マイクロソフトもWindows Live Messengerで電話事業参入へ

マイクロソフト、まもなく「Windows Live Messenger」のテスト開始へ – CNET Japanを読んで。

 マイクロソフトのWindows Live Messengerのテストがそろそろ開始されるようです。
 Live Messengerは、いってしまえばMSN Messengerなんですが、これまでのテキストチャットソフトから、音声も含めた総合コミュニケーションツールになっているのが特徴。

 特に通信業界に影響が大きいのは、Live Messengerには、一般電話に電話ができるVoIP機能が入ってくる、と見られていることでしょう。
 先週の7日にはヤフーが「Phone Out」および「Phone In」の名称で有料VoIPサービスを提供すると発表していますから、これでスカイプだけでなく、マイクロソフトとヤフーも一般電話と通話のできるソフトウェアを保有することになります。

 GoogleもGoogle Talkこそ、一般電話との通話機能をまだ保持していませんが、既に広告経由の電話サービスである「Click-to-Call」のテストを開始しており、実質電話サービスには参入済み。

 さらには、いつのまにやらソニーも米国で無料VoIPサービスを開始していたりします。

 スカイプがスカイプアウトを開始した頃は、マイクロソフト等の既存企業は通信企業が優良顧客だから、電話事業に参入するのには躊躇するだろうなんて声もありましたが、今は昔ですね。

 もはや、インターネット時代の音声コミュニケーションの主導権争いは、完全に業界を超えたグローバルな戦いに移行している感があります。

 
 さらに興味深いのは、この新しい電話の戦いのメンバーに通信事業者の名前が全く出てこないこと。
 イノベーションのジレンマとは良く言ったものです。

 そうは言っても、当然現在の電話サービスを握っているのは既存通信事業者なわけですから、何らかの形で関わってくることとは思いますが・・・(マイクロソフトのWindows Live Messengerでは、MCIなどの通信事業者がパートナーとして有料VoIPサービスを提供する可能性が高いようです)
 少なくともこれまでの「電話屋」の定義は、根本から見直さないといけないようですね。

 
 なんだか数年後の電話関連事業を巡る環境が一体どうなっているのか。
 全く想像がつかない状況になっていそうな気がします。

Web2.0企業の成功とは、Web1.0企業に買収されること?

ヤフー、「del.icio.us」を買収–ウェブ検索は「人力対アルゴリズム」の勝負へ – CNET Japanを読んで。

 ソーシャルブックマークの代表的存在だったdel.icio.usがヤフーに買収されましたね。

 del.icio.usは、もともと個人で開始したサービスだったのが、4月に資金調達を行って、比較的中期的にビジネスを展開するようにも見えたのですが、ヤフーから良いオファーをもらったということでしょうか。

 それにしても、ヤフーといえば3月にFlickrを買収したのが記憶に新しいところですが、Web2.0まわりの企業を買収するのに明らかに力を入れているようですね。

 以前CNETに、ティム・オライリーのWeb2.0に関するレポートが絵掲載されていましたが、改めてそこに掲載されてあるWeb2.0の代表例として出されているサービスを眺めると感慨深いものがあります。

 そのリストは下記のような感じ。

Web 1.0 –> Web 2.0

DoubleClick –> Google AdSense
Ofoto –> Flickr
Akamai –> BitTorrent
mp3.com –> Napster
Britannica –> Wikipedia
websites –> blogging
evite –> upcoming.org and EVDB

 改めて各サービスについて振り返ってみると。

 Google AdSenseは、当然Googleのサービス。
 Flickrとupcoming.org、そして今回del.icio.usをYahooが買収。
 GoogleもYahooもBlogサービスは保有している上、WikipediaにはGoogleもYahooも支援を申し出、と。

