はじめの一歩を踏み出そう (マイケル・E. ガーバー)

はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術 この本を始めて読んだのは、2年以上昔だったと思います。
 (Outlogicの杉本さんが薦めていたので買ってみたと記憶してます。)
 起業系の本としては意外に薄く、読みやすいのが特徴ですが、重要なポイントをしっかりと抑えられているのが印象的な本です。
 特にいろいろ考えさせられたのは「起業家」と「職人」と「マネージャー」の3つの視点。
 自分ひとりの時には上手くいったのに人が増えると急に上手くいかなくなるというビジネスの初期の立ち上げの難しさの原因を、分かりやすく教えてくれます。
 起業を志す人にはお勧めの本です。
 ちなみに、最近逆に気になっているのは、独立という選択肢を取る人が増えていること。
 個人規模での独立であれば、あくまで自分の「職人」としての価値に自信があれば良いわけで、インターネットを使えば上手く個人でもスケールできるWeb2.0時代には、あえて起業家的な拡大ベンチャー志向ではなく、職人としてのマイクロビジネスという選択肢も増えてくるような気がします。


【読書メモ】
■起業家の視点と職人の視点の違い
・起業家は「事業が成功するにはどうするべきか?」を考え、職人は「何の仕事をするべきか?」を考えている。
・起業家にとって、会社とは顧客に価値を提供する場所である。その結果、利益がもたらされる。職人にとって、会社とは自己満足のために好きな仕事をする場所である。その結果として、収入がもたらされる。
・起業家は、最初に会社の将来像を確立したうえで、それに近づくために、現状を変えようとする。一方で職人は、不確実な将来に不安を抱きながらも、現状が維持されることをただ願うばかりである。
・起業家は、まず事業の全体像を考えてから、それを構成する部品を考える。しかし、職人は、事業を構成する部品を考えることから始まり、最後に全体像がつくられる。
・起業家は全体を見渡すような視点をもっているが、職人の視点は細部にこだわりがちである。
・起業家は自分の描く将来像から逆算して現在の自分の姿を決めるが、職人は現在の自分を基準に将来の自分の姿を決めてしまう。
■事業の試作モデルに必要な6つのルール
1.顧客、従業員、取引先、金融機関に対して、いつも期待以上の価値を提供する。
2.必要最低限の能力でもうまく経営できる。
3.秩序だてて組織が運営される。
4.従業員の仕事内容はすべてマニュアルに記載されている。
5.顧客に対して安定した商品・サービスが提供される。
6.建物や設備、制服についてのルールが定められている。
■事業発展プログラムの3つのルール
ルール1 イノベーション(革新)
 「イノベーション」と「創造」を混同する人が多いが、「創造とは新しいものを考え出すことである。イノベーションとは新しいことを実行することである」
ルール2 数値化
 成果を上げるためには、イノベーションがどれほどの効果を上げるのかを、数値として把握することが必要である。
ルール3 マニュアル化
 マニュアル化をしないかぎり、商品やサービスの質は安定しないので、売上も安定しない。
■事業発展プログラムの7つのステップ
1.事業の究極の目標を設定する
2.戦略的目標を設定する
3.組織戦略を考える
4.マネジメント戦略を考える
5.人材戦略を考える
6.マーケティング戦略を考える
7.システム戦略を考える
■事業とはゲームである 
1.従業員に何をやってほしいのかを考えずに、まずゲームをつくろう
2.自分でもやりたくないゲームを従業員に押しつけてはいけない
3.ゲームは長い間、楽しめなければならない
4.ゲームをときどき変化させよ。ただし戦略は変えてはいけない
5.ときどきはゲームのルールを思い出させる
6.ゲームに意味を与える
7.ときには楽しみも必要である
8.よいゲームを思いつかなければ、盗め!
■三種類のシステム
・ハードシステム:いわゆる「モノ」である。
・ソフトシステム:ひとことで言えば「考え方」である。
・情報システム:ハードやソフトのシステムについての情報を提供するものである。
【目次】
1 失敗の原因を知る(起業家の神話
「起業家」「マネジャー」「職人」―3つの人格
幼年期―職人の時代 ほか)
2 成功へのカギ(フランチャイズに学ぶ「事業のパッケージ化」という考え方
「事業」の試作モデルをつくる
自分がいなくてもうまくいく仕組み)
3 成功するための7つのステップ(事業発展プログラムとは何か?
事業発展プログラムの7つのステップ
ステップ 事業の究極の目標―あなたが望む人生の目標とは? ほか)

はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術 はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術
マイケル・E. ガーバー Michael E. Gerber 原田 喜浩


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“はじめの一歩を踏み出そう (マイケル・E. ガーバー)” への1件のフィードバック

  1. 通りすがりでしたが、ちょうど悩み事があって、それを解決するに良さそうな本でしたので、早速購入させて頂きました。丁寧な読書メモが助かります。

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