書籍「P2Pビジネス」を書きました。

初めて執筆した書籍「図解 P2Pビジネス」が発売されました。
自分が本を出せるなんて実に驚きで、未だに信じられない感じもありますが・・・

japan.internet.comのコラムに連載した記事を中心に、P2Pにはどのような可能性があるのか、ビジネスの視点から解説した書籍になっています。
P2Pについて、漠然としたイメージしか持っていなかった方に是非読んでいただければ幸いです。

図解P2Pビジネス
図解P2Pビジネス 徳力 基彦

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スラッシュドットに見る日本人の匿名コメント気質

 昨日、GLOCOMで開催されたスラッシュドットのセミナーに参加してきました。

 Slashdot本家を解説したRob Maldaさんとスラッシュドットジャパンの編集長であるOliver Bolzerさんのダブル講演。
 こんな機会はめったにないと期待して参加したのですが、期待を上回る刺激を受けることができました。

 なんといっても印象に残ったのは二人が実に楽しんでスラッシュドットを運営していると言うことだったのですが。
 もっとも驚いたのは米国のSlashdot本家と日本サイトの匿名コメント率のあまりの違いの大きさ。

 匿名でコメントする人の割合は、本家が20~30%なのに対して、日本の匿名率はなんと60~80%。
 日本のほうが多いとかそういうレベルの話ではなくって、多数派と少数派の割合がまったく逆なんですね。

 maoneko blogさんでも書かれていますが、その違いについてOliverさんは結構はっきりと残念なことだといってたのが印象的でした。
 
 Robさんはその状況に対して、「まだ開設して4年で、みんなアカウント登録するのを面倒がっているのではないか」とコメントしていましたが、Oliverさんはかなり日本の文化や普及時期の違いなんかを細かく指摘していて、個人的にはOliverさんに賛成。

 なんでも、そもそも匿名コメントはセンシティブな情報の提供者を守る為のものだったそうで、欧米では比較的それ以外の目的で匿名を使うと比較的恥ずかしい行為と認識されるそうですが。
 日本では逆に記名の人のほうが匿名の人に「売名行為」とか非難されやすいんだとか。
 そういわれると思い当たる節がいろいろあります。

 さらにOliverさん曰く「別にスラッシュドットにユーザー登録をしても「個」の識別ができるようになるだけで、実質的には匿名なのに。」

 そう、そういわれればそうなんですよね。
 まったく自分に関係ないニックネームでも取ってコメントすれば匿名なのに、それでも自分を特定されるリスクを嫌うのが日本的というところなのでしょうか。
 最近の個人情報保護法の流れを見ても、「個」が特定されるリスクに対する感覚が、やはり欧米と日本ではかなり違うような気がします。

 ちなみに、先日「ブログは実名で書くべきか、匿名で書くべきか」という記事を書きましたが、小林Scrap Bookさんから「ブログはコテハンで書くべきか、捨てハンで書くべきか」というトラックバックをもらって、自分の匿名の使い方が間違っていたことに気づきました。

あちこちを見るに、実名=本名/匿名=別名という定義とは限らないらしい。ペンネームでもハンドルネームでも、自分はこの名前で活動していくゼ、という看板として決まった名前を掲げていれば、「実名」の範疇と捉えていいようだ。

 
 そういえば匿名コメントの「匿名」と、いわゆる本名を出していないブログは違いますね。そっちはペンネームブログとかニックネームブログとでも呼ぶべきでしょうか。
 
 結局、ブログのように自分の場所を決めて書き続けるものの場合は、スラッシュドットと同様アカウントによってある程度は「個」が特定されますから、掲示板やコメント欄の匿名コメントとは本質的に違うんでしょうね。
 

