トラックバックスパムがトラックバック機能を殺しそう

ITmediaニュース:ココログへの不満、社長がココログで謝罪を読んで。

 ココログで、レスポンスや機能を巡って、いろいろあったようですね。

 ココログと言えば、Niftyフォーラム経験者が多く、濃いブロガーが多いことで知られていますが、先日の@nifty会員以外でも無料で利用が可能な新サービス「ココログフリー」のサービス開始とレスポンスの低下が重なってしまったようで、社長の古河さんがブログに謝罪記事を載せるなど、スラッシュドットでもちょっとした話題になっているようです。

 
 まぁ、本筋の話はあまり詳しい話を知らないので、関連の記事を読んでいただくとして。

 個人的に気になるのは「トラックバック」という機能の行く末です。

 今回のココログのレスポンス低下も、大きな原因の一つが「大量のスパムトラックバックによるもの」と古河さんのブログでも指摘されていますが、実は最近私のブログにもトラックバックスパムが増えてきていたりします。
 その主なものは、出会い系やアダルト系で、短時間に10個ぐらい送られてくる悪質なもの。

 トラックバックは、良くブログに特徴的な機能として取り上げられます。
 もちろん、この機能がブログ普及に非常に重要な役割を果たしたことは間違いありません。

 これまでのウェブサイトは、リンクを貼っても張ったサイトの人に気づいてもらうにはメールを送るぐらいしかありませんでしたし、相手のサイトに自分のサイトにリンクを作ってもらうなど、とんでもなく大変なことでした。
 
 それがトラックバックを使えば、相手に自動的に告知がされますし、相手のサイトに自分のサイトへのリンクが自動的に作成されます。
 実に便利な機能でした。

 
 ただ、ここに来てこうトラックバックスパムが増えてくると、その手軽さのデメリットが強調されてきてしまいそうです。

 なにしろ、本来のトラックバックの目的である相手にリンクを貼ったことを通知し、相手のサイトからも自分のリンクを作成するという行為であれば、何も手動でトラックバックを打たせる必要はありません。

 例えば、佐藤さんがmasahikosatoh.comでやっているみたいに、テクノラティを使って自分のブログ記事にリンクしているブログの一覧を表示すればトラックバックの作業は不要。

 この手法は、メディア・パブで以前紹介されていましたが、washington postでも使われているみたいです。(最近のCNETとテクノラティのランキング記事連携なんかを見ていると、CNETのトラックバック機能も、そのうち置き換えられるんじゃないかと思ってみたり。)

 
 個人でこれをどうやるのかは、まだちょっと敷居が高い感じがしますが、そろそろ、トラックバックに変わる新しい仕組みが出てきて欲しいなぁと思う今日この頃です。

 まぁ、当然テクノラティのような新しい手法も、これはこれでスパム対策が必要になってくるんでしょうけど・・・
(要はここ数日のトラックバックスパム対策にうんざりしているだけなんですが。)

スカイプビデオ開始で、「テレビ電話」も流行るか?

ビデオチャット対応のSkype 2.0ベータ版が登場、TypePad上で通話可能に – CNET Japanを読んで。

 いよいよ、スカイプからビデオチャット機能のベータ版がリリースされましたね。
 実に昨年末ぐらいからベータの噂をちらほら聞いていたスカイプビデオですが、ついに満足いく水準になったようです。

 期せずして、昨日のスカイプインに続き、連日でスカイプの話題を取り上げることになりました。

 ビデオ機能の詳細については、冒頭の記事以外にもスカイプ技術本の池嶋さんや、Going My WayのKengoさんが早速レビューしていますからそちらをご覧頂くとして。

 個人的に興味があるのは、はたしてこのスカイプのビデオ機能がいわゆる「テレビ電話」ブレイクのきっかけになるかどうかという点です。 

 テレビ電話というのは、これまでブロードバンドの注目アプリと言われ続けて、なかなかブレイクしなかった通信業界の鬼っ子です。

 以前、All Aboutにも書いたことがありますが、NTTがISDN対応の一般向けテレビ電話機「フェニックス」を売り出したのがもう10年も前の話。

 その後、NTTドコモがFOMAのテレビ電話機能をアピールするなど、NTTグループ中心に数々の取り組みがあった上、MicrosoftもMSNメッセンジャー利用者向けにビデオカメラを無料で配るなどビデオチャットに力を入れていた時期があります。
 

 でも、結果は皆さんご存知の通り。
 いまだにテレビ電話というのは、一般利用者にとってはハリウッドの映画の世界の話という感じですよね。 

 ちなみに、個人的には、4~5年前にNTTドコモの榎木さんの講演を聞いたとき、こんな話をされていたのが、未だに印象に残っています。

「私はテレビ電話は流行らないと思います。
 理由は簡単です。
 だって、女性が化粧をしていない時にテレビ電話に出ますか?
 出ないでしょ?

