読者の少ないブログの方が価値があるかもしれない

 先日、「ブログを多くの人に読んでもらえる方が良いとは限らない」という記事を書いたが、1月にそれに関連してちょっとショックな出来事があった。
 ブロガーカンファレンスの打上のときに、小鳥さんに「徳力さんはアルファブロガー投票企画とかやってますけど、僕らみたいなブロガーはどういう位置づけなんですか?」と聞かれてしまったのだ。
 どうも、投票企画を率先的にやってたために、「徳力は人気ブログ至上主義者」だと思われてしまっていた模様。(きっと多くの人がそう思っているんだろうけど、正直、結構悲しかった)
 この場を借りて、改めて釈明させていただくと、実は個人的には人気ブログ自体にはそれほど興味はなかったりする。
 こんな書き方をすると、逆に人気ブログに選ばれた方々に失礼かもしれないが、そもそもアルファブロガー投票企画を実施したのは、いわゆる人気ブログランキングとかアクセス数ランキングの視点だと、芸能人ブログとか、鬼嫁日記のような面白い読み物系のブログに注目が集まってしまうので、そうじゃないビジネス系のブログで多くの人に読まれているのは誰か知りたかったから。
 で、アルファブロガーとの座談会とかインタビュー本とかを企画したのは、もっと多くの日本のビジネスパーソンが、こういうブログを書くようになったらブログも、もっと日本も面白くなるんじゃないか、と思っていたからだ。
 その辺の感覚は、梅田さんのBlog論がらみの記事で「大組織に属する超一流の技術者や経営者が本気でBlogを書くということも、どうも日本では起こりそうもない。」という問題提起がされていたのをご存知の方であれば、理解していただけるのではないかと思う。
 だから、当然個人的には、アルファブロガーに選ばれるようなブログがもっともっと増えて欲しいと思っている。
 ただ、今からブログを始めて、すぐに有名ブログになることは不可能だとは言わないが、相当難しいと思う。
 既に各分野ごとにある程度有名ブログの中心というのはできているし、これだけブログが増えてくると自分のブログに気づいてもらうのも一苦労だ。
 なので、最初はアクセス数や広告収入を増やすことを目的にブログを始めない方が良いんじゃないか、と口説く書いているわけだ。
 
 じゃあ、ブログを書くのは自分のためにしか役立たないかというと、もちろんそんなことはない。 
 仮に多くの人に読まれることが無かったとしても、それでも、多くのアルファブロガーのようなビジネス系、論考系のブログを書くことは、かならず自分のためだけでなく、他の人の役にも立つと思う。
 その点で、個人的に大きな影響を受けたのが、昨年ダン・ギルモアさんが来日した際にイベントで発言されていたこと

たとえば、15人の読者しかいないブログでも、その人たちにとってものすごく切実で、非常に熱心に読まれているとすれば、人気があって(読者の数が多い)ブログよりも、情報の価値が高いと思う。(当日の詳細は小林恭子さんのブログをご覧下さい)

 ブログを既存のマスメディアと同じ価値感で捉えてしまうと、アクセス数や購読者数が多いこと=良いことと、考えてしまいがちだ。
 でも、インターネットやブログによって、既存のメディアではカバーしきれなかった膨大な情報が、私たち一般人によって発信可能になったことが、実は一番面白いところだと思う。
 実際、最近ブログを読んでいるおかげで、ニュースサイトでは取り上げられないけれども自分のビジネスにとっては重要なニュースに気づくことが出来たり、検索した結果、ニッチなサービスに関する他の利用者の感想なんかを読むことが出来るようになった実感がある。
 実際、アルファブロガー本企画でインタビューをした際にも、それぞれのアルファブロガーの方は、皆さん自分のためや趣味でブログを書いていたのが、いつのまにか多くの人に読まれるようになったという話をされていたのが印象的でした。
 そういう意味では、アクセス数や読者数を気にしながらブログを書くぐらいなら、多くの人は気にも止めないようなニッチで深い自分が興味のある話題を、自分なりの自然体の文章でブログに綴っているほうが、本当の意味で価値が出せるのかもしれない。
 そんなことを思ったりするわけです。
 (そうは言ってもやっぱり読者数とか、アクセス数は気になるんですけどね)

“読者の少ないブログの方が価値があるかもしれない” への4件のフィードバック

  1. 読者の少ないブログの方が価値があるかもしれない

    先日、「ブログを多くの人に読んでもらえる方が良いとは限らない」という記事を書いたが、1月にそれに関連してちょっとショックな出来事があった。  ブロ…

  2. 読者数の多い少ないより、反応(コメント、トラックバック、はてブ(笑)の多い・少ないの方が、書く側としては楽しみは大きいですね。
    ただ、そればかりだと、ブログより mixi の方が楽しいと云うことになってしまいます。
    ブログの醍醐味は、まったく知らなかった人の反応が得られたときでしょうか。それだけに spam だとがっかりというより、怒りというか、殺意が芽生えます(笑
    有名どころでも、特定のところを除くと、結構、トラックバックやコメントは少なかったり、特定の人ばかりだったりしますね。
    だから、アクセス解析とかで読まれているのかどうか、気になっちゃうという場合もあるんじゃないか、とか思います A^^;;

  3. 徳力さん、こんばんは、
    四流の経営者ですけど、本気でブログ書いてますよ。
    ブログを書くことを通じて学ぶことは多いですし、大きいです。
    やはり、たとえ10人でも、たとえ1人でも、ブログを通して交流させていただくときに感じる相手の人格の確かさ、その手ごたえに感動を覚えます。

  4. Tigerさん、ひできさん、コメント有難うございます。
    なんとかうまく、ビジネスマンにとってのブログの面白さをまとめたいなーと思って書き始めてみたのですが、難しいですねー(汗)
    是非、変なところがあったら指摘してくださいね。
    燃え尽き症候群になりにくい「ブログの始め方」、というのが裏テーマです(笑)

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