アンバサダーとアドボケーツの分類が未だもって正確にできていない点については、お詫びするしかない件について

 やまもといちろうブログ方面のスルーパスを打ち返して、ホッと一息ついていて週末に息子と雪遊びに興じていたら、今度はnoritakahiro方面から厳しい公開講義を頂いた上に、やまもとさんからも素早いお返事頂きましたので、合わせて返礼をしておきたいと思います。
アドボケイツとアンバサダー: マーケティングやPR業界関係者なら、知っておきたいその違い。
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それ、アンバサダーとは無関係じゃないの?: やまもといちろうBLOG(ブログ)
 アンバサダーとアドボケーツの分類が、業界関係者の方々からすると微妙な部分が多々あるというのは、私個人もアンバサダーマーケティングの出版後、高広さんから何度も突っ込みを頂いておりまして、正直おおいに反省するところではあります。
 「Brand Advocates」というタイトルの書籍を、なぜ「アンバサダーマーケティング」と大幅に変換したかというのは、最初にアンバサダーマーケティングの書籍をブログで紹介したときにも書いたようにいろんな背景があるのですが、最終的に高広さんが指摘されているような誤解を促進しているのは事実ですので、それについては素直にお詫びします。
 個人的にアドボケーツという単語が自分の中で未だに日本語で正確に理解できていないのも大きかったりするのですが。
 高広さんから、こうやって公開で指摘して頂くというのは、多分私ならこういうことはしちゃダメだという趣旨でのアドバイスだと思っていますので、それについては期待を裏切ってしまい申し訳ない限りです。
(ただ、実際には私は過去に英語圏ではA-List Bloggerと定義されている言葉を、勇み足でアルファブロガーとして流行らせてしまった前科がある男だったりするわけですが・・・)
 残念ながら書籍のタイトルなので、今更訂正のしようがありませんが、今後社内的には言葉の定義には一層気をつけるようにしたいと思います。
 なお、高広さんが書いている本を紹介頂いた方の名誉のために申し上げますと、その方もこの意訳は混乱が起きるからやめた方が良いという強くアドバイスをして頂きましたし、私自身も一度はそちらに傾いていた経緯はあります。
 ただ、今更なので無意味な言い訳でしかありませんが、書籍のタイトルにアドボケーツやアドボカシーを使わずアンバサダーを使うことになったのには、いくつか背景がありますので、一応こちらで開示しておきます。
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 一番分かりやすい理由としては、「ブランドアドボケーツ」というタイトルでは、一部の米国事情に詳しい人しか興味をもってもらえない本になってしまうという点。
 英語でアドボケーツなんだから、そのまま翻訳できれば良かったんでしょうが、さすがにアドボケーツという単語は日本人に馴染みがなさ過ぎて、この選択は早々に消しました。(英語の趣旨を大事にするなら、それでもアドボケーツでいくべきだったというのが高広さんの趣旨だとは思うので、この時点ですでにNGという話だとは思いますが)
 
 さらには、すでに「アドボカシーマーケティング」という書籍が出ていて、これまたこっちのアドボカシーの趣旨が、Brand Advocatesとは全然違う、顧客を支援することによって信頼を勝ち得るマーケティング的な定義だったため、アドボカシーマーケティングとかアドボケーツマーケティングというタイトルが使いにくかったことが大きくあります。
 高広さんが書かれているように、NPOの広報活動がアドボカシーというキーワードを使っていることもあり、アドボカシーというキーワードを使うこと自体も混乱が激しくなりそうだと思った経緯もあります。


 一方でじゃあ、アドボケーツを日本語に翻訳すると何かなと思って調べると、 唱道者とか支持者というのが出てくるんですが。
 ブランド 唱道者とかブランド支持者って、多分元の英単語から印象がかなり変わってますよね。
 支持者マーケティングとか言い出すと選挙みたいですし。
 支援者マーケティングだと復興支援みたいですし。
 こっちはこっちで選択肢に行き詰まったのは事実です。
 一方で、アドボケーツという言葉が日本人にあまりになじみが無いこともありますが、アンバサダーという言葉も、高広さんややまもとさんが書かれてるように広告業界関係者には「ブランドアンバサダー」はお金が支払われる契約のある有名人という定義がある一方で、一般人にはあまりなじみがない言葉という印象でした。
 そこで、日本における「アンバサダー」という言葉の使い方においては、任天堂のアンバサダープログラムとかネスカフェのアンバサダーのように、一般人の間では有名人のみのブランドアンバサダー依存ではないアンバサダープログラムのケースが増えてきていた印象もあったので、「ブランドアンバサダー」ではなく「アンバサダー」というキーワード単体ならニュートラルなキーワードだと思って使っても良いかな、と思ってしまったわけです。
 