 そういう意味では、ブログを書く人というのは本名・仮名・ニックネーム問わず、ある程度は個を特定されるリスクを取っているわけで、それに対してスラッシュドットや2ちゃんねるのような掲示板で完全匿名でコメントしているのとは立ち位置がかなり違うようです。
 ちょうど、大西さんのブログで「匿名のマナー」というタイトルで匿名コメントを批判する趣旨の記事が書かれていて、コメント欄にもさまざまな意見が書かれていたのですが、このブログを書いている人とコメントがメインの人の立ち位置の違いが、この辺りの議論を複雑にしているような気がしてきました。

 別にどちらが正しいかというのケースバイケースの話だと思いますし、自分としても上手く結論が出せていないのですが。
 スラッシュドットの日米で、匿名コメント率がまったく逆の位置関係にあるという事実自体は、ブログを書く上でも理解しておいたほうが良いような気がします。

フルブラウザ搭載携帯は、サービス無料化への入り口?

フルブラウザ搭載FOMAが登場–NTTドコモ、901iSシリーズを発表 – CNET Japanを読んで。

 いよいよ、FOMAにもフルブラウザが標準搭載される時代がやってきましたね。
 電話にメール、デジカメにゲーム、音楽配信からテレビ電話までと、その適用範囲を急速に広げ続ける携帯電話ですが、もうここに至っては携帯「電話」と呼ぶよりは携帯「PC」と呼んだ方が正しいのかもしれません。

 ただ個人的には、フルブラウザ搭載が携帯電話業界にとって良いことなのかどうかは良く分かりません。

 日本の移動通信事業者は、世界的に見ても非常に強い権力を持っていると言われています。
 その権力の源泉の一つとなっているのが、プラットフォームとしての閉鎖性。
 
 例えば、ドコモのiモード利用を例にすると。

 携帯電話   メーカー(とはいえドコモ専用)
 通信インフラ もちろんドコモ
 ISP    これもドコモ
 ブラウザ   これまたドコモ
 ポータル   またまたドコモ
 サービス   やっと各事業者(とはいえドコモ専用)   
 
 という具合で、見事なまでに閉鎖的。
 顧客が携帯でサービスを利用しようと思ったら、ほとんど通信事業者であるドコモが握っているものを利用しないといけないというのが現状です。

 これが固定通信の場合には、例えばNTTを利用したとしても。

 端末(PC) 何でもOK
 通信インフラ NTT
 ISP    別に何でもOK
 ブラウザ   何でもOK
 ポータル   何でもOK
 サービス   何でもOK

 と、通信事業者は何の権力も持たないのが普通。
 改めて書いてみると、この差の大きさには驚きますね。

 
 ただ、これがフルブラウザが普通になってくると、携帯電話の閉鎖モデルにはブラウザから下に穴が開くはずです。

 これまで多くの利用者はサービス検索にドコモのポータルに頼るしかなかったのが、普通のPCで利用しているポータルを利用することができるようになります。
 さらに、月額数百円の利用料を課している携帯電話向けサービスサイトは、無料の通常のインターネットサイトとの競合を迫られることになるでしょう。

 例えばニュースサイトや地図検索、電車の時刻検索など、情報を有料で提供している場合は、よっぽど携帯電話向けの使い勝手で勝負しないと厳しくなるでしょうし、将来的には待ち受け画像、着メロ、ゲームなどの携帯専用コンテンツも、通常のインターネット上の無料の世界に引きずられる可能性は高いと想像されます。
 
 利用者がお金を払うのが当然だったモバイルサービスの世界も、これまでの利用者がお金を払わないのが当然のインターネットの世界と同化するのでしょうか?

 もちろん事業者は、そうならない道を模索するでしょう。
 実際、auにしてもドコモにしても、正規のフルブラウザでの利用においてはパケット定額制の適用をしていません。
 なんとか固定インターネットとの同化を避けようと言う意思は感じられます。

 ただ、リリースから4ヶ月で有料顧客1万人を集めたと言われるjigブラウザや、エキサイトとの提携を発表したScopeなど、ダウンロード型フルブラウザの場合には、実質パケット定額の範囲内で利用できてしまうのが現状。
 もちろん、まだフルブラウザとはいえ、PCなみの使い勝手には程遠いですし、わざわざブラウザをダウンロードして利用する人の割合と言うのはまだまだ低いでしょうが、もし利用者が携帯に標準搭載のフルブラウザで、フルブラウザのメリットを知ってしまうと・・・

