AMNで使っている「アンバサダー」というのは、「インフルエンサー」とは真逆の意味の言葉なんです。

 年始にやまもといちろうブログ方面から、AMNのアンバサダー・ラボの四家さんの記事に強烈なスルーパスを頂いていて、他人事のように四家さんがどう切り返すのかワクワクしながら見守っていたのですが。
酒好きを演じる植木等はアンバサダーではない
「アンバサダー」とか最近みんな良く言ってるけど: やまもといちろうBLOG(ブログ)
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 どうも、四家さんはパスをスルーすることを決めてしまっているようなので、アンバサダーサミットが無事一昨日終わって落ち着いたこともあり、一ヶ月遅れですが、私の方からやまもとさんのパスにお返事しておきたいと思います。
 
 
 AMNでは二年前から全社で、企業の商品やサービスの応援をしてくれたりクチコミをしてくれるファンを「アンバサダー」と定義し、会社のキーワードとして設定して啓蒙活動を続けてきました。
 そもそもは、別に「アンバサダー」と言わなくても「ファン」と言えばいい話なんですが、Facebookページがブームになった関係で、「ファン数=本当の意味での企業のファンの数」ではなく、「ファン数=Facebookページのいいねボタンを押した人数」になってしまったのが言葉の言い換えに取り組んだ一つのきっかけです。
 ちなみに、私自身は「サポーター」という言葉を一押ししていたのですが、今度副社長になる高柳さんにあっさり却下されて、最終的に「アンバサダー」になった経緯があります。
 一方で良く勘違いされるのが「アンバサダー」=影響力のある人という誤解です。
 実際問題、広告業界においては、有名人を一人とか数人「ブランドアンバサダー」に任命するというやり方は良く行われてきているので、広告業界に長い人ほどアンバサダー=影響力のある人数人、というイメージを持っている人は多いようです。
 ただ、AMNではアンバサダーはインフルエンサーとは真逆の言葉として定義しています。
 それが、いつも使っているこの図。
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 インフルエンサーは文字通り影響力がある人、なんですけど、その商品やサービスを好きかどうかは別問題な人たちで。
 アンバサダーというのは影響力は差し置いて、大使という名前をつけても良いぐらい、その商品やサービスを好きな人たち、と私たちは定義してます。
 全く異なる言葉として使っているつもりなんですよね。
 うちの会社がインフルエンサーマーケティングがメインだと思っている人が多いのは事実なので、良く勘違いされますけど。
 で、やまもとさんの「アンバサダーは狙ってできるもんではない」というのは、我々の定義で言うと、インフルエンサーマーケティングのことです。


 特定のコミュニティに影響力の高い個人に、商品を提供したり、献本したりして、話題を盛り上げるというインフルエンサーマーケティングは、AMNでもやっていますし。
 インフルエンサーをアンバサダー化する、ということができれば、それはそれで意味があると思っていますし、上手くいった事例もいくつもあります。
 でも、まぁ、正直な話やまもとさんが書いているように、インフルエンサーマーケティングって、なかなか狙ってできるもんじゃないんですよね。
 もちろん一昨日登壇いただいたサントリー酒類の室元さんみたいに、インフルエンサーマーケティングと複数の施策を組み合わせて着実に成果を出している方もおられるんですが。
 一般的には、非常に難しいアプローチだと思います。
 商品毎に、どういう人がその商品を本気で愛してくれるかなんて、実際に商品をつかってもらうまでわからないですし。
 
 その人が影響力を持っている相手がその商品を好きになってくれるかも分からないわけです。
 実際問題、インフルエンサーによるクチコミっていったって、その人が心の底から好きな商品のクチコミと、お金もらって書いてる記事広告だと、当然その人の心底その商品を愛してる感みたいなものは全く違う温度感で表現されるわけで、それは見ている人も当然分かりますよね。
 芸能人ブログによる商品紹介が、ステマになりやすいのはやはり構造的に仕方が無い現象なんじゃないかなと思ったります。
 
 もちろん、個人のメディア化により、個人経由で広告できるという意味では、インフルエンサーマーケティングも画期的ではあるんですが、広告媒体がメディアから個人に変わっただけで、そんなに面白くないんですよね。
 なので、AMNではインフルエンサーマーケティング的な依頼を受けても、本人が興味がないものに関しては絶対に無理に受けないというのを基本ポリシーにやってきました。
 これは大昔に自分自身も ONEDARI BOYSをやっていた経験からですが、やっぱり個人って、興味がないものを無理矢理興味があるように書いたってダメなんですよね。
 