 人類の半分が使わないサービスなんて、流行るわけ無いですよ」

 そう言われると、確かになぁ、と思ってしまったりもします。

 でも、それほどマスのレベルでなければ、単身赴任の夫が家族とコミュニケーションをするとか、遠距離恋愛している人とか、それなりにニーズはありそうな気もします。
(欧米ではビジネスにおけるビデオ会議は徐々に増えてきているようですし)

 当然、スカイプもその辺りは意識しているはずで、だからこそ品質の向上にこれだけ時間をかけたのでしょうし、その分動画の品質はこれまでのテレビ電話のコマ送り的なイメージを超えて、かなり満足の行くレベルになっているようです。

 ただ、インターネット電話の音質であれば、特別な機材を買わなくてもPCだけで比較的手軽に試せるのに対し、テレビ電話は何しろカメラが無いと試せませんから、口コミの広がり具合にも違いがあります。
 でも、ビデオはやっぱり見栄えが良いですから、インパクトはありそうですし・・・

 どうも考えがまとまりません。

 はたして、スカイプは2年前に「音質が悪いインターネット電話」のイメージを変えたのと同様のインパクトを、「誰も使わないテレビ電話」においても引き起こすことができるのでしょうか?

いよいよ日本でもスカイプインが始まるらしい

Going My Way: 日本におけるフュージョンのSkype転送サービスとSkypeInは同時にリリース予定を読んで。

 スカイプに電話番号を付与し、一般電話からの着信を可能にする「スカイプイン」ですが、いよいよ日本でもサービスの目処が立ってきたようですね。

 スカイプインの仕組みを提供することになるフュージョン・コミュニケーションズとスカイプの提携が発表されたのは、もう半年近くも前の出来事になります。

 その当時は、「どうやらスカイプは日本ではまだ電話として認められないらしい」なんてタイトルの記事を書いたように、フュージョンからスカイプへの転送電話サービスという印象が強かったのですが。
 最終的には、この仕組みをフュージョンがスカイプに提供することにより、利用者が直接スカイプと契約するスカイプインが実現できる見通しが立った模様です。

 で、実は、そもそもこのニュース、11月7日にフュージョンから発表されているんですよね。
 すっかり旅行中の空白期間で目立たない記事だったので見落としてました。(KDDIとパワードコムの合併のあおりを受けて、フュージョンは売却されるというもっぱらの噂だったので、しばらく決まらないかなーなんて思ってたんですが、これも当面は東電が保有する形で決着していたのですね。これまた見落としていました(汗))

 IT Proの記事によるとフュージョンの転送サービス自体は12月19日から試験提供が開始されると、はっきり明記されてます。

 そういえば、以前、フュージョンの担当者インタビューで「年内にはサービスを始めたい」というコメントが出ていましたから、予定通り間に合ったというところでしょうか。

 12月の段階で、利用者に直接スカイプインが提供されるのかどうかは良く分かりませんが、少なくとも一歩前進となりそうですね。
 

 こうなると気になるのは、スカイプインが日本の通信業界に与える影響。

 記事の扱いを見ている限り、今のところは注目度はかなり低いようですが、何しろ、スカイプインが日本で予定通り開始されると、私たちはスカイプに050番号を振ることができ、一般電話から電話を受けることができるようになります。

 今でもスカイプアウトを使えば、スカイプから一般の電話に電話をかけることができますから、これでスカイプインも可能になれば、かける方も受ける方もスカイプで済むという状況ができてしまうわけです。
 電話機が無くてもPCで電話の代わりができるという実に不思議な状態になります。

 もちろん、大企業や一般家庭の電話が今すぐスカイプに置き換わるとは思えませんが、電話をあまり使わないIT系のベンチャー企業や、個人事業をされている方にとっては魅力的な選択肢になりえます。

 おまけに、スカイプがこの手のサービスを日本で提供可能になるのであれば、当然後からMicrosoftやYahoo、Googleが類似のサービスを始めてくる可能性がありますから、日本の通信業界にとってはパンドラの箱に近い第一歩になりそうです。

 
 はたして、既存の通信事業者はどういう思いでスカイプインのサービス開始を見守っているのでしょうか。

 個人的には、スカイプを止めるにしても取り込むにしても、売りに出ていたフュージョン・コミュニケーションズをとりあえず買ってしまえば、少なくとも時間は稼げたのでは?とか姑息なことを思ってしまったりするんですが・・・

日本のYahoo天下は、Googleも当分崩せない?