 なんだか、有料サービス提供事業者にとって終わりの始まりのような気がしてしまうのは私だけでしょうか。

ブログは実名で書くべきか、匿名で書くべきか

[☆] ネットで公私を分ける需要を読んで。

 naoyaさんのはてなダイアリー経由で気がついたのですが、StarChartLogさんに、先日書いたブログ論にこんなコメントを頂いてしまいました。

そういう状況下で、まだブログをはじめてない皆さん、特に大企業の中の皆さん、是非ブログを始めてみてください。と言われてもね。「実は大企業の中の人だけど趣味でネット人格作ってブログやってます。会社の人などのリアル知り合いには教えてません」と言う人は多そうです。

 すいません。
 実は、その点については私も賛成です。

 書き方が悪かったんですが、大企業の中の方にブログを書いてくださいといっているのは、別に実名で書けと言っているわけではなく。
 当然、匿名ブログで始めるしかないだろうなぁと思ってます。
 (実際、自分がまだ最初の会社に勤めていたら、間違いなくブログに名前なんて出してないでしょうし)

 実名でブログを書いている自分が言うのも変な話ですが、正直なところ実名でブログを書いたところで、匿名ブログとメリットはそれほど変わらないような気がしています。

 たとえば、ブログを書くことによって得られるものを思いつくまま並べてみると、こんな感じでしょうか。

1・日々書くことで文章力が上達する(かもしれない)
2・書くことによって自分の思考を整理できる(かもしれない)
3・他のブロガーとディスカッションできる(かもしれない)
4・広告とかで若干のお金儲けができる(かもしれない)
5・他のブロガーと実際に会うことができる(かもしれない)
6・メディアでの執筆や本の出版のチャンスがもらえる(かもしれない)
7・本業に役立てることができる(かもしれない)

 前半の1~3は、どちらかというと自己啓発に近い位置づけなので、人によって差はあれど大抵の人は実現できるメリットでしょう。
 この部分は、実名ブログであろうが匿名ブログであろうが得られるメリットにほとんど差はありません。

 4のお金のあたりから、徐々にかなり努力しないと実現できないものになってはきます。
 ただ、これは別に実名ブログにしたって同じことで、匿名ブログでもがんばれば十分に実現可能。
 
 たとえば、匿名ブログでも他のブロガーと実際に交流するにはそれほど苦労しません
 イベントなんかで他のブロガーとであったとしても、ブログを通じてそれまでに交流があれば、実際に出会ったときには相手に自分の名前とブログを教えれば話が通じます。
 まったくの初対面よりはよっぽど話が早いというものです。
 
 執筆や出版にしても、実際にはブログが有名になれば出版会社から問い合わせが来るようです。(まぁ、そもそもビジネス系のブログなんて本にするのが難しいですが)
 まぁ、唯一「本業に役立つ」というのが、匿名ブログだとちょっと難しいかなぁと言う感じでしょうか。

 実際問題、今、思い立ってブログをはじめたところで、リストの後半のほうの「お金」とか「出版」を目指すには相当の努力をしないと難しいでしょうから、自己啓発の延長ぐらいの感覚でブログをやるのであれば、匿名ブログでまったく問題ないと思ったりするわけです。

 naoyaさんが書いているように「実名がどうとかいうことは本質じゃない、たとえ実名だったとしても名前はただのラベルでしかない。」というのが、非常に良い表現だと思います。
 実名を出していようがいなかろうが、面白いブログ、役に立つブログというのには自然と人が集まります。

 実際、R30さん、極東ブログのfinalventさんをはじめ、多くの有名ブロガーが匿名でブログをつづられていますし、ガ島通信の藤代さんにみられるように開設当初は匿名ブログで、その後実名ブログに、というパターンもありますよね。

