ヒューマン2.0 (渡辺 千賀)

ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない) ヒューマン2.0は、ブログ「On Off and Beyond」でも有名な渡辺千賀さんの新書です。
 すでに、セミナーの参加感想として「日本版ヒューマン2.0は、まず精神的会社離れの実践から?」という記事や、渡辺さんとご一緒させていただいたカンファレンスの感想として「ポートフォリオワーカーという働き方は、得なのか損なのか」などと、記事は書いていましたが、読書メモをしていなかったので、まとめておきます。
 過去の記事でも書きましたが、やはりこの本を読んで最も印象に残ったのは、実は「アメリカの70年代までの大卒のキャリアは終身雇用的キャリアだった。」という点。
 何となく、日本とアメリカは文化的にキャリアの志向性が違うのかと思い込んでいましたが、当然要因はそれだけではなく、競争環境の変化や、時代の流れが大きく影響しているわけで。
 今後の日本がどうなっていくのか、あらためて考えさせられる本です。


 また、最後に出てくるシリコンバレーならではの4つの働き方というのが、実に刺激的。
 もちろん、いきなり日本でこういう働き方が誰でもできるようになるとは思わないのですが、これまでの日本のサラリーマンにおける典型的な「働き方」という概念がいかに協議の概念かというのを思い知らされます。
 
 自分の人生の生き方や、ワークスタイルに疑問を感じている人に、是非お勧めしたい一冊です。
【読書メモ】
■インターネットで起こる変化
 「インターネットで効率化できる仕事は思い切り効率化する」
■ベンチャーと言う言葉の本来の意味は「リスクが高い試み」
 確実に淡々と日銭が入ってくる商売は、どんなに小さくてもベンチャーとは言わない。
 つぶれる可能性もあるけど化けたらでかいという会社だけがベンチャーと呼ばれる。
■投資が受けられるベンチャーとは
・5年間で50億円規模の売上を達成するような急激な成長を遂げる。
・核となるコンセプトや技術があり、それで世の中を制覇しようと言う野望がある。
・最短距離で自社の技術を世に出さなければならないので、その妨げになるような受注仕事をこなして時間を無駄遣いしたりしない。
■終身雇用は会社にとっての贅沢
 アメリカの70年代までの大卒のキャリアは終身雇用的キャリアだった。
 競争はグローバルになり、今まで以上にすばやい対応をしていかないと勝てない。そんな環境の中で従業員を守っていたら、もろともに倒れることになりかねない。
■シリコンバレーの特徴
・ビジネスのアップダウンのサイクルが速くなり、競争が激しくなった結果、会社から個人にリスクが転嫁された。
・会社都合、個人都合のいずれかの理由にせよ、失業期間があるのは普通のこと。
・働いている期間の報酬は高い。
■シリコンバレーで誕生する4つの働き方
・フリーランス
 誰かに雇用されるのではなく、何らかの専門性を持って個人で仕事を請ける人たち
・ライフスタイルワーカー
 自分の好きな場所に住むことを重視する
・チャンクワーカー
 働く期間と休みを取る期間を分割する
・ポートフォリオワーカー
 複数のタイプの仕事を掛け持ちする
■ポートフォリオワークのメリット
・ひとつの仕事がなくなっても完全に無給にならない
・人的ネットワークが広がる
・スキルの幅が広がる
・自分の適性を確かめられる
【目次】
1 はじめに
2 ワタシは誰でしょう
3 インターネットで起こる変化
4 シリコンバレーって何だ
5 人生と仕事
6 人生とお金
7 シリコンバレーで誕生する4つの働き方:ヒューマン2.0
8 ヒューマン2.0のルール
9 最後の友達は家族
10 おわりに

ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない) ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない)
渡辺 千賀

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