日本は、まだまだソーシャルメディアの影響力で米国と比較するには、ほど遠いのではなかろうか

 先週の15日にソーシャルメディアサミットを無事開催させて頂くことができました。
 当日は大雪直後にも関わらず500名を超える方々にご参加頂き、本当にありがとうございました。
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 主催者なのに、今頃感想記事を書くというぐうたらさ加減はお許し頂ければと思いますが、いろいろと当日の感想などをまとめていきたいと思います。
 まず、今日書いておきたいのは、そもそもサミットを企画した背景と、一つ目のソーシャルメディア事業者セッションの感想。
 以前に「ソーシャルメディアサミットでは、そもそもソーシャルメディアって何が今までと違うんだっけ?という根本的な議論がしたいと思ってます。」という記事を書いたように、今回のソーシャルメディアで議論したかったのは、何故ソーシャルメディアが話題になるんだっけ?という話。
 当日のスライドでも使ったように、実はソーシャルメディアという言葉は私も2006年に「最初に、CGMと呼ばずにソーシャルメディアと呼ぶべきだったのかもしれない」というブログを書いてますし、湯川さんが2007年に「爆発するソーシャルメディア」という本を出してるぐらいで、新しい言葉ではありません。
 ただ、昨年のツイッターブーム、今年のFacebookブームの影響もあり、確実に「ソーシャルメディア」という言葉がバズワードになっているのは確かです。
 
 そんな中つい思い出してしまうのが、2007年のセカンドライフブーム。
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 今考えると笑ってしまう人も多いかもしれませんが、あの当時は大まじめにセカンドライフの可能性を議論している人も多かったですし、実際に多額の投資もされていました。
 で、歴史を振り返ると、実はセカンドライフ以外にも多数の「ブーム」が毎年毎年日本のネットマーケティング業界には繰り返されていることが分ります。
 
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 その都度、私自身は今度こそ日本にも企業のソーシャルメディア活用が文化として根付くかも、と期待しては、裏切られ、期待しては、裏切られ、という繰り返しで今日まで来ていたりするわけです。
 そんな中、毎回繰り返されているフレーズが、「アメリカでは○○」というフレーズ。
 
 まぁ、私自身も普段ついつい使ってしまうフレーズなんですが、これがやはり典型的な思考停止ワードの一つのように思います。
 例えばアメリカにおけるFacebookの活用事例が日本でもよく取りざたされますが、アメリカであれだけFacebook活用が成果を出しているのは何と言ってもインターネット人口の6割以上が使っているという浸透率のおかげです。
 
 実際、ニールセンの調査結果を見ると、PCのアクセスだけでも昨年の段階で1億2千万人というほぼ日本の人口に近い数字をたたき出しています。
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 翻って日本の状況を見ると、比較的健闘しているはずのmixiやTwitterでもPCからのアクセスが1000万程度で停滞中。
 
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 当然これらのデータはPCのみですから、携帯からのアクセスを入れれば事情は変わると思いますが、それにしても会員数を考えると2000万が上限。
 米国の6割以上という数値に比べると、いわゆるITリテラシーの高い一部の人しかまだまだいわゆる「ソーシャルメディア」を使っていないのが現状なわけで。
 実は日本では、アメリカで言うような本当の意味でのソーシャルメディアの普及は、まだ起こってないのではないかと思ったりするわけです。
 その辺の思いは、日経ビジネスのコラムにも書きましたが、1月のラスベガス訪問で、アメリカのソーシャルメディア活用事情を見てきて、ますます強くなりました。
 何しろ、今日Web広告研究会のパネルディスカッションでご一緒した電通の森さんによると、アメリカでタクシーの運転手10人に、「ソーシャルメディア何を使ってますか?」と質問したら10人全員がFacebookを使っていた、というから本当に驚きます。
 以前Evernoteの人に聞いたら、Twitterはテクノロジー系の人が使っていて、FacebookはEveryoneが使ってるといってましたが、本当にそれぐらいの雰囲気なんでしょうね。
 そう言う意味で、今回のソーシャルメディアサミットの最初のセッションで一番期待していたのは、各事業者の方々の日本における利用者数増加に向けてのビジョンや決意だったりしました。
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 やはり、皆さん上場企業の責任ある役職の方々ということで、なかなかはっきりした宣言は頂けなかったわけですが、個人的に嬉しかったのは、GREEの伊藤直也さんの1億人目標宣言。
 当然日本人だけで1億人は難しいわけですが、国内4000万人、海外6000万人ぐらいという一つの指標を持って動いてそう、というのは個人的に楽しみな点です。
 もしGREEやmixi、Twitter、さらにはFacebookのようなソーシャルメディアが日本国内でも利用者4000万人あたりを超えてくると、日本国内のインターネット利用者の半数以上がソーシャルメディアを使うという状況になってくるわけで。
 そこでようやく日本も現在の米国と同じぐらいに、ソーシャルメディアの可能性を語ることができるのではなかろうか。
 そんなことを感じている今日この頃です。
 実際のソーシャルメディアサミットのセッション1についての詳細はネタフルのコグレさんが書き起こしでまとめてくれていますので、こちらをどうぞ。
[N] ソーシャルメディアサミット2011「日本のソーシャルメディアの未来はどうなるのか」
 
 また、ポイントだけを読みたいという方はInternet Watchの記事も詳しいですので、こちらもあわせてどうぞ。
【ソーシャルメディアサミット2011】 そもそもソーシャルメディアって何? mixi、GREE、Twitterの3社が議論