フラット化する世界(上) (トーマス・フリードマン)

フラット化する世界(上) フラット化する世界は、レクサスとオリーブの木で有名なジャーナリスト、トーマス・フリードマンの新刊です。
 上下刊に分かれていてちょっと敷居が高い印象もあるのですが、フラットというキーワードが気になったので読んで見ました。
 結論から言うと、この本は現在世界で起こっている変化を理解するのに最適であり必須の本だと思います。
 日々ネットで起こっている変化を身近に感じている人であれば、この書籍で書かれているような変化の現象のいくつかは実感し、体験しているとは思うのですが、インターネット関連企業を中心に世界を見ていると見えていない部分が多数あることに気づかされます。


 インターネットの進化やグーグルの話から、9/11のテロ(奇しくも今日ですが)やアルカイダまで、世界中の大きな変化の流れがどういう背景で引き起こされているのか、引いた視点で見つめながらも、インドを中心とした現場の方々から経営者まで幅広い人へのインタビューに裏打ちされたその語り口は、ジャーナリストのトーマス・フリードマンならではというところでしょうか。
 上下刊の分厚さにちょっとびびっていたのですが、一気に読んでしまいました。
 
 世界がフラットになる過程で、日本では「格差社会」という言葉が流行り言葉になろうとしているのは実に皮肉なことですが、これから日本が、自分が、どのような変化をしていくべきなのか、いろいろと考えさせられる今年の必読書の一つだと思います。
フラット化する世界(下)の読書メモはこちら
【読書メモ】
■世界をフラット化した10の力
1:ベルリンの壁の崩壊と、創造性の新時代
2:インターネットの普及と、接続の新時代
3:共同作業を可能にした新しいソフトウェア
4:アップローディング:コミュニティの力を利用する
5:アウトソーシング:Y2Kとインドの目覚め
6:オフショアリング:中国のWTO加盟
7:サプライチェーン:ウォルマートはなぜ強いのか
8:インソーシング:UPSの新しいビジネス
9:インフォーミング:知りたいことはグーグルに聞け
10:ステロイド:新テクノロジーがさらに加速する
■グローバリゼーションの変化
・グローバリゼーション1.0 (1492~1800年)
 国がグローバルに生き残れる方法を考える
・グローバリゼーション2.0 (1800~2000年)
 企業がグローバルに生き残れる方法を考える
・グローバリゼーション3.0 (2000年~)
 個人がグローバルに生き残れる方法を考える
■「人間は習慣を変えたい理由があれば、すぐに習慣を変えるものだし、そもそも他人と結びつきたいという本能に近い気持ちがある。他人と結びつく新しい方法をあたえると、技術的に難しかろうが克服し、新たな言語を習得するものだ」(マーク・アンドリーセン)
■共同作業の6つの形
・アップローディング 
・アウトソーシング
・オフショアリング
・サプライチェーン
・インソーシング
・インフォーミング
■「次の世代は、オンラインとともに成長する。大人になってから身につけるのではなく」(マイカ・シフリー)
■インフォーミング
 インフォーミングは、個人に情報、知識、エンターテイメントのサプライチェーンを作り上げて展開する能力をあたえる。
 自分で指示し、自分に力と権限をあたえ、エンターテインメントの研究、編集、選択を可能にした。
■ステロイド
1・コンピュータ:計算能力、保存能力、インプット/アウトプット能力の進化
2・インスタント・メッセージとファイル共有テクノロジーの飛躍的進歩
3・IP電話の普及
4・テレビ電話
5・コンピュータ・グラフィックス
6・最新ワイヤレス・テクノロジー
■三重の集束
第一の集束:10のフラット化要因の集束により新しいプラットフォームが登場
第二の集束:フラット化した世界を最大限に利用するビジネス手法が登場
第三の集束:それまで締め出されていた30億人が競争に参加
■冷戦時代の通商圏は北米、ヨーロッパ西部、日本と東アジアの3つしかなかった
■「いずれ「地球に衝突し、すべての恐竜を絶滅させた隕石」と同じくらい衝撃的なものとして語られるであろう変化が、ビジネス・テクノロジーの世界で現在進んでいる」(出井伸之ソニー会長)

フラット化する世界(上) フラット化する世界(上)
トーマス・フリードマン 伏見 威蕃


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