「人生を変える80対20の法則」は、タイトル通り80対20の法則、一般的にパレートの法則や2:8の法則(ニッパチの法則)と言われる事象について考察されている書籍です。
献本を頂いたので、書評抜き読書メモを公開させて頂きます。
ニッパチの法則については、ビジネスの世界でも良く目にすることはあると思うのですが、これだけ知られていてもこれほどスルーされている法則も無い気もしています。
2割の顧客が8割の利益を生み出していたり、2割の製品が8割の売上を生み出していたり。
データとして分析してみれば、こういうロジックが見えてくるのに、ついつい2割の優良顧客をないがしろにして、8割の新規顧客獲得のために、新規顧客のみが有利になる極端な割引きプランを作ってしまったり、大規模な移行推進キャンペーンを展開したり。
実は2割の有料顧客の離脱を防ぐ方がコストも手間も低いのに、8割の新規顧客を獲得するのにひとり当たり膨大なコストをかけていたり。
個人的には、ソーシャルメディアというのはこのニッパチの法則における2割の優良顧客とのコミュニケーションを低コストで実現し、この2割の優良顧客を中心にした新しいファン獲得サイクルを作ることができるのではないか、という仮説をずっと持っているのですが、この本を読んで改めてその思いを強くしているところです。
自分の会社のビジネスのやり方について、疑問や悩みを感じている方にも参考になる点が多々ある本だと思います。
【読書メモ】
■ビジネスの世界で、80対20の法則がはたらいている例は枚挙にいとまがない。
通常、売上の80%を占めているのは、20%の製品、20%の顧客である。利益を取ってみても、この比率に変わりはない。
■80対20の法則が重要なのは、それがなかなか実感として湧かないからだ。
普通、努力と報酬はだいたい釣り合っていて、どの消費者も、どの従業員も、どのビジネスも、どの製品も、等しく重要だと考えられている。
■三つの教訓
・成功している企業は、最小限の努力で最大限の収益を上げられる市場で事業を行っている。
・現在、最大の「黒字」を上げている市場分野や顧客グループに的を絞れば、業績をめざましく伸ばすことがつねに可能である。
・あらゆる企業が、社内の不均衡を解消することで、「黒字」を増やすことができる。
■コスト削減の三つのキーワード
・単純化
・集中
・パフォーマンスの比較
■新規分野に手を広げ過ぎると、あるいは「お客さまは神様だ」という脅迫観念にとらわれてむやみに顧客を増やしていくと、単位コストが上がり、利益率が下がる。
■マーケティングで成功するコツはただ一つ。自社の製品やサービスをさかんに利用してくれる数少ない顧客に的を絞ることだ。たまに買ってくれる客は多くいるが、毎日のように買ってくれる客は少ない。
■核になる顧客を放さない四つのステップ
・核になる顧客が誰かをつきとめ、その共通点を調べてみる必要がある。
・核になる顧客には特別なサービス、場合によっては「常軌を逸した」サービスを提供する必要がある。
・新しい製品やサービスを考える際には、核となる20%の顧客を念頭におき、その20%のニーズを満たすことだけを開発の目標にする
・核となる顧客からは絶対に目を離してはいけない。
■時間が足りないということはない。むしろ時間は余っている。時間の20%を有効に使いさえすればいいのだから
そして、有能な人の場合はほとんど、ほんの一部の時間の使い方で、他人に大きな差をつけている。
■時間革命の手引き-7つのステップ
・頭を切り替え、努力と報酬は別物と考える
・罪悪感を捨てる
・押しつけられた仕事から自分を解放する
・常識にとらわれず、柔軟に時間の使い方を考える
・80%を与えてくれる20%が何かをみつける
・80%を与えてくれる20%に使う時間を増やす
・つまらないことはやめる
■幸福になる7つの習慣
・運動をする
・頭の体操をする
・こころを刺激する
・他人に親切にする
・友人と楽しいひとときを過ごす
・自分をもてなす
・自分を祝福する
新版 人生を変える80対20の法則 リチャード・コッチ 阪急コミュニケーションズ 2011-07-22 by G-Tools |