 なんと、両社と今のところ関係が無いサービスは、BitTorrentのようなコンテンツ配信ぐらいという状態です。

 以前、「いい感じ」の「2つのシナリオ」という記事で、Web2.0的なポイント・ソリューションを提供する企業が主流ポータルに買収されるシナリオについて言及されていましたが、何だかそっちに流れは行ってしまっているような感じを受けます。
(とはいえ、買収に走っているのはYahooだけなんですが)

 まぁ、正直な話、個人的には未だにWeb2.0をどう理解したらいいのか良く分かっていなかったりするのですが。
 この買収の結果だけを並べてしまうと、Web2.0というキーワードは、まるでYahooをたきつけて、これらの企業を買収させるためのバズワードだったかの印象さえ受けてしまいますね。

(その辺りの話については、はてなのnaoyaさん弾さんの議論の方が興味深いので、そちらを参照していただくとして。)
 

 ただ、メディア・パブによるとWeb2.0で名前が挙がるようなCGM関連サイトではトラフィックが急増しているのが明らかにグラフから見て取れるとの事ですから、世の中がWeb2.0的なものに注目するという状況は、今後もしばらく続きそうです。

 The Best Web 2.0 Software of 2005なんてものもあるそうですが。
 はたしてこれらのサービスが大手に買収されるという流れがしばらく続くのか、独立で成功するサービスが出てくるのか、はたまたほとんどがブームに終わってしまうのか・・・
 しばらく注目したいところです。

mixiが2ちゃんねるを名実共に超えた日?

「Web of the Year 2005」の年間総合大賞は「mixi」にを読んで。

 mixiが恒例のWeb of the Year 2005で年間総合大賞を獲得しましたね。
 話題賞でも電車男を押さえて1位。コミュニティ部門でも2ちゃんねるに次いで2位と堂々たる受賞です。

 おまけに同日にユーザー登録数が200万人を突破したと発表するおまけつき。
 「mixiの利用者が3000万人を超える日はいつか?」なんて煽り気味の記事を書いたのがつい4ヶ月前ですから、このペースには舌を巻くしかありません。

 このサービスが2年前の今頃にはまだ存在していなかったわけですから、なんともインターネットの移り変わりの早いこと早いこと。2年後がどうなってるかなんて想像もできないですね。

 ちなみに、個人的に気になったのがmixiと2ちゃんねるの位置関係。
 例えば、INTERNET Watchの記事でも、昨年と今年の記事を比べると、こんな感じ。

「Web of the Year 2004」の授賞式、ひろゆき氏ら著名人が集まる
Web of the Year 2005授賞式、mixi笠原氏や2ちゃんねる西村氏らが登場

 mixiのコミュニティが盛り上がりを見せ始めた頃、「mixiのコミュニティのおかげで、2ちゃんねるで書いていた人がどういう人だったか良く分かりましたよ」なんて言っていた人がいた記憶がありますが、たしかに同じコミュニティ部門とはいえmixiと2ちゃんねるはその性質がかなり違います。

 2ちゃんねるが基本的に書き捨ての名無しさんの集団なのに対して、mixiは実名かどうかは別としても全員一応固有のidを利用。
 当然2ちゃんねるでは、書いている人たちのバックグラウンドはほとんど分かりませんが、mixiだと友達のつながりや所属コミュニティ、日記などでその人の背景をかなり想像することができます。

 また、2ちゃんねるは、今年も電車男だけじゃなくエイベックスのま猫問題に、最近はVIP STARと話題を振りまいていましたが、その匿名性ゆえにマスメディアには悪の権化的に扱われることが多く、ネットを知らない人にはネットの怖さの象徴みたいな感じになっています。
 当然、2ちゃんねるを利用している人たちは、ネットリテラシーが高いと想像されるところです。

 その点、mixiが興味深いのがネットとあまり縁がなかった人でも、意外なほどあっさり虜になるところ。

 なにしろ、ものすごいのはユーザー登録数が200万人を超えてネットリテラシーの低い人が増えてきていると想像されるにもかかわらず、数十万人規模だった1年前と同じく「最終ログインが3日以内のユーザーの割合が約70%」のまま。
 これはすさまじいことです。

