『ウェブ進化論』は何故キャズムを越えたのか? | 実践!Webマーケティング:Blog | ミツエーリンクスを読んで。
ウェブ進化論が凄い勢いで売れているようですね。
なにしろ、「発売から4週間で六刷。累計15万部突破」というんだから凄いです。
ビジネス書で、しかもネット関係の本でこれだけ短期間に売れるというのは、間違いなく初でしょうね。
冒頭に紹介したミツエーリンクスさんのブログで、ウェブ進化論の評判が伝播していく様子が分析されていますが、正直、自分がウェブ進化論の出版記念イベントにパネラーとして参加させてもらったのが遠い昔の出来事のように感じてしまうほどです。
昨日、RTCカンファレンスでウェブ進化論についての議論を聞いてきたこともあり、kwmrさんに書けばといわれたこともあり、もう裏話を暴露しても良い頃だと思うので、自分なりにウェブ進化論の歴史(?)を振り返ってみたいと思います。
私が梅田さんの出版記念イベントについて最初に聞いたのは、確か去年の12月です。
ただ、その後詳細の説明も何にもなかったので、すっかり忘れていて1月12日にいきなり梅田さんのブログで告知があり驚いたぐらいでした。
さらに驚いたのが1月30日に梅田さんのブログで発表された「第一部 これからのメディアについて」という議題設定。
えーー、そのテーマにパネラーが私で良いんですか?というのが正直な感想。
いくらFPNでメディアの真似事をやっているとはいえ、自分のメディアに関する知識なんて梅田さんやR30さんに教えてもらったことがほとんどなので、当日貢献できなさそうだと思っていたのが事実です。
おまけにブログとメディア論みたいなのは、いわゆるブログコミュニティにおいては1年前に激しく議論されたテーマ。梅田さんやR30さんとは、ある程度共通の結論みたいなものを共有している感じはあるので、今更感を感じてしまっていたのも正直なところです。
で、当日、始まる前にR30さんと「メディア論は早めに終わらせて別の議論しましょう」的な画策をしていたりもしたのですが、結局、梅田さんとそういう話をする暇はなく、ポッドキャスティング収録のために不規則発言を封じられたのもあり、メディア論の議論をある意味淡々と収録する形になります。
実は当日まで、梅田さん本人とやり取りは無かったので、ご本人の意思を確認する暇もなく当日に突入してしまったのですが、予想通り当日のメディア論の議論にはあまり貢献することもできず、ちょっと凹み気味で当日を終えたというのが本当のところでした。
これはあくまで個人的な印象ですが、会場に参加することができたブロガーの皆さんも、結構戸惑っていたように思います。
何しろ、せっかく濃いブロガーが20人以上集まっているのに、会場を巻き込んだブログ的な議論が行われるわけでもなく、収録を黙って見守る形になってしまったわけで。
皆さんいずれ劣らぬ論客ばかりですから、結構消化不良になっていた人も多かったようです。(確か会議1.0と比喩する人もあったと記憶してます)
まぁ、その分、その後の2次会では、ブログ的にいろんな議論が白熱していたわけで、皆さん満足して帰ったわけですが。
ただ、今となっては、このイベントの意図を自分が大きく勘違いしていたのが良く分かります。
私個人は、ブロガーを集めてパネルディスカッションをするということで、てっきりいつもブログ上でやっているような濃い議論を、濃いブロガーを巻き込んで行うイベントなのかと勘違いしていたわけですが。
このイベントはあくまで、メディアやブロガーの人たちに「ウェブ進化論」について書いてもらうためにあったわけです。
まぁ、出版記念イベントなんですから、当たり前の話。
今思えば、我ながら、ひどい勘違いをしたものです。
特に今回のイベントのメインのターゲットは、やはり既存マスメディアの人だったのだと思います。
ついつい私たちは梅田さんをCNETブログの頃から知っているので、超有名人だと勘違いしてしまいますが、一般的な基準から言えば梅田さんはそれほどマスメディアに頻繁に登場する人ではありません。
ウェブ進化論という書籍を出したところで、普通に行けばブログには取り上げられても、それほどマスメディアに取り上げられることは無かったはずです。
そもそもこの書籍「ウェブ進化論」のメインのターゲットは、ちくま書房のインタビューでも書かれているように「リアル世界の四十代~五十代の人たち」に「ネットの世界をきちんと伝えよう」ということ。
ブログでいくら話題になっても、そのままではリアル世界の四十代~五十代になんて伝わりません。
