Winny問題は、開発者逮捕から2年近くも経つのに・・・

安部官房長官が国民に異例の呼びかけ–「パソコンでWinnyを使わない」 – CNET Japanを読んで。
 一国の官房長官が、記者会見でフリーソフトの使用禁止を国民に訴えるというのは実に異例の光景でしたね。
 
 Winny問題というのは、ファイル交換ソフト自体の著作権を巡る問題に加え、トラフィックの問題や、情報漏えいウィルスの問題も絡んでしまっていますから、普通の人に理解するのは不可能なレベルになってしまっている気もします。
 そんな中、官房長官がわざわざ記者会見で「Winnyを使わないでくれ」と宣言して、どれぐらいの効果があるのかは正直微妙です。
 なんだかかえってWinnyの注目度を増してしまい、模倣ウィルスの増加や興味本位の利用による被害の拡大を招いてしまいそうな気がするのは私だけでしょうか。
(安部官房長官の発言にバックアップされる形で、早速ぷららはWinnyの完全規制を打ち出しており、Winnyのトラフィックに悩むISPにとっては助かる宣言になったようですし、Winny対策の便乗商売は数々生まれてきているようですが)
 先週丁度「Winnyは悪くない、悪いのはウイルスであり、感染する人だ」という開発者の金子さんのコメントが記事になっていましたが、改めてWinnyを巡る騒動を振り返ってみると、Winnyの開発者である金子さんが逮捕されてもうすぐ2年になろうとしていることに驚きます。
 開発者が逮捕されて2年になるのに、いまだにWinnyをめぐる問題は収束するどころか、むしろ情報漏えいウィルスに関しては日々悪化しているような印象すらあります。
 先日の記事で、特に個人的にひっかかっているのは開発者の金子さんが「Winnyの改良を行わないことを警察側に誓約した」という点。
 これが問題を悪化させているように思ってしまうのは私だけでしょうか?
 Winny及び金子氏が、そもそも問われている問題は著作権法違反幇助の罪です。
 手軽に音楽や映画のファイルをコピーできるために人気を博したWinnyですが、コンテンツ業界からすれば当然これは大問題で、そのソフトウェアが改良されることを望まないのは当然でしょう。
 ただ、残念ながら金子氏の逮捕以降もWinny利用者はそれほど減っていないらしいという現実があります。
 
 英語圏では、複数のファイル交換サービスが存在するため、どれかが閉鎖されるとすぐ次のサービスに人気が移るという遷移がおこっているようなのですが、なぜか日本ではメインで利用されているのはいまだに昔ながらのWinMXとWinnyがほとんどのようです。
 そういう意味ではウィルス開発者からすると、ファイルを自動的にコピーするためウィルスを伝播させやすい性質を持っており、ある程度の利用者もいるため影響も大きいことが想像でき、しかも開発者による修正や改善が停止しているWinnyというのは格好の標的です。
 結局、情報漏えいウィルスのAntinnyの問題というのは、Winny自体にセキュリティホールがあって、ウィルスが伝播しやすいという仕組みを突かれているわけですから、本質的にはソフトウェアの問題。
 ソフトウェアに問題があるなら、それを修正すれば被害はある程度防げるはずなのに、修正版が出てこないから利用者は未だに問題のあるままのバージョンを利用し続け状況が悪化するという状態にあるようです。
 なんで、警察は金子さんに修正プログラムを書かせないのでしょうか?
 ただただしさんも「Winnyを改善させて損をする人がどこにいるのか」という記事のなかで、「問題を起こして業務停止命令下にある自動車メーカーに、リコール対策すらも禁じているかのようなものです」と書かれていますが、私もそう思います。
 もし今回の問題がハードウェアだったら、警察も当然その機器の改善を開発者に指示したんじゃないでしょうか?
 なんだかソフトウェアだから良く分からないからという理由で、そのままにされているような気がしてなりません。 
 まぁ、そもそもの著作権法違反の視点で考えれば、Winny利用者がウィルスで苦しむこと自体は、警察側やコンテンツ業界としては実は追い風と見ることもできます。
 Winnyの利用者がウィルスを恐れて減ってくれれば、著作権違反も結果的に減るわけで、そういう意味でもWinnyを改善する理由などないわけです。
 そういう意味では、「Winnyを使わないで」というお願いぐらいしかやることはないというのも分からないでもありませんが。
 でも、そもそものWinny利用者が未だに存在するという事実自体を踏まえて根本的な問題を解決をしないと、情報漏えい事件発生→メディアが報道→認知度が上がってウィルスを作る人や、興味でWinnyを試す人が増える→また事件発生というスパイラルは終わらないような気がしてなりません。

“Winny問題は、開発者逮捕から2年近くも経つのに・・・” への3件のフィードバック

  1. Winny問題は、開発者逮捕から2年近くも経つのに・・・

    安部官房長官が国民に異例の呼びかけ–「パソコンでWinnyを使わない」 – CNET Japanを読んで。  一国の官房長官が、記者会見でフリーソ…

  2. なんかメディアの報道といい、良い方向向かってないですよね。問題の解決しにくい方向にわざわざロックかけている感じ。
    情報社会のロジックとお約束はもうちょっと理解されていいのではなかろうかと。

  3. なんかメディアの報道といい、良い方向向かってないですよね。問題の解決しにくい方向にわざわざロックかけている感じ。
    情報社会のロジックとお約束はもうちょっと理解されていいのではなかろうかと。

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