 まぁ、ユーザー登録200万に対しIDが220万を超えているようですから、退会率が10%ぐらいあるらしいという点を差し引いても、このログイン率の高さは脅威ですよね。

 ためしにAlexaのグラフで、mixiと2ちゃんねるのトラフィックを比較してみましたが、最近ちょうどリーチでも順位が入れ替わったようです。(ページビューではすでに1月ぐらいに抜いています)

 まぁ、Alexaを使っている人へのリーチなので、IT系中心だとは思いますが。
 なんにしてもAlexaによると、すでにmixiは世界で55番目のサイトになっているというのですから、スゴイ伸び率ですね。(2ちゃんねるは122位)

 今回のWeb of the Yearで2ちゃんねるがmixiを押さえて1位だったように、当然2ちゃんねるは、これからもいろいろ話題を振りまいてくれることでしょう。

 ただ、インターネットコミュニティの代表事例が、匿名掲示板の2ちゃんねるだけだった時代はそろそろ終わり、一般人も巻き込んだmixiがもう一つ新しいインターネットのイメージを作ってくれそうな感じがします。(とはいえ、当然mixiでも、これからいろいろなトラブルや問題が増えてくるとは思いますが・・・) 

 
 さて、はたしてYahooはこれを見て、そろそろ自社のSNSを始めるんでしょうか、それともmixi買収に動くとか・・・ないかな・・・

Googleが次に破壊する市場はどこか

『グーグル効果』が市場に押し寄せる–IDC、2006年の予測を発表 – CNET Japanを読んで。

 IDCは、昨今のGoogleの多様な事業への進出が引き金となり「Googleが向こう何年かの間に、より多くの市場を独占し始めるのではないかという恐怖心を抱いた企業」が、自らさらなる市場の破壊をもたらすのではないかという予測を立てているようです。

 
 そう言われてみると、ここ最近、Googleの今後の展開についての憶測の記事を見ない日はないぐらいです。
 自分自身も業界の片隅で生きているわけですから他人事では無いのですが、あらためてGoogleが次にどの市場を破壊していく可能性があるのか自分なりに考えてみたいと思います。

【1.広告出稿者に対するサービス】 
 まず、Googleの収益基盤を考えると、当然最も重要になってくるのは広告出稿者に提供するサービスでしょう。
 メディア・パブによると米国ではYahooとの広告主獲得競争が激化しつつあるようですから、いかにお金を出してくれる広告主を囲い込めるかというのが最大の焦点のはずです。

■アクセス解析サービス市場(破壊度大?)
 そういう意味では、まず顧客である広告主の利便性向上を考えるとアクセス解析サービスの無料提供は非常に自然、ということで、この市場は既にGoogle Analyticsの無料提供によって、影響は避けられない状態になっています。
 当然、コンサル等の付加価値をつけたサービスは生き残るでしょうし、Google Analyticsによって市場全体の裾野が広がる可能性もありますが、現状構築されていたように見えた業界バランスの破壊が進むのは間違いないでしょう。
 

■アフィリエイトサービス市場(破壊度中?)
 クリック保証だけだったAdsenseに対し、ページビュー保証やコンバージョン保証をうたって何とか差別化ができてきたアフィリエイトサービスですが、Googleがページビュー保証のサイトターゲット広告と、Google AdsenseとFirefoxの紹介プログラムを開始するに至り、雲行きが怪しくなっている気がします。
 特にクリック保証広告は、クリック詐欺の問題なんかもありますので、コンバージョン保証型は今後の注目市場でしょう。後述のクリックツーコールなんかもこの一部といえます。
 Googleが今の既存のアフィリエイトサービスレベルまで、紹介プログラムを広げるかどうかは良く見えませんが、もし広げた場合、広告出稿者から月額基本料数万円を取っている既存のアフィリエイトサービスは、対応を余儀なくされるように思います。