そのためには、なんといってもマスメディアに取り上げられることが必要なはずです。
そこで一つの象徴的な役割を果たすのが今回の出版記念イベント。
20名以上のブロガーに事前に書籍を配布し、「発売直後に一斉に」ブログで書いてもらうというバズの集中化を行った上に、IT系のニュースサイトにも記事を書いてもらい、書籍発売直後の話題づくりを行います。
そういう意味では、出版記念イベントのターゲットが既存メディアの記者の方と考えれば、第一部が「これからのメディアについて」というテーマ設定だったのは今考えれば自然です。
記者の方々にとっては、ネットと既存メディアがどのような位置づけになっていくのか、どのように融合していくのかというのは非常に興味深いテーマのはず。
多くの記者の方が、梅田さんの発言に注目していたはずで、もっとこの人の話を聞きたいと思ったはずです。
結果、書籍販売後1週間~2週間で、おおくのオンラインメディアに梅田さんのインタビュー記事が掲載されることになります。考えたら、書籍出版をきっかけにメディアにインタビューされるというのはそれほど普通のことではありません。書評コーナーに掲載されるならまだしも、梅田さん本人のインタビューが連発したわけですから。
これらの中には当然事前に仕込んでいたものもあるはずですが、出版イベント直後のブログでの盛り上がりが好影響を与えたものも多いように想像します。
ただでも、ブログを中心に話題になっている上に、オンラインメディアでも大量に紹介され、「ウェブ進化論」は見事なスタートダッシュを成功させます。
それがAmazonのランキング急上昇や、品切れ続出をひきおこし、それが更なる話題を誘っていくのは皆さんご存知の通り。
3月4日に 「王様のブランチ」のベストセラー紹介コーナーで第一位で紹介された時点で勝負アリ、ですよね。
この時点ではブログやオンラインでの盛り上がりは一段落しているわけですが、すでにウェブ進化論の話題はマスメディアまで突き抜けて行っているわけで、もう役割は終了です。
まずブロガーを中心に話題を盛り上げ、それをオンラインメディアにつなげ、最終的にマスメディアに届け、(その後ようやく新聞広告をうつ)、という形で見事にクチコミの連鎖が発生したわけで。
発売前に梅田さんが、ここまでの大ヒットを想定していたのかどうかは分かりませんが、事前に緻密に計画された、見事なブログマーケティングの成功事例ということができるのではないでしょうか。
もちろん、この成功はウェブ進化論という書籍自体がクチコミを発生させるクオリティだったからこそです。
そういった仕掛けが無くても単純に書店に並べただけでも大ヒットしたのかもしれませんし、ライブドア騒動と重なって、ネットやウェブの今後を冷静に考えたい人が増えたのかもしれないとか、他にこういった本が無かったので丁度ニーズにマッチしたとか、いろんなことは考えられますが。
ネットの世界のことをいかに「リアル世界の四十代~五十代の人たち」に伝えていくかということを、考え続けてきた梅田さんならではの成功だと言えると思います。
企業で社員向けにまとめ買いする事例も増えているようですが、今後ウェブ進化論のおかげで、多くの企業でウェブの力を理解してくれる管理職の人が増えてくれれば、ウェブを上手く活用したい我々のような世代の追い風にもなるわけで。
私たちブロガーも、そんな記念すべき成功事例の最初の盛り上がりに少しでも貢献できているんだとすると、何だかちょっと嬉しくなりますね。
相変わらずなんだかちょっとまとまらないエントリになりましたが、長くなってしまったのでとりあえずこの辺で・・・
(つづく、かもしれない)
“ウェブ進化論自身が、ネットとマスメディアの融合の成功事例?” への9件のフィードバック
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いつも感心しながら拝見しています。昨日のRTCには私も参加しておりました。今度、名刺交換させてください。(といっても、匿名では、私が誰かわからないと思いますが・・・)
「こちら側」の人でした。
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コメント有難うございます。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。
是非、次回は声をかけてくださいね。
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