 お金にもならないのに興味があるものを楽しく書き綴ってきたから人気ブログになってるわけで、それが興味がないものをお金もらえるからといって無理矢理紹介し始めると、明らかに見えますし、読者も離れてしまうわけです。
 そういう意味ではさっきの図で言う右側のインフルエンサーを上のアンバサダーに変えていく、っというのはなかなか難しいですし、そうなると、やまもとさんが言うようにそのアウトプットもなかなか計算できない手法なわけですが。
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 逆に計算しやすいパターンというのが、その逆側にあると感じてます。
 つまり、上側のアンバサダーの影響力を右側のインフルエンサー側にもっとあげていくというやり方です。
 売れている商品というのは、それなりにすでにファンがいて、アンバサダー的な人たちというのもそれなりにいるはずなんですが。
 マスマーケティングになれている企業なら慣れている企業ほど、そういったファンやアンバサダー的な人たちのクチコミの価値って無視していたりするんですよね。
 釣った魚にはエサをやらないというか。
 既存顧客より新規顧客獲得重視というか。
 せっかくソーシャルメディアによってユーザーやファンのクチコミが見えるようになって、クチコミの価値も上がってきているんですけど、クチコミが見えなかった時代と同じようにスルーしてるんです。
 これは実に勿体ないことだなと思います。
 冷静に分析してみると、勝手にクチコミをしてくれているファンのおかげで、意外にバナー広告数百万円分とか成果が出ているケースも往々にしてあるんですけど、そこには誰も担当者がいないので、放置だったりするわけです。
 でも、こうした既存ファンやアンバサダー的な人たちのクチコミを、他の既存顧客や見込顧客に可視化してあげたり、ファンやアンバサダー的な人たちを活性化してあげることができると、意外なほど目に見えて既存顧客の購入確率が上がったり興味度が上がったりすることもあるんですよね。
(米国ではこうした自然なクチコミをしてくれている人たちをアドボケーツと呼ぶらしいので、自然クチコミしているアドボケーツを企業から何らか働きかけることでアンバサダー化する、と言う方が英語的には正しい表現なのかもしれませんが)
 当然、この定義の「アンバサダー」の一人一人の影響力は、インフルエンサーに比べると微々たるものだったりするわけですが、それでも100人とか1000人とか熱いアンバサダーが集まって、それぞれが10人とか100人とかに働きかけてくれると1万人とか10万人とかの桁が見えてくる可能性があるわけです。
 この部分は、多分やまもとさんが書いているような、フェーズごとのKPIをしっかり立てて、A/B分析しながらスコアリングするようなオートメーションが可能なんじゃないかと感じてるんですよね。
 その辺は、解説を担当させて頂いた書籍「アンバサダーマーケティング」に出てくる事例とかを見ていても強く感じた点です。
 正直、アンバサダーマーケティングに出てくる事例ってシンプルすぎて、アメリカはこれで良いのか羨ましいなぁという感慨さえ感じてしまうわけですが、それでもちゃんと数値に落として再現性を追求しているのはアメリカらしいなと感じました。
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 実際問題、最近話題の「グロースハッカー」的考え方というのは、既存ユーザーからいかにクチコミのサイクルを回して、他のユーザーを巻き込んでいくかという、我々の定義では既存ユーザーをアンバサダー化する行為の象徴的なものだと感じています。
 とはいえ、別にすでにAMNでそんな必殺技が完成しているかというと残念ながらまだまだ全く試行錯誤のフェーズなわけですし。
 なかなかグロースハッカー的な成功事例は、最初の登録の敷居が低いウェブサービスとかでしか再現できないわけですし。
 上記に書いた話は、まだまだ私の妄想レベルの話でしかないわけですが。
 個人的には昨日のアンバサダーサミットで次期副社長の高柳さんに発表してもらったアンバサダーダッシュボードが、その一つの突破口になるんではないかなと思っていたりします。
 まぁ、この辺は完全に今年の最大の課題なので、来年の今頃になっても、全く変わらず同じ話をしている可能性も無くは無いんですが。
 せっかく、社長の重責を上田さんと高柳さんに引き継いでもらったわけですし、個人的な研究課題としてまずは1年がんばって試行錯誤したいと思います。
 ということで、AMNでは引き続き地道なアンバサダー重視でやっていきたいと思っていますので、やまもと様におかれましては、東京都知事選やアドテク問題裏話の方面に注力頂き、こちら方面については、横目で生暖かく見守って頂けると幸いです。