日本版ヒューマン2.0は、まず精神的会社離れの実践から?

 On Off and Beyond: お食事券的ヒューマン2.0感想リンク集
 すっかり、出遅れてしまいましたが、先日渡辺千賀さんの「ヒューマン2.0 web新時代の働き方(かもしれない)」の出版記念パーティーに参加させてもらいました。
 もう既に上記のリンク集に濃い書評が多数アップされているので、詳細はそちらを見ていただければと思いますが。
 遅ればせながら本を読んで改めて思ったのが、果たして日本はどうなっていくのかということ。
 シリコンバレーや米国と日本の現状を比較する際に、よく出てくるのが「そうは言っても日本はね」とか「日本の文化では」とかの日本特殊論ですが、どうも今回は様子が違うように思います。


 この本に出てくるようなフリーランスの働き方というのはIT業界を中心に確実に日本でも増えてきている実感がありますし、なんと言っても世界のフラット化によって大企業の雇用リスクも今後は下がることはない気がします。
 
 特に改めて印象的だったのが、そんなアメリカでも70年代には終身雇用
的キャリアが理想とされていたという話。
 たしかクリステンセンも日経の別冊特集のインタビューか何かでそんなことを言っていたと思いますが、本当に変われば変わるものです。
 そういう意味では、やっぱりわれわれ日本人も、シリコンバレーまでとは行かないまでも、ある程度働き方の価値観の変化に準備しなければいけないのではないかという気がしてきます。
 まぁ、そんなことを既に大企業からドロップアウトしている自分が言うのも何なのですが、おそらくこの本で渡辺さんが語っているヒューマン2.0なる新しい働き方は、大企業の中の人にこそ知って欲しい考え方です。
 自分も数年前までそうでしたが、日本の企業人というのはとかく自分の人生と会社の人生を同一視しすぎなような気がします。
 そのためか、とかく自分が会社に対してできることよりも、会社が自分に対してしてくれることに対する期待に注意が行きがちで、それが裏切られたときのショックが大きくなる気がします。
 もちろん、誰も彼もが転職すれば良いという話ではないですし、一つの会社に一生勤め上げるというのも選択肢としては良いと思いますが、それ以外の選択肢は全く存在しないと最初から思い込んでしまうのは、実は会社に忠誠を誓うと同時に会社に自分の人生を依存するというある意味贅沢でわがままな生き方。
 最終的にその生き方がまっとう出来れば問題ありませんが、大企業でも平気でリストラが発生する現在では、なかなかそれを望むのも難しくなってきている気がします。
 そういう意味では、物理的に転職活動を始めないまでも、精神的に親離れならぬ会社離れをして、自立をするというのが良いような気がします。
 ちなみに、この本のタイトルはワークスタイル2.0の方がぴんと来る気がするのは私だけでしょうか?
 ヒューマン2.0だと人間が進化して機械人間になるとかそういう話をつい想像してしまい・・・
(とか書いていたら1年ぐらい前に「Web2.0時代のワークスタイル2.0を考える」なんてエントリを自分が書いているのを発見。 
 自分がワークスタイルという言葉を使いすぎなだけですかね。)

ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない) ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない)
渡辺 千賀

ウェブ人間論 ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて 若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土 グーグル・アマゾン化する社会
by G-Tools