 ですので、ヒンシュク覚悟で、あえてもう一度。

 まだブログをはじめてない皆さん、特に大企業の中の皆さん、是非ブログを始めてみてください。匿名で構いませんから。

 とはいえ、masahikoさんのデータによると、そもそもブログを続けると言うのは相当難しいというのが実情のようですが・・・

いまさらながら、自分なりにブログ論を振り返ってみる

My Life Between Silicon Valley and Japan – Blog論2005年バージョン(7・これで完結)を読んで。

 GW前にちょっとした盛り上がりを見せたブログ論ですが、火付け役の梅田さんのBlog論2005年が7回の連載を経て完結したのもあり、もう主なブロガーの間での議論は終了し、先に進まれてしまったようですね。

 私がGW前に書いたブログブームの記事についても、いろんな人からいろんな反応をもらいました。
(ブログタイプは、ココリコミラクルと同じスタッフが作っているという話も教えてもらえたり)

 やっぱり、ブログを書いている人間にとって、ブログ論というのはある種の人生哲学のようなものなんでしょうね。
 自分は何のためにブログを書いているのか、ブログを書くことにどういう意味があるのか、定期的に確認したくなる。そんな感じをうけてしまいます。

 GW中にいろいろあってブログが書けず、すっかりタイミングを逸してしまった間がありますが、自分のまとめをメモするためにも、いまさらながらに自分なりのブログ論を振り返ってみたいと思います。

 日本のブログの現状に対する感覚は、デジモノに埋もれる日々でまとめられている記事が個人的にもしっくりきます。
 やはり読み物としては「面白い情報が最強」というのは、痛感してます。
 
 自分自身も、面白ブログを読むのは好きだし、それらがランキングでトップを占めるのは当たり前。
 ブログタイプが番組としてどうかは別として、ブログタイプに影響されてブログを始める人が増えることも、実は良い事だと思ってます。
(実はうちの嫁さんもブログタイプを見てから、ようやくブログを書いてくれるようになりましたし(笑))
 
 実際、アカデメディア(当日の詳細はLacrimeさんのログ参照)で講演された水野さんだとか、さきっちょ・はあちゅうコンビのように、個人情報発信の成功事例が出ていることは非常に良いことだと思ってますし、俺のターンでほのめかされているように、たぶんもっとそういう成功事例は隠れているはず。

 ただ、正直な話、自分はそういう面白い文章を書く能力がないですし、自分がITベンチャーにいることもあり、やっぱり自分の仕事に対するヒントになってくれるビジネス系のブログに興味があるんですよね。
 そういう意味では、デジモノさんの例えで行くなら、極上のチャーハンも好きだけど、極上のラーメンも食べてみたいという感じでしょうか。

 まぁ、ブログといっても、所詮簡単ウェブサイト作成ツールなわけで、面白いブログを書こうがビジネス系のブログを書こうが自由。
 自然と面白いブログが主流になるのは当然の流れといえるでしょうね。 

 そういう意味では、「ブログは米国で濃い議論に使われてるから日本でも使ってくれ」というのは、そもそも無理というのは何となく分かってはいるんですが、どうしても個人的にはそういうビジネス系のブログに増えてきてほしいんですよね。

 そのあたりの矛盾については、McDMasrerさんwebdogさんにかなり厳しく突っ込まれてしまってますが。

 それでも、やっぱり個人的にブログに期待するものは、こういう濃い人と手軽にネットで議論できる点だったりします。

 自分の言葉でうまく表現できないのですが、感覚として印象に残っているのがITmediaの田口さんのインタビュー記事の「究極のインターネットは、みんながちょっとずつ頭がよくなる世界」という言葉。

 実際に自分がブログを続けるエネルギーになっているのが、ビジネス系のブログを書いている人たちとインタラクションを取れる点にあります。
 それこそインターネット前であれば、濃い人たちと議論するには、そういう勉強会に参加しに行くとか会いに行くしかなかったものが、今ならこうしてテキストベースでだれかれ遠慮なくディスカッションを仕掛けられるわけです。

