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アンビエント・ファインダビリティ (ピーター モービル)

アンビエント・ファインダビリティ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅 アンビエント・ファインダビリティは、ちょっと前に話題になっていたオライリー本です。なんだか難しそうなので敬遠していたのですが、本屋で見かけて立ち読みしたら案外読みやすそうだったので買ってみました。

 アンビエント・ファインダビリティとは何かという詳細の解説については、翻訳を担当された浅野さんが出版イベントのプレゼン資料を公開されているのでそちらをご覧頂くとして。
 この本では「アンビエント・ファインダビリティの世界では、誰の居場所でも何のありかでも、いつでもどこでも見つけることができる。」というのが一つの世界観として提示されています。

 技術の圧倒的な進歩により、これまでの物質中心の世界とは全く異なる価値観の世界が今もうすぐそこまで来ているというより、すでにその世界に突入しつつあるわけですが
 この本は、そんな、情報化社会の歴史や特徴、課題や可能性を様々な視点から提示してくれる書籍です。

 個人的に最も印象に残ったのは「ユーザにとって情報を持たないことより持つことのほうがより苦痛で面倒であるときには必ず、情報検索システムが利用されにくくなる傾向が見られるであろう」というカルヴィン・ムーアズの法則。
 ムーアの法則に代表されるチープレボリューションの波の中で、技術はどんどん進化しても、結局ボトルネックになっているのは人間の脳だったりするわけで、今後はその視点がますます重要になってくるような気がします。

 とはいえ、正直、本の内容をまだしっかりと消化し切れていない自分がいるのですが、なんとなく検索サービスの次、Googleの次は何か?ということにヒントを与えてくれそうな本だという印象を受けています。
 そんな「ヒント」を探している方にお勧めの一冊です。


【読書メモ】
■アンビエント・ファインダビリティの世界では、誰の居場所でも何のありかでも、いつでもどこでも見つけることができる。
・アンビエント:周囲を取り巻く
・ファインダビリティ:特定の対象物の発見しやすさ
→ファインダビリティが個人に自由をもたらす

■情報リテラシ
「個人が、情報が必要になる時点を認識し、必要な情報のありかを見つけてそれを評価、活用できるようになるために必須とされる複数の能力を組み合わせたもの」(米国図書館協会)
 情報時代においては、メディア横断的な情報リテラシが、自分らしく生きる力(ライフスキル)の中核を成す

■ウェブには「その場にいるという実感」がないため空間的視覚化アプローチは失敗する「ウェブは完全に空間が欠如した公共の場である・・・・ある場所から別の場所で移動できるが、距離をわたる必要がない」(デビッド・ワインバーガー)

■カルヴィン・ムーアズの法則
「ユーザにとって情報を持たないことより持つことのほうがより苦痛で面倒であるときには必ず、情報検索システムが利用されにくくなる傾向が見られるであろう」
→ムーアの法則は人間の脳にあてはまらない

■最小労力の原理(ジョージ・キングズリー・ジップ)
「各個人は、自身の最も少ない平均仕事量(定義上「最小労力」と呼ぶ)を費やせばよい一連の動作を採用する傾向にある。」

■デザインとマーケティングは、互いに分かちがたく結び付いている。

■市場とは対話である。
 少なくとも、聖なる三位一体を成すマスプロダクション、マスマーケティング、マスメディアが話し合いを脱線させてしまうまではそうだった。

■今日の消費者は昔よりも恵まれた立場にいる
購買力:メーカーと消費者の力関係はより後者よりに重点を移しつつある
多様性:ユーザが即座に利用できる製品やサービスのラインアップは著しく多彩
情報:製品の評価やレビュー情報へのアクセスはかつてないほど充実している
→この情報の豊かさは、それに呼応してアテンションの不足を招く。

■マーケティングの狙いは、販売を不要なものにしてしまうことである(ピーター・ドラッカー)
 
■ユーザエクスペリエンスのハニカム構造
・役に立つこと(Useful)
・使いやすいこと(Usable)
・望ましいこと(Desirable)
・探しやすいこと(Findable)
・アクセスしやすいこと(Accessible)
・信頼に値すること(Credible)
・価値を生み出せること(Valuable)

■オントロジー、タクソノミー、フォークソノミーは相互排他的なものではない

■ネットワークの3種類の尺度
・活動性(activity)「コネクタ」
・媒介性(betweenness)「バンダリースパナー」
・近接性(closeness)「最短のルート」

■人間の意思決定の罠
・アンカリング:最初に見つけた情報から過度に影響を受ける
・確証:無意識のうちに自分の既成概念を指示するデータを探す
・記銘性:直近の出来事に過度に影響を受ける
・現状:現状維持に役立つ惰性や代案について強い志向性を示す
・埋没費用:これまでの選択を正当化する方向で意思決定を行ってしまう

■アクセシビリティが「情報の利用を左右する、ただ一つの最重要パラメータ」

■情報過多はマリファナよりも集中の妨げになる(Kings Collegeの研究結果)
「人間は選ばない事を選ぶ。」
 普段の習慣を頼りにする。良く知っているブランドを信用する。同僚の真似をする。


【目次】
1章 遺失物取扱所
2章 経路探索小史
3章 情報とのインタラクション
4章 錯綜する世界
5章 プッシュとプル
6章 ソシオセマンティックウェブ
7章 啓示による意思決定

アンビエント・ファインダビリティ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅アンビエント・ファインダビリティ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅
ピーター モービル Peter Morville 浅野 紀予

Life Hacks PRESS ~デジタル世代の「カイゼン」術~ グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する  文春新書 (501) 「みんなの意見」は案外正しい Web2.0 BOOK プロセス オブ ウェブデザイン 企画からデザインへ 落とし込みの技術

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コメント

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コメント

訳者の浅野です。お読みいただいて大変うれしく思います。ありがとうございました。

私個人的には、この本の中で重要なファクターは以下の2つだと思っています。
(1)権威(これはPeter自身も一番気になると言っていました)
(2)倫理(本書にも出てくる『Everyware』の著者、Adam Greenfieldも、ユビキタスコンピューティングと倫理の齟齬に関して非常に注目しているようです)

ただ、人によってかなり違った捉え方ができるのも、この本の面白いところではないかと感じています。

ご丁寧にコメントありがとうございます。

権威がどのような仕組みによって作られるようになるのかは、個人的にも非常に興味があるところですが・・・難しいですね・・・

   

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