■フリーダイヤル市場(破壊度小?)
 市場と呼ぶべきかどうかは微妙ですが、Googleのクリックツーコールは、いわゆる0120のフリーダイヤルサービスを気軽に利用できるサービスといえます。
 0120等の通信会社が提供するフリーダイヤルは月額1000円程度の基本料金と顧客が電話した分の電話料が必要だったと思いますが、Googleのクリックツーコールであれば、かかってきた電話分の電話料は広告費に隠蔽される形になります。
 まぁ、そうはいってもPC発の通話が一般の電話をいきなり全て置き換えるわけはないので、市場規模から見ると影響は小さいと思いますが。

■地域広告市場(破壊度小?)
 Googleローカルのような地域別広告手段が確立されれば、これまで地元にチラシをばらまいたり、看板広告等をうっていた人たち、もしくはそれすらできなかった人たちにとっては良い手段になる可能性があります。
 まぁ、現在の検索広告と同じで既存の市場を壊すというよりは、新たにロングテール的な市場を作るという形になるとは思います。

■決裁サービス市場(破壊度中?)
 Google Wallet(Google Purchase ?)的なものの噂は絶えませんが、もしGoogleが本当に決裁サービスを用意すれば、当然広告主からの支払いと広告媒体への支払いはそれで済んでしまう可能性があります。
 更にはGoogleの広告やGoogle Base経由で見つけた商品をそのままGoogle Walletで購入させたり、はたまたAdsenseで稼いだ小銭をそのまま他のサービスに払ったり、利用者間の投げ銭的な小額決裁の手段となったりといった可能性が出てくるるわけで、影響は非常に大きいような気がします。
 そうはいっても、日本ではPaypalも流行ってないですし、何か別の壁があるのかもしれませんが。

■クラシファイド広告(破壊度中?)
 詳細は不明ですが、Google Automatのような噂もありますし、GoogleがGoogle BaseやGoogle Purchaseを使って、クレイグズリストやeBayのKijijiがやっているようなクラシファイド広告サービスを提供する可能性があるようです。
 出稿自体は基本的に無料のクラシファイド広告においては、決裁サービスが重要な収益源になるようですから、ありえないシナリオではないと感じます。

■広告代理店市場(破壊度小?)
 実際にAdwordsのようなサービスを使っていて思いますが、Googleへの広告出稿は広告出稿者が直接できてしまいます。
Googleが雑誌広告枠を再販なんてニュースもありますので、こうなるとこれまで媒体を抑えていることに価値があった広告代理店は、ある程度中抜きされる可能性が出てきそうです。
 まぁとはいえ、全ての広告出稿者が直接Googleとやりとりするわけではないですし、これもロングテール的な市場が出現するという話だと思いますが。

【2.広告媒体としてのサービス】
 上記のような広告出稿者の利便性向上の、次に重要になってくるのは、その広告を処理する媒体自体を増やすという点だと思われます。

■メールソフト市場(破壊度小?)
 ここは、実質HotmailやYahoomailなど無料メールサービスは乱立していますから、市場を破壊というレベルではありませんが、Googleとしても広告を表示できる媒体としてGmailには当然力を入れてくるはずです。

■ソフトフォン市場(破壊度中?)
 既にスカイプが世界中通話無料を実現してしまっているので、今更感はありますが、Googleであればスカイプが有料で提供している留守番電話等のオプション等も、無料で提供できる可能性が大です。
 GoogleTalkについては、今のところGmailの魅力向上のためのツールという位置づけが強いような印象ですので、それほど市場へのインパクトはないように見受けられますが、Talkという単語を入れてきたからには何かやってきそうな気がします。
 

