「ハッカーと画家」は、様々な面白いスタートアップを支援している企業として知られるY Combinatorのポール・グレアム氏が書いた書籍です。
以前から気になりつつ読んでいなかったのですが、何となく買って読んでみました。
ハッカー向けの本と言えるので、私のような文系人間には少し難しいところもあったのですが、さすがシリコンバレーだけでなく日本にも多くのファンがいるポール・グレアム、と思わせる本です。
「ハッカーは規則に従わない。それがハッキングの本質なんだ。それはまた、アメリカ的であることの本質でもある。シリコンバレーが、フランスやドイツやイギリスや日本ではなく米国に現われたのは偶然ではない。他の国々では、色を塗っても線からはみ出す人はいない。」というくだりには、ちょっと悔しい思いも感じつつ、ご指摘の通り、と思いつつ、だったりするのですが。
こういった本によって影響を受けた新しい世代が、日本でもシリコンバレー的なコミュニティを作っていってくれるといいなと思ったりします。
日本や世界を変えるような大きなインパクトのあるサービスを作ってみたいと思っている方に、特にお勧めしたい本です。
【読書メモ】
■几帳面なんて言葉は、優れたプログラマがソフトウェアを書く仕事ぶりからは最も無縁なものだ。コードは、ピラミッドみたいに、慎重な計画をしてから苦労して組み立てていくものじゃない。
■学校の表向きの目的は子どもを教育することだ。しかし、本当の目的は、日中、子どもを一カ所に閉じ込めておいて、大人が仕事ができるようにすることにある。
■問題なのは、子どもが刑務所に囚われていることではなく、そのことを子どもが知らされていないこと、そしてその刑務所が主として収容者自身によって運営されていることだ。
■大企業が出力のばらつきを抑えたがるのは、大失敗を避けたいからだ。でもばらつきをなくすと、低い点は消えるけれども高い点も消えてしまう。大企業ではそれは問題じゃない。大企業はすごい製品を作ることで勝つのではなく、他の企業よりも下手を打たないことで勝つからだ。
■レオナルド・ダ・ヴィンチの時代には、絵画はそれほどクールではなかったが、彼の作品のおかげで後世ずっと重要視されるようになった。ハッキングがどれだけクールになるかは、私たちがこの新しい表現方法で何ができるかにかかっているんだ。
■醜い回答と、独創的な回答には、共通点がある。両方とも、ルールを破っているということだ。そして実際、ルール破りの単なる醜いやり方と、ルール破りの素晴らしい独創性とは、一続きのスペクトルの両端にある。
■ハッカーは規則に従わない。それがハッキングの本質なんだ。それはまた、アメリカ的であることの本質でもある。シリコンバレーが、フランスやドイツやイギリスや日本ではなく米国に現われたのは偶然ではない。他の国々では、色を塗っても線からはみ出す人はいない。
■間違うのは自然なことだ。間違いを大失敗のように考えるのではなく、簡単に見つけて簡単に直せるようにしておくことだ。ダ・ヴィンチは絵画においてより多くの可能性を試すことができるようにスケッチを発明したといっても、当たらずとも遠からずであろう。オープンソースソフトウェアはバグの可能性を認めているがゆえにバグが少ない。
ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち Paul Graham オーム社 2005-01 by G-Tools |