CNETで「オピニオンリーダーによる2006年展望」という企画が組まれてます。
どの記事も興味深いのですが、個人的に注目したのはインフォテリアの江島さんの「 アテンション・エコノミーの本格化 」という記事。
アテンションエコノミーという言葉は、昨年の中ごろにアットマーク・アイティの樋口さんのブログ経由で知ってからずっと気になっている言葉です。
(この記事については、昨年末にPDFファイルバージョンが公開されています。必見です。)
言葉の定義や詳細は江島さんや樋口さんの記事を見ていただければと思いますが、ポイントは、情報の発信はインターネット経由で低コストで無限に近くできるようになったのだけど、受信側のアテンションは結局有限なので、このアテンションをいかに獲得するかに価値が移ってきているという点でしょう。
ぱっと読むと、当たり前のように見えるかもしれませんが、実はこれまでの経済というのは情報の発信側に重きがあった経済。
情報は貴重で、入手するのは大抵有料。
他の人が知らないことを知ったり考えついたりした場合、大抵の人はじっと黙ってその知識を知っていることを価値としようとしていたはずです。
それがインターネットによって、多くの情報が無料に近いコストで入手できるようになり、知っていることを隠すことに意味がなくなりつつあります。
もちろん真にネットに出てこない情報という分野はまだまだあるのですが。
ちょっとしたビジネスモデルや新サービスは考え付いたことを黙っていたところで、どこかで誰かが思いついてブログなりなんなりに書いてしまうので、自然とその情報自体は価値を急速に失っていきます。
この経済圏でアテンションを誘導できるGoogleが力を持っているのは多くの人が書いているところですし、APIやフィードでデータをオープンにすることにより、周辺の顧客や開発者のアテンションを巻き込んでいくというスタイルが増えてくるのも、この流れと合致するように思います。
今後は、del.icio.usやはてなブックマーク、diggのようにインターネット上の情報を集合知の形で抽出することでアテンションを集めるサービスというのがますます注目されていくことでしょう。
ちなみに、ここで、個人的に気になってくるのが、この流れが果たしてクローズな情報にどういった形で反映されてくるのか。
情報技術におけるイノベーションの歴史は、常に個人にパワーを与える技術がブレイクスルーとなって始まり、次第に小規模グループ、そしてエンタープライズで使えるものへと発展していく道のりを繰り返してきた。あらゆる技術はオープンに始まり、クローズへと向かう。ブログの次にソーシャルネットワークや Wikiが流行したのは単なる偶然ではない
上記のように江島さんも書いていますが、個人的にも今後重要なのはある程度情報をクローズにできる技術だと考えています。
(まぁ、オープンなインターネットはGoogle、Microsoft、Yahooの3強の陣取り合戦の様相を呈しているから、もうあんまり面白くないというのもあるんですが。)
アテンション・エコノミーにおいてアテンションを得るのが重要だというのは理解できるものの、ではインターネット上にオープンできない情報は、どのように共有すべき相手と、共有していくべきなのか。
個人におけるクローズ情報は、当面mixiのような利用者が多いサービスの独壇場となるのか、それとも状況別に複数のサービスを使い分けるようになるのか。
企業内や組織内においても、現在のインターネットと同様のアテンション・エコノミー的な文化を作るべきなのか。
それともそういうクローズな情報については相変わらず情報量が少ないから、これまでの情報を知っている人が有利という状況は基本的に変わらないのか。
なんだか頭が混乱して仕方が無い今日この頃ですが、今年はこの「アテンション・エコノミー」というキーワードで、もう一度いろいろと考えてみたいと思っています。
アテンション・エコノミーというキーワードで見る2006年。
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情報は無限。興味と関心は有限。;ET研究会
土曜の朝、ET研究会に出席。題材は前回に引き続きGoogle。 樋口さんの「ブロ