先週、無事にWISH2011+を開催することができました。
すっかり、御礼が遅くなってしまいましたが、ご参加頂いた皆さん、ご協力頂いた皆さん、本当にありがとうございました。
Photo by koyhoge
2年前の私のブログでの呼びかけから始まったWISHですが、気がついたら早くも今年が3回目。
時が経つのは実に早いなとつくづく思ってしまいますが、今回イベントの最中に、初めて来られた方に「何でWISHを始めようと思ったんですか?」と聞かれたのもあり、自分のまとめも合わせてこちらにメモしておきたいと思います。
※ちなみに、オープニングトークをさせて頂いたはてなの近藤さんがブログにこんな記事を書かれていたので、こちらにかぶせて書かせて頂きます。
先に下記の記事をどうぞ。
・ものをつくる人が経営をするということ – jkondoの日記
実は今更いうまでもありませんが、私は、ウェブサービスを作る側に回りたくて仕方がない人間です。多分、自分がWISHの主催者じゃなければ、WISHでプレゼンをしたくて仕方がない人間だったと思います。(まぁ、主催者でもしたかったりするのが本音ですが)
AMNに入る前のアリエル・ネットワークでも、ハッカー的に何でも機能追加してくれるエンジニアに囲まれながら製品企画を担当させてもらえて本当にハッピーでしたし。
今の会社でも、企業へのソーシャルメディア活用支援が本業ではありつつも、ファンズファンズのような自社サービス開発の方に圧倒的に興味があり。
だからこそWISHのような会社にとっては赤字イベントでビジネスにつながらない企画に、こんなに本気で力を入れられるのだと思ってます。
Photo by crema
ただ、そんな自分がここ数年気がついてしまった残酷な事実が。
やっぱり、私のようなウェブサービスを自分で開発できない人間は、エンジニアコミュニティにおいて外様なんだろうな、ということです。
実は私も一時期、ブログも有名で、本も書けて、開発もできる田口さんのようなマルチなキャラにあこがれて、プログラミングを勉強しようとしたことがあったりするのですが。
やっぱりプログラミング自体が性格的に向いてなかったり、当時の自分の投資対効果とか余計なことを考えてしまい、本気で時間を突っ込む気にならず、諦めてしまった経緯があります。
そう言う意味では、自分自身は個人のウェブサービス開発者やエンジニアの方々と気持ちは一緒のつもりでいるのですが、やっぱりいわゆる「ギーク」と「スーツ」の対立軸で考えると、私は「スーツ」側の人間なんですよね。
本当の意味での「ギーク」側の人間と自分が呼ばれることは残念ながら一生ないんだろうなと思ったりします。
そう言う意味では、少なくとも「ギーク」側に敵対する「スーツ」ではなく、「ギーク」側に求められる「スーツ」でありたい、というのが自分自身の立ち位置です。
Photo by crema
しかしそんな中、さらに最近明確に気がついてしまった残酷な事実が、近藤さんが書いているように「ものづくりをする人間が経営をするのが最強だ」ということです。
書籍「フェイスブック 若き天才の野望」に描かれているようなマーク・ザッカーバーグの成長であったり、経営権を自らの手に取り戻したGoogleのラリー・ペイジであったり、昨年WISHのパネルに登壇してもらったグリーの田中さんであったり。
実は大きなインパクトを起こすようなウェブ企業を率いるトップというのは、やはりものづくりをする人間になりつつあるんですよね。
そう言う意味では私のような「スーツ」側の人間が、実際にサービスを開発した「ギーク」の代わりに、これは自分が開発したウェブサービスだ、と胸をはってプレゼンをするような時代は終わりつつあるのではないかと思ったりするわけです。
正直、これは自分のような、自分ではサービスを作れないけど作るプロセスに携わりたい人間からすると、結構悲しい現実だったりします。
もちろん、表に出たがらないエンジニアの代わりだったりとか、経営を学ぶ途中のエンジニアをサポートしたりという役割がなくなるとは思いますが、この辺の違いは微妙に私の中では大きいんですよね。マニアックで伝わらないと思いますが。
Photo by crema
でも、そんな中、自分にできることとして明確になったのが「応援する」ということです。
これは現在のブロガーイベントなんかを繰り返しやっている中でも感じていることですが、実は開発者にとって応援してくれる人がいるかどうか、というのは本人が意識しているかどうかは別として、確実にその人たちの力になることだと信じています。
もちろんある意味、自己満足の世界でしかありませんが、まだブレイクする前のウェブサービスを見いだして、それを応援し、そのサービスが大きく飛躍していく過程を見ることができる。
これって、今の時代に生きる私たちだからこその、ある種の特権だと思うんです。
いくら私たちがアンテナを高く持っていても、所詮シリコンバレーのサービスについては私たちはその開発者の人たちと深く交流することはできませんし、そもそもシリコンバレーのサービスを私たちが知る頃にはそのサービスは大きくブレイクした後でしょう。
でも、日本発のウェブサービスであれば、その誕生から苦難の道、そして成功のステップまで全てを真横で見守り、応援することができます。
私自身、2004年に、GREE、mixi、そしてはてなといったウェブサービスの黎明期に、それぞれの経営者の方々に直接会って話を聞けたことを今でも誇りに思っていますし、それ自体がそれぞれのサービスに何の影響も与えておらず、私のことなんか知らなくっても忘れられても、この経験は私の中では誰にも奪うことができない宝物です。
これってある意味、偉大なスポーツ選手や芸能人と高校時代の同級生だったとか、幼少期を知ってるとか地元が一緒とかって自慢するのと大差ないことかもしれませんが、少なくとも今無名のウェブサービスに関しては、その宝物を得る権利は誰にでもあります。
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今回も、3つめのパネルディスカッションには、サイドフィードの赤松さんや、CEREVOの岩佐さんなど、最初のWISH2009でプレゼンをされた方々に登壇頂きましたが、彼らのサービスがこれから更に大きく伸びていけば、きっと私だけではなくWISHの一回目に参加された方々は、「俺あのサービスの初期のプレゼン見たんだよ」って子供に自慢できたりするんじゃなかろうか、と。
そんな変なことを妄想していたりするわけです
僕らが戦後のSONYやホンダ、松下電器産業といった現在の大企業の立ち上がりをリアルタイムで見守ったり体験できることはもうありえませんし、今更それらの大企業を応援したところで、大量にいるファンの中の一人でしかありません。
でも、これからの未来のウェブを背負ってくれるかもしれない新しいウェブサービスやイノベーションをリアルタイムに見守り、応援することはまだまだできます。
で、これって、50年後の世代にとっては不可能なことなわけで。
ウェブの立ち上がりという革命的な時期に立ち会えた私たちの世代ならではの特権であり、娯楽と言えるんではなかろうか、と。
そんな時代に生まれ、新しいウェブサービスやイノベーションを応援できることを私たちは感謝するべきなんじゃないかなと、そんなことを強く感じていたりして。
それが私にとってのWISH継続のモチベーションだったりするのです。
そう言う意味では、今回のWISH2011を通じて、皆さんが応援したいと心から思えるようなサービスが見つかれば、主催者としてこんな幸せなことはありません。
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とはいえ、やっぱり今回第二部を参加者として冷静に聞いてみて、やっぱりウェブサービスを作る側に回りたいなぁとつくづく感じてしまったので、「ギーク」を夢見る「スーツ」の側だからこそできるウェブサービス作りの関わり方、というのを改めて追求してみようと決めた今日この頃です。
・WISH2011についての詳細はこちらをどうぞ