「フェイスブック時代のオープン企業戦略」は、ソーシャルメディアによる企業の変化を描いた書籍である「グランズウェル」の共著者でもあるシャーリーン・リー氏が書いた書籍です。
かなり以前に買って読んでいたのですが、書評抜き読書メモを公開していなかったので、公開させて頂きます。
以前ご紹介した「エンパワード」も「グランズウェル」の続編にあたるのですが、エンパワードを書いたのは今もフォレスター・リサーチに在籍するジョシュ・バーノフ。
こちらのオープン企業戦略を書いたのは、グランズウェルを書いてからフォレスター・リサーチを退職して独立。ALTIMETERというリサーチ会社を立ち上げたシャーリーン・リー氏。
どちらも近いスタンスで書かれた本なのですが視点が異なるのが興味深いところです。
「エンパワード」はどちらかというと「ソーシャルメディア担当者」に近い視点で書かれており、日本の企業担当者にとっても今すぐ参考になる視点が多い印象がありますが、こちらのオープン企業戦略で対象になっているのは、文字通り企業の戦略。
英語の原題は「OPEN LEADERSHIP」となっていますが、要はこれからの自体はオープンを前提とした企業戦略に変えていかなければいけないという問題提起です。
何と言っても米国は既にFacebook利用率が7割とか、アカウント保有率に至っては96%みたいな調査結果もありますから、もはやメール並みの利用率。
当然、企業もそれにあわせて経営戦略や事業方針を変更する必要性に直面しているのは間違いないでしょう。
ただ、そう言う意味ではこの本を日本の経営者の方々が今読んでしまうと、ちょっと現実との乖離を感じてしまうかもしれません。
そう言う意味では個人的には、まず「グランズウェルエンパワード」を読んで、その先を見据えたい方にこの「オープン企業戦略」を読んで頂く、という順序が良いのかなと思ったりもしますが。
上司や経営者に考え方を変えてほしいと悩んでいる方は、この本を年末の課題図書としてプレゼントしてみるのも面白いかもしれません。
もちろん、米国におけるソーシャルメディア活用の最新事業を理解したい方には非常に参考になるポイントがたくさん入っている一冊ですので、是非今すぐ読むことをお勧めします。
私の読書メモも膨大な量になってますが、ご参考まで。
【読書メモ】
■「さあオープンにしましょう」という勇ましいかけ声をよく耳にするが、現実的な成果を手にするためには、しっかりした戦略やリーダーシップに基づくアプローチが必要である。
■ソーシャルテクノロジーの導入に当たっては、企業はもはやコントロールできるのは自分ではないということをまず認めなければならない。
■コントロールを手放すよう私が勧めるのは、そうすれば結果的にはいくらかコントロールを取り戻すことができるからだ。
相手の言葉に耳を傾け、そのパワーを尊重するのは、敵対的な行動に対抗できる立ち位置につくことなのである。
■オープン・リーダーシップの5つのルール
・顧客や社員が持つパワーを尊重する
・絶えず情報を共有して信頼関係を築く
・好奇心を持ち、謙虚になる
・オープンであることに責任を持たせる
・失敗を許す
続きを読む フェイスブック時代のオープン企業戦略 (シャーリーン・リー) にはソーシャルメディア時代の企業のあり方を考えるべき上司や経営者にプレゼントするのに良い本だと思います。