ヤフー、検索表示変更で利用者動向が変化–ネットレイティングス – CNET Japanを読んで。

 様々な物議をかもした10月のYahooのロボット検索への移行でしたが、ネットレイティングスのデータで見ると、Yahooは賭けに勝利したようですね。

 
 詳細のデータは、ネットレイティングスのリリース(pdf)に出ていますが、Googleのページビューの伸びが3%だったのに対し、Yahooは9%の増加と違いは明らか。
 利用者数自体の伸びは双方それほど変わらないようですが、単純に考えれば検索におけるページビューの増加は、広告のクリック機会が増えることを意味しますから、これは明らかにポジティブな話でしょう。

 おまけに、関連検索ワード機能によって複数語検索が増えるなど思惑通りに新機能も効果を挙げているようですから、ここまでのところは、Yahooのロボット検索への変更は成功だったと言えるのではないでしょうか。

 
 グローバルにおいては、Googleの影に隠れて地味な印象のYahooですが。
 こうなると、日本ではGoogleがYahooに追いつける要素の方が少なくなってきている気がしてしまうのは私だけでしょうか

 今でこそ、Google Adsenseのようなコンテンツマッチ広告は日本ではGoogleの独壇場ですが、Overtureの管理画面にはずいぶん前からコンテンツマッチ広告出稿のためのメニュータブが表示されていますから、なんとなくこの分野の競争が開始されるのも時間の問題のような気がしますし。
(米国では始まっているようですから、技術的というよりはビジネス的な問題で止まっているのだろうと想像されますが)

 検索広告の分野においても、米国ではGoogleが提携しているAmazonの検索広告を、日本ではOvertureが取ったなんていう事態も発生しているようですから、この辺りにYahooの日本での強さを感じてしまいます。

 まぁ、もちろん、Googleも黙ってはいないと思いますから、今後、日本市場においてGoogleがYahooにどう戦いを仕掛けていくのかが一番気になるところです。

ソニーのブログは炎上するだけまだマシかも?

[B面]犬にかぶらせろ! – 炎上したソニーのブログの件を読んで。

 So-net blogに開設された『ウォークマン体験日記』が、炎上してオープン3日で閉鎖と言う出来事があったそうです。

 なんでも、先日発売されたウォークマンAシリーズのプロモをかねた仕掛けだったようですが、プロが素人の振りをしていたのがあっさり見破られたとか。

 
 ウォークマンAシリーズと言えば、iPod nanoの発表にソニーがぶつけた期待の新製品だったはずですが。

 iPod nanoは発表と同時に発売されて、携帯オーディオ市場で販売シェア約6割到達の原動力になったのに対し、ようやく11月19日に発売されたウォークマンAシリーズは付属ソフトのCONNECT Playerも合わせて、評判もいまひとつの模様
 
 ソニーBMGのrootkit CD問題などもあって、炎上しやすい背景もありましたから、ただでも炎上しやすい仕込みプロモとくれば、まぁ当然の結果と言うべきでしょうか。

 丁度、土曜日に「ひとつのブログで会社が変わる」というビジネスブログの本を頂いたのもあって、この手の話に興味津々なのもあるのですが。
 広告主協会から「ブログ記事は企業にとって有用」なんてレポートも出ているみたいですから、今後もこの手の仕掛けも増えてくるでしょうし、同様に失敗談も増えてくるんでしょうね。

 まぁこの手のマーケティングは過渡期ですから、今回のソニーの失敗も致し方ないとはいうものの。
 個人的に非常に残念なのは、炎上した『ウォークマン体験日記』がいまや完全に閉鎖して、謝罪文だけのページになってしまっていること。

 今回の企画は、冒頭に紹介した記事で速水さんが分析しているように、おおかた「代理店なり編プロなりが、紙の記事広告を作るのと同じのりでブログに手を出したんだろう。」というところでしょうが、炎上した後に完全に夜逃げ状態になっているのは、いただけませんよね。

 もちろん、当事者として逃げたくなる気持ちは分かりますが、逃げたところで、結局こうやってあること無いこと推測されてしまうわけで。
 素直にやり方が悪かったことを正面から謝罪して、今のうちにウォークマンAシリーズのどこが悪くて、今後どうしていくべきなのか、利用者から批判含めて散々情報収集してしまうべきだと思うのは私だけでしょうか?

