オーマイニュースに見るマスメディアとソーシャルメディアの大きな溝

 CNET Japan Blog - 佐々木俊尚 ジャーナリストの視点:平野日出木さん、本当にそれでいいんですか?(上)を読んで。

 オーマイニュースのオピニオン会員制度廃止の経緯が、ちょっとした議論を呼んでいるようです。

 CNETブログの佐々木さんの記事をはじめ、現在オーマイニュースのトップを見ると「絶筆宣言 オーマイニュースへの私流の抗議」という記事がトップになっているなど、いろんな波紋を呼んでいるのが見て取れます。

 
 佐々木さんも「8月にオープンして以降、オーマイニュースは9月から10月にかけてページビューがかなり下がってしまった。このあたりはAlexaのグラフを見ていただければわかる。」と書いていますが、鳥越編集長のゴミタメ発言による炎上から始まり、サービス開始当初はサーバーが落ちるほどにアクセスが集中するという大注目のスタートを切ったオーマイニュースですが、その後はすっかりネットやブログ界隈では影が薄くなっていたのが現状です。

 確かに、Alexaで比較すると、最近はオーマイニュースの匿名コメント欄の役割を引き受けることになったnewsingにもリーチで水をあけられる結果になっています。

newsing_ohmynews.png

 正直、オーマイニュースの最初の頃の炎上騒ぎは、当時あまり注目されていなかったオーマイニュースに一気に注目を集める仕掛けではないかと穿って見ていたりしたのですが、どうやらそういうことではなく、最初の炎上騒ぎは編集部の人たちに単純にかなりネットに対するネガティブな印象を残してしまった模様。
 佐々木さんのブログにかかれている、編集部のかなり強いネットに対する嫌悪感には、簡単には埋められない溝を感じます。


 ちなみに、自分でもブログを書いている人間としては、当然、佐々木さんの言いたいことは良く分かるのですが。
 ビジネスとして考えた場合には、オーマイニュース編集部側の動きも分からないでもない気がします。

 おそらく佐々木さんがオーマイニュースに見ているのは、日本のCGMの代表たる新しいネットメディア・ソーシャルメディアの姿だと思いますが。
 オーマイニュース編集部の大半の人たちがイメージしているのは、あくまで「市民参加型のマスメディア」のように感じます。


 この二つの立ち位置は似ているようで、感覚は180度違うはずです。
 マスメディアの立場で言えば、あくまで読者は読者、記者は記者、市民の中から「記者」を生み出しはするものの。「記者」という選ばれた人たちが「読者」に対して、メッセージを「届ける」構図が前提でしょう。
 もちろん、ある程度のフィードバックは受け入れるんでしょうが、ノイズや罵声を言ってくるクレーマーと会話をする必要はありません。
 ある意味、それらのクレーマーは「敵」認定されるやすい土壌があります。

 それが佐々木さんが書いているように、ネットをフラットなコミュニティであり利用者と一緒にボトムアップで作り上げていく場所、ソーシャルメディアだと考えるのであれば、オーマイニュースと言うのはあくまで一つの会話の場であり、基本的に記者も読者も相互に入り乱れる一つのフラットなコミュニティになるのでしょう。
 フラットなネット上で批判やバッシングを完全に押し込めることは不可能ですし。


 そういう意味では、佐々木さんのようにネットをフラットと考えていればCNETブログ経由でネット上に意見を請う行為は、フラットに意見を聞いている行為かもしれません。

 ただ、ネットの一部を敵認定している編集部からすると、わざわざネット上の敵に対して弱みをさらけ出す背任行為と取れてしまうはずで、「内部批判の暴露原稿みたいなものを外部のメディアで書いて、頭がおかしいんじゃないか?」と思うのはある意味当然です。

 このマスメディアの立ち位置と、ソーシャルメディアの立ち位置の溝を埋めるのはかなり難しいことのように思います。
 個人的には佐々木さんの意見に賛成ですが、今のオーマイニュースがそれを目指すべきかどうかと言うと悩ましいところです。


 更に難しいのは、ビジネス上この選択肢のどちらが正しいのか、特に今の日本の現状では悩ましいところのように思えるところです。

 当然、将来のことを考えれば、ソーシャルメディア、CGMの代表企業として全く新しいコミュニティを作り上げていく方が面白いでしょうし、可能性も広いように思うのですが。
 おそらく現状の日本では、CGM扱いされてしまうと大企業の広告を高い単価で獲得するのは相当大変な印象があります。
 アメリカでは、TechCrunchのような有力ブログが「広告枠を1カ月あたり6万ドルで販売し、広告枠は売り切れ状態」というゴールドラッシュのような状況が始まっているようですが、日本ではまだそんな話はほとんど聞きません。

 CGM(消費者作成メディア)という言葉のイメージから、かなり低い扱いを受けているのではないかと思ったりもしますし、mixiのバナー広告なんかもページビュー単価は相当低いと聞いていますので、mixiのようなページビューの急増が見込めないだろうオーマイニュースにとって、広告単価を上げるために、質が高いメディアとアピールするのは重要なポイントになるはずです。
 「コメント欄が2ちゃんねる化してしまうと、広告主が広告を出してくれなくなる可能性がある」と思えば、今回のような対応をしたくなる気持ちになるのも分からないでもありません。


 そういう意味ではオーマイニュースが、ネット上に記事を書きたいけれども、匿名コメントによる攻撃にさらされたくない、という人たちのためのニュースサイトを目指すというのは、まぁ当面のビジネス上の選択肢としてはありな気もします。
 もちろん、そういったコミュニティが今後ネット界の中心として注目されるかと言うと、おそらくは相当難しいと思いますが・・・


 最後に、踊る新聞屋さんの「好きの反対は嫌いじゃない。無関心なんだよ」を引用しておきたいと思います。

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