ITmedia News:はてな、アメリカへ (1/3)を読んで。
もう古い話題になりますが、はてなの近藤さんがアメリカに行ってしまうそうですね。
この話題で盛り上がったころにタイトルだけ見て、最近はてなはサービス以外の話題が多いなーぐらいに思っていたのですが、今更ながらにITmediaの岡田さんの記事をちゃんと読んで、ちょっと反省です。
「日本のソフトウェアやネットサービスの技術の高さを世界に認めてもらいたい。」
「日本発で世界に通用するソフトウェアやサービスを生み出したい。」
このフレーズ自体は、多くの日本のソフトウェアベンチャー、ネットベンチャーがビジョンや夢として掲げています。
ただ、実際にビジネスにおいては「まず日本市場」となるのが普通。
正直、自分の会社もそうなんですが、日本でいきなり英語版を作るのは大変ですし、様子がわかる日本市場に比較すると、海外市場は不透明でリスクばかりが目につくので、冷静にビジネスとして金勘定すると日本市場に注力してしまうのが普通でしょう。
その結果、気がつくと、日本の顧客の要望に対応するのに精一杯で、海外展開や多言語展開はどんどん後回しにされていくというのは良くある話です。
語学力の問題ももちろんありますが、「日本市場が十分大きい」というのも大きいでしょう。最初の思いはどうあれ、日本市場でトップを目指してやっていると、なかなか海外展開まで手が回らなくなるような気がします。
じゃあ、日本市場で成功すれば、その後海外でも成功できるかというと、これも今の結果だけみると微妙。
特にインターネット業界で見ると、日本のインターネット業界の中心であるヤフーはそもそも米国のブランドですから海外への逆進出は難しいですし、楽天やライブドア、価格コムなどの日本のインターネット企業が知られているのは基本的に国内のみ。
まぁ、日本語のサービスだから当たり前といえば当たり前なんですが、日本のネットサービスが海外でブレイクしたという話はほとんど聞きません。
日本の成功パターンが海外では通用しないというのもあるでしょうし、日本で成功すれば、逆にその成功を維持するためにますます日本市場が重要になって海外が魅力的ではなくなるということもあるような気がします。
そういう意味でも近藤さんの「これから10年、50年、100年――日本の企業がネット産業の中でどういう位置づけになるかを決めるのは、ぼくたちがどこまでの視野を持てるかにかかっている」という発言は実に重みがあります。
もちろん、もう少し日本で事業を確立してから行くべきという声もあるでしょうが、日本で注目されはじめている今だからこそアメリカに行き、世界を見据えた視野を持つというのは、非常に深い発言だと思います。
ほとんどの日本人が国内市場を中心にものを考えている中で、一人視点を変えて世界に打って出る。。
無理矢理スポーツに例えて言うなら、サッカーの中田英寿や野球の野茂やイチローというところでしょうか。
考えてみれば、日本人が海外で通用しないと言われていた当時のプロサッカーやプロ野球と、同じことが今の日本のインターネット企業でも当てはまる気がします。
日本のインターネット企業は世界で通用するのかしないのか。
結局、この質問には、今までほとんどの企業が挑戦していないわけで。
挑戦する前に、選択肢自体を放棄してしまっていたという意味では、当時のプロサッカー選手やプロ野球選手と同じ状況なのかもしれません。
まぁ、もちろんヒデやイチローの前には、カズや江夏という残念な例もありますから、はてながどちらになるかは、まだまだ分かりませんが。
後に続く人が増えるかどうかという意味でも、はてなの、近藤さんの、今後の活躍には、いろんなものが乗っかっている気がします。
日本のネット業界の片隅にいる人間としても、心から応援したいです。
(いや、本当は応援じゃなくって、後に続くぐらいの気概じゃないといけないのかな・・・)