 個人的には、実は日頃から、ビジネスブログにおいては、ブログが炎上するぐらいの方が、全く話題にならないよりもマシだと思ってます。
(個人情報の流出だとか、家族の嫌がらせにつながるような炎上劇はもちろん別ですが) 

 企業の場合はブログが炎上しようがしまいが、どっちにしろ会社がつぶれない限り、悪い評判からは完全には逃げられないわけで。
 それなら、最後までその場でフィードバックを取った方が、次のチャンスでの成功につながるはずです。
(まぁ、今、建築関係で話題のヒューザーぐらいまで行ってしまうと、もはや手遅れな感じもありますが) 

 
 何と言っても、炎上していると言うのは話題になっていると言うことですから、PR的には実は結構チャンス。
 今回の失敗に懲りて、二度とネットプロモーションにチャレンジしたくなるぐらいなら、とことんまで今回の失敗につきあった方が良いような気がしますが・・・

 まぁ、もちろん、他人事だから気軽にこういえるわけで、当事者としては、どうしようもなかったのかもしれませんけどね。
 難しい話だなーとは思います。

 ということで、最後に、大学の心理学の講義で唯一覚えている先生の言葉を、ソニーの中の皆さんに贈ります。
  
「愛の反対は憎しみではない。
 なぜなら憎しみは愛に変わりうるから。

 愛に変わらない物、それは無視である。」

インターネットは、Google運営のオンラインゲームに?

好調、ウェブ広告販売–四半期最高記録を達成 – CNET Japanを読んで。

 相変わらずウェブ広告が好調のようで、ドットコム不況から持ち直して、はや連続12カ月黒字成長を続けているそうですね。
 なんとも景気の良い話です。

 なんでも、検索エンジン関連のものが、売上のほぼ半分を占めるようですから、おそらくはGoogle、Yahooがらみのものが中心になると思われますが、まだまだ、しばらくこの勢いは続きそうですね。

 先日、「Googleはネット世界の創造神なのか破壊神なのか」などというタイトルで、Googleが広告費に依存したビジネスモデルで、新しい産業を生み出してはいないのではないかという記事を書きましたが。
 
 実のところ、Googleはインターネットを本来あるべきビジネスモデルに導いているだけかもしれないと言う気もしています。

 そもそも、インターネット自体はデジタルを中心としたバーチャルな世界です。

 以前、Life is beautifulで「簡単にオリジナルと同じクオリティの複製が作れてしまうデジタルコンテンツの時代に、単なるビットの集まりに対価を払わせるのはどんどん難しくなっている。」という指摘がされていましたが、実に納得。

 もちろんデジタルだからこそ、大量の情報やデータが存在し、手軽に検索・利用することができるわけですが、低コストで入手・活用できる分、利用者が感じる価値にも限界があります。

 そうであれば、デジタルの世界でデジタルなモノに値段をつけてデジタルの利用者に売りつけるよりも、デジタルの世界でアトム(物質)なモノの販売に協力してアトムの世界からお金をもらった方が合理的です。

 なにしろアトムの世界の経済規模に比べれば、インターネットなんてまだまだ小さいわけですから、アトムの世界の広告費だけ回してもらえば十分存在できてしまうわけで。

 そういう風に考えると、Microsoftの主力製品も含めたソフトウェア全体が無料化の波に乗っているのも、何となく分かる気がしてきます。

 今まではソフトウェアも「パッケージ」という箱に入っていることで、何となく消費者はアトムの価値を感じてしまっていたわけですが。
 インターネットにつながってオンラインで提供されるようになると、しょせんデジタルのビットの集まりでしかないことに気がついてしまうわけですね。
 で、実際ネットを通じて低コストで提供できるわけだから、無理に利用者からお金を徴収しなくても、無料で提供して広告費で回せば良いじゃないか、というのは実は非常に合理的です。

 そんな世界で、無理にインターネット上のデジタルなコンテンツやサービスに価値付けして、利用者に無理矢理お金を払わせようと言うのは、オンラインゲームの仮想アイテムに現金の価値付けをしているようなものなのかもしれません。
(まぁ、オンラインゲームのアイテムでも、レアなものには実際値段がついちゃうんですが)

 そう考えてみると、アクセス解析や写真管理など、これまで有料で提供されていたサービスをGoogleが無料で提供してしまうと言うのは、何も産業を破壊しているのではなく、合理的に当然のビジネスモデルにGoogleが導いているだけなのかもしれないと言う気がしてきてしまいます。

 そういえばオンラインゲームにも、利用者からはお金を取らずにプロダクトプレースメントで広告を入れてビジネスにしているようなのがあると聞いたことがあります。

 なんだか、最近インターネットが、Googleなどの大手企業が運営するオンラインゲームになりつつあるような錯覚を覚えるのは私だけでしょうか。

 
 自社が広告収入で運営するオンラインゲームであれば、効果測定なり、顧客に役立つオプションサービスを、顧客に無料で提供するのも当然ですし、自社の世界のトラフィックの流れを把握するなんてことも当然ですし・・・