先日、うちのエンジニアのHさんに、こんなことを言われました。
「会社のサイトをWeb2.0化したいんですけど、広告ってどうやって貼ればいいんですか?」
要は、彼曰くWeb2.0≒広告掲載ってことでしょ、という皮肉のようです。
まぁ、そういわれると自分自身も未だにWeb2.0の本質が良く分かってないことですし、Web2.0の代表的なサービスを提供している企業ってどういうビジネスモデルなんだろうと改めて気になったので、ちょっと調べてみました。
オライリーがWeb2.0の代表としてあげていた企業や、「The Best Web 2.0 Software of 2005」にラインアップされていたサービスの一部をレビューした際に調べた結果はこんな感じ。
(サービス名からは、関連の記事や会社のブログで書いたレビューにリンクしてあります。)
サービス名 | 利用料 | 広告 | 備考 |
Flickr | 無料(有料有) | 無い? | Yahoo!が買収 |
BitTorrent | 無料 | 無い | |
Wikipedia | 無料 | 無い | 寄付で運営? |
upcoming.org | 無料 | 無い? | Yahoo!が買収 |
Eventful(EVDB) | 無料 | Adsense | |
Zvents | 無料 | Adsense | |
del.icio.us | 無料 | 無い? | Yahoo!が買収 |
digg | 無料 | Adsense | |
memeorandum | 無料 | 無い? | |
writely | 無料(有料化予定) | 無い | |
voo2do | 無料 | 無い | 寄付で運営? |
Remember the Milk | 無料 | 無い | |
Openomy | 無料(有料化予定) | 無い | |
CalenderHub | 無料 | 無い | |
kiko | 無料 | 無い | |
Basecamp | 無料(有料有) | 無い | |
Central Desktop | 有料(試用可) | 無い |
これだけ見ると、思ったよりもWeb2.0系のサービスは必ずしも広告収入に依存しているサービスばかりではないようです。
というより、広告を収入にしているのは少数派ですね。
Yahoo!に買収された企業や、diggのようなスゴイ勢いでページビューが伸びていて広告でも結構儲けているだろうと想像される勝ち組と比較すると、それ以外のサービスが目立った収入源も無い形で提供されているのも印象的。
そんなデータをまとめながら、「らいおんの隠れ家 – ポール・グレアム「就職なんてもう古い」」とを読むと、改めてなるほどなぁと思わされます。
ウェブ・ベースの起業に必要な主なコストは、メシ代とレンタル代だ。
つまり起業のコストは、怠けているときと大差ないってことだ。
ラーメンをすすって生活する覚悟があれば、たぶん100万円程度の資金で起業できるだろう。
ベンチャー企業が利益を上げる前に、大企業が買収をすることはよくある。
そんな場合は、明らかに利益が目当てじゃない。
開発チームと、それまでに作ったソフトウェアが欲しいだけだ。
もしベンチャー企業が半年で2~3億円で買収されれば、雇われたときのボーナスよりもずっと多いだろう。
この種のことはますます起こるし、その方が皆にとって良いだろうと思う。
ついこれまでの常識的(?)なビジネスモデルの枠内で考えてしまうと、収益の目処のたたないサービスなんて提供してどうすんだろうと思ってしまいがちなんですが。
これって私たちがブログで情報やアイデアを無料公開しているのと、話はそんなに変わらなくって。
結局、サービスの開発者がリスクを共用できる限り、無料で提供し続けることができるなら何の問題も無いんですよね。
彼らがやらなければ、いつか別の人が代わりにやるだけで。
自分でやりさえすれば、無料でサービスを提供していても、利用者が増えていつかひょっとしたら利益が上がるかもしれないし、買収してもらえるかもしれないし、ヘッドハントされるかもしれないし、利用者に喜んでもらえるかもしれないし、友達に驚いてもらえるかもしれないし。
それら全ての可能性が無かったとしても、少なくとも開発者自身はそのサービスを開発したことで何かを学ぶことができるでしょうし。
そういったリターンを考えると、そもそもリスクはそれほど高くない気もしてきますよね。
あらためて、数万人、数十万人に利用されるサービスを、数人のエンジニアが作ってしまえるという、インターネットとチープレボリューションの恐ろしさを身に染みて感じてしまいました。
これもWeb2.0時代ならではの現象の一つと言えるのでしょうか?
果たして今ソフトウェア「産業」と呼ばれているものは、いったいどうなってしまうのでしょう・・・
web2.0企業に見るビジネスモデルとワークスタイル
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