■店舗検索サービス市場(破壊度中?)
 Google Localでオーナーの直接登録が可能になりましたが、このようなものが充実してくると、ぐるなびのような登録制の店舗検索サービスって中長期的にどうなってしまうんでしょうか?というのが気になったりします。
 もちろん、あくまで現在ぐるなびのようなサービスで検索している人が、Googleで検索するようになったらの話ですが。

■オンラインショッピングサービス市場(破壊度中?)
 上と同じような話ですが、FroogleやGoogle Baseのようなものが充実してくると、現在の楽天のような出展者が出展料を払っているモールとか、カカクコムのような価格比較サイトって結構影響を受けるような気がします。
 まぁ、これもあくまで検索する側の利用者がGoogleに移動したらという制限つきですが。

■オークションサービス市場(破壊度中?)
 Google Baseの本質をいまいち理解できていないのですが、もしGoogle Baseを活用することで手軽にデータをやり取りできるようになれば、確かに現在のeBayのようなオークションサービスであったり、中古車販売サービス、クレイグズリストのようなクラシファイド広告と競合するものになりそうな感じです。求人広告サービスなんかもターゲットでしょうか。

■ポータル市場(破壊度小?)
 Googleパーソナライズみたいなものが充実してくると、たしかにスタートページを現在のポータルから変更する人というのは増えてくるかもしれません。
 ただ、Yahooのような典型的なポータルサイトも同様のアプローチは取ってきていますし、個人的には、一般利用者がどこまで自分でポータルを作りたいと思うかという疑問があるので、破壊度は低そうな気がしますが・・・

■ISP・通信事業市場(破壊度中?)
 Googleは一部の地域で無線インターネット接続を無料で提供するなんていう試みを始めていたりします。
 ライブドアは東京で月額500円のWifiサービスを始めましたが、そういう意味ではGoogleのWifi利用者が平均月額500円利益を落とすほど広告をクリックしてくれるのであれば、Googleはライブドアと同じ事を無料でできてしまうわけで。
 まぁ、Googleが全面的にインフラ事業者になるとは想像しづらいですが、都市部においてはありえないシナリオではないような気も・・・

■図書館市場(破壊度中?)
 図書館を市場と読んでいいのかは良く分かりませんが。
 Google Printのようなもので、著作権の切れた蔵書等が手軽に閲覧できるようになれば、公立図書館のようなものの存在意義は薄れてくるかもしれません。
 とはいえ、Google Printは著作権がらみの訴訟で苦労しているようですが。

■アンチウィルスソフト市場(破壊度大?)
 アンチウィルス市場は、利用者がインターネット上でお金を払っている数少ない有料サービス市場です。Gmailで添付ファイルのウィルススキャンが実装されましたが、GoogleがGoogleデスクトップのインストールベースを本気で増やしたくなったら、アンチウィルスソフトをGoogleデスクトップに無料でセットでつけて配ってしまうというのはありのような気が・・・妄想ですかね。

■その他有料ソフトウェア市場(破壊度中?)
 既に、画像管理ソフトPicasaや地図ソフトのKeyholeにおいては、Googleが買収後有料ソフトを一部無料で配付したという実績がありますが、今後Googleがそれ以外のどのソフトに同様のアプローチを取るのかは未知数です。
 Picasaの例や、今後のビデオ検索なんかを考えると、音楽や動画管理系のソフトとかはありそうな感じもしますが・・・どうでしょうか。
 Microsoft Officeなんかが良くターゲットとして言われますが、広告との相性なんかを考えると優先度としては微妙な感じもします。まぁ、Microsoftの収益源叩きを目的にやる可能性はありそうな気も。
 個人的にはGoogle Purchaseにオプションで、Microsoft Moneyのような資産管理サービスを無料で付ける方がありそうな気がしますが。

 そもそもは、もう一つ3としてGoogleがエンタープライズ市場に与える影響についての考察をしたくて始めた気もするんですが、疲れたので一旦ここで止めてみます。

 というか、Googleの「世界中の情報をとりまとめ、どこでもだれでも利用できるようにする」というビジョンを考えると、とりあえずはGoogleの人たちにとってはエンタープライズ向け市場よりもインターネット自体の方がよっぽどエキサイティングなんじゃなかろうかと思ったり。
 どうなんでしょうね・・・