 実際、本を読んで頂いた方には伝わると思うんですが、この書籍では、前半は自発的なファンである「ブランドアドボケーツ」について語られているんですが、後半で語られているのは著者の会社が推奨している会員の組織化からのコミュニケーションを通じて、アドボケーツを活性化することです。
 そういう意味で、個人的にはこれは前半は「ブランドアドボケーツ」の価値を語っている本でありつつも、後半は自発的なアドボケーツに積極的に関わることで効果を出そうとするアドボケーツのアンバサダー化マーケティングの本であると自己消化し、今回の「アンバサダーマーケティング」のタイトルでいくという選択肢を選びました。
 まぁ、当時の私とお二人との知識の差を考えると、この段階で高広さんや、やまもとさんに相談しておけば良かったという話ではあるのですが。
 そういう意味では自分なりに散々試行錯誤して選んだ選択肢ではあるので、言葉を選ばずに言えば確信犯ということになります。
 アルファブロガーの話題に言及するたびに、アルファブロガーは海外ではA-list Bloggerと呼ばれてるそうですと、講演やインタビューのたびに補足していたのと同様、ブランドアドボケーツとアンバサダーマーケティングでも、今後私は毎回同じように「この本は原題はブランドアドボケーツという本で・・・」と補足する選択をしてしまったことになります。
 学習能力の無い男で、誠にお恥ずかしい限りです。
 いずれにしても、書籍のタイトルの選択に関しては、アドボケーツでいかないと決めたこと自体が問題だという前提だと、以上は全てただの言い訳ですので、ここに書いても無意味ではありますが。。。
 
 なお、AMNが自社のファンを大事にするアプローチを象徴するキーワードとして「アンバサダー」を選択した3年前ぐらいの段階では、先の記事で書いたように「サポーター」とか「コアファン」と「アンバサダー」でどれが良いかぐらいの議論をしていたようなレベルだったので、当時はあまりアドボケーツという単語についてあまり正確に知らなかったのも事実ですし。
 
 AMNの立場から言うと、企業に対してだけでなく、ユーザーに対してもコミュニケーションをしなければいけないので、「アドボケーツプログラム」とか「サポータープログラム」よりは「アンバサダープログラム」の方がまだ一般のユーザーにも雰囲気が伝わりやすいだろうと、安直な判断をしていたのも事実ですが。
 最近アドボケーツとアンバサダーというキーワードを深く高広さんから教えてもらうに至り、ますますAMNの活動はアドボケーツではなくアンバサダーというキーワードの方が近いんだなと思っています。
 アドボケーツって、高広さんが書かれているように100%自分の意思で自発的にクチコミや推奨をしているファンのことだと思うんですが、AMNのような広告代理店的な会社が関わって何らかの恣意的な力でファンのクチコミを変化させようとする場合には、やはりアドボケーツプログラムではなく、アンバサダープログラムの方が正しいわけですよね。
 そういう意味では、自発的なファンであるアドボケーツを、アンバサダープログラムでより活性化していくのがAMNが注力しているアプローチと言うことで、自分の中でキーワードの分類と消化をしながらやっていきたいと思います。
(とはいえ、アンバサダーという言葉だけでなく、アドボケーツという言葉まで啓蒙していくのは辛いので、アドボケーツという言葉は使わず自発的なクチコミをしてくれるファンをアンバサダー化する、という定義でいくと思いますが)
 多分、英単語における本当の正確な意味としては、未だに正確にアドボケーツとアンバサダーの違いは私の腹に落ちていないんだと思いますが、個人的には米国のやり方を日本にもってくるのではなく、日本で7年間試行錯誤してきた中からAMNなりのアンバサダー重視というキーワードを導き出したつもりなので、本家である米国のやり方には敬意を払いつつも、自分達ならでは日本ならではの地道なアンバサダー重視のアプローチを見つけるべくやっていきたいと思いますので、引き続き厳しくご指導のほどよろしくお願いします。
 ということで、正確なアドボケーツとアンバサダーの違いについて学びたい方は下記の記事を是非お読みください。
アドボケイツとアンバサダー: マーケティングやPR業界関係者なら、知っておきたいその違い。
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 それにしても、今年からブロガーとして復帰すると書いてからの一巡目のブログがお二人との公開討議と言うことで、二人の素早い返事のペースについていけない感じもありつつも。
 トラックバック時代を思い出して楽しくなってしまう自分は、やっぱりブログ上での議論がつくづく好きなんだなとしみじみ思う今日この頃です。