厳しい指摘がされています。

 ハワード・ストリンガーCEOにしても、経営陣のほとんどはいまだ日本人なわけで、いくらグローバル企業のソニーとはいえ、いろいろと障害もあることでしょう。
 コンテンツ事業の中心は現在は米国ですから、活動拠点の問題なんかもでてきそうです。
 
 今回の人事が後から振り返って、さすがソニーの人事は違うと言われる出来事の一つとなるのかどうか、注目したいと思います。