 だらだらと書いてみましたが、結局のところ、Googleはこれまで細分化されていたインターネット関連事業を、全てインターネットメディア事業とでも言うべきシンプルなビジネス構造にしていく気がします。

 広告費を払ってでもモノを売りたい人と、買う可能性がある人。
 この二者のマッチングをしてあげて、初めて金銭的な価値があるわけで。
 収入はそのマッチングから発生する広告費を中心とし、マッチングを発生させるための検索サービスや、媒体、関連サービスを全て無料で提供するというGoogleのビジネスモデルは、改めて考えてみると、非常にシンプルで合理的な話かもしれません。
(とはいえ、せっかく積み上げた市場を破壊される側にとっては、たまったもんじゃありませんが)

 以上、だらだらと書いてみましたが、ちょっとメンテしてみたいと思ってますので、是非「ここが違うだろ」とか「これが抜けてる」というのがあればご指摘頂けると幸いです。

従業員が多い会社と、無料利用者が多い会社とどちらが偉いか

夕刊フジBLOG 日本の“小さなグーグル”、「はてな」近藤淳也社長を読んで。

 ちょっと前に夕刊フジBLOGにはてなの近藤社長のインタビュー記事が掲載されていました。
 そこで気になったのがこのフレーズ。

「たしかに収益は倍々で上がっていますが、それに乗じてむやみに会社を大きくすると、社員を食べさせるための仕事をしなければなりません。それでは焼き畑農業と同じです」

 実は、個人的にも最近この辺りの価値観が気になってます。

 一般的に、「良い会社」と言った場合、どういう会社を想像するでしょうか?

 普通は大抵、「大きい会社」をイメージするはずです。
 売上高が大きいのはもちろん、社員が多い会社、長い歴史のある会社、東証一部上場企業なんてのも一つのステータスでしょうか。

 
 でも、これだけ世の中の変化が激しいと、実は売上高や社員数のような規模が「大きい」のは必ずしもプラスに働きません。
 社員が多いというのは、当然翌年も、そのまた翌年も、その社員を養うだけの売上を上げなければいけないということであり、業界が急激に変化して収益源が小さくなってしまった場合、規模が重荷になってしまうこともあります。

 そういう意味では、近藤さんが言うように、むやみに会社を大きくしないというのは重要な選択肢でしょう。
 一般的な社会の評価が、売上高や企業規模にある中、この信念をつらぬくというのは、実はかなり難しいことのように思います。

 
 そんな中、個人的に気になるのは、はてなが約20万人の会員を抱えているという数字の意味。

 もちろん、この20万人のほとんどは想像するに無料会員なわけですから、普通に見ればその価値を数字に還元するのは難しいところがあります。
 ただ、無料だからこそ、有料サービスの場合に存在する「他社に無料で同じサービスを提供されてしまう」というリスクは少ないわけで、実は足腰が強いコミュニティを築いているということもできる気がします。
 

 考えてみれば、Googleはもちろん、最近話題のmixiやSkypeも利用者からは、ほとんど直接お金を取っていません。
 しかし、どのサービスも大量の無料利用者を抱えているという点が共通で、Skypeなんかは売上高が6000万ドル程度なのにも関わらず、26億ドルという値段がついたりしました。

 そういう意味では、ネット企業の「良い会社」というのは、利用者の人数で見るのが正しいのでしょうか?
 でも、それも何となく違和感がなくもない気がします。
 

 まぁ、企業にランキングをつけること自体にそもそも意味が無いので、結局、サービスを利用するにしても、仕事を見つけるにしても、会社を経営するにしても、自分が良い会社と思う会社を自分で考えて選択するしかないっていうことだとは思うのですが・・・