 一人で沈思黙考して思いつく未来なんて、自分レベルでは所詮しれているんですが。
 それがこうやって大勢の人と一緒に議論しながら考えられるってのは、まさに脳のシナプスがプツプツとつながる錯覚を味わえるわけです。
 今回のブログ論をめぐる議論なんて、まさにそれですよね。

 そういう意味では、自分にとってのブログは、パーソナルメディアというよりはあくまでコミュニケーションのツール。

 コミュニケーションの相手が増えてほしいという思いがどうしても強いので、McDMasterさんがいうような「閉鎖的な日本の企業組織社会で発言を制限されてきたプロフェッショナルたちが blog というツールの良さに気付くまでにはさらなる時間が必要だと思う」というのは大企業出身者として痛感していながらも、やっぱり期待してしまったりするんですよね。

 実際、finalventさんが書かれていたように、専門家にとってはネットに降りてくるメリットが薄いというのは事実ですし。
 ただ、個人的にブログに出てきてほしいのは、リアルで専門化扱いされているほどレベルの高い人でなくても良くて、大企業の若手で自分と同じぐらいの意識で議論してくれる相手が増えてくれれば、それで良かったりします。

  
 なので、難しいのを承知であえてまた書きます。
 まだブログをはじめてない皆さん、特に大企業の中の皆さん、是非ブログを始めてみてください。
(って、自分のブログに書いた程度じゃ、そういう人は読んでくれてないか・・・)

ブログタイプに見る日本のブログブームと言うもの

My Life Between Silicon Valley and Japan – Blog論2005年バージョン(2)を読んで。

 梅田さんのブログでBlog論2005年が展開されて各所で話題を呼んでいますね。
 昨日参加したアカデメディアでも、田口さんが梅田さんの記事を引用して、日本のビジネス系ブログの不足を嘆いていましたし、R30さんなんかは「ブログブームの終わり」と題した記事を書かれています。

 アカデメディアで田口さんが引用していて、私個人も特に共感した部分がここ。

確かに堀江さんや藤田さんをはじめとして、日本のネット系ベンチャーの社長がBlogを開設するようにはなったが、ライフスタイルの開示やベンチャー起業・精神論みたいな「面白さの追及」に終始して、中身のある話は少ない。大組織に属する超一流の技術者や経営者が本気でBlogを書くということも、どうも日本では起こりそうもない。磯崎さんのBlogのような質の高いものが、ありとあらゆる分野で、これでもかこれでもかと溢れるようになればいいのだが、そういう方向を目指すBlogは相変わらずほんのわずか。日本のBlogは、そちらに向かっては進化していないように思える。残念ながら今のところ、僕の期待は裏切られたのだな、というのが正直な感想なのである。

 実は、昨年末に私個人が漠然と感じていた不安とか不満のようなものがこの文章と重なります。

 個人的なブログの意義と言うのは、梅田さんがいうところの恐ろしいほどの「知的生産性向上」でしたが、年末辺りにブログ自体の数はうなぎのぼりに増えていくのだけれど、実はビジネスに役立つブログの数があまり増えていないように感じられる状態が続き。
 一無名ブロガーにも関わらず、アルファブロガー投票企画などという恐れ多い企画をしてたのは、そういうビジネス系ブログが注目されたり、そういうブログを目指す人が増えるのに少しでも貢献できればと、思ったのが経緯だったりします。

 
 ただ、最近になって「これはもう勝負あったな」と思う象徴的なものとなったのがフジテレビで放送されている「ブログタイプ」。
 ブログタイプをご覧になった方は感じていると思いますが、あの番組で取り上げているブログはもちろん「面白い日記」。
 うちの嫁さんも「ココリコミラクルみたい」と評してましたが、まさにそんな感じ。

 もちろん、ブログを読者投稿の代わりに使って、そのネタをもとにテレビ番組を作ると言う取り組みは興味深いですし、別に批判するものではないのですが。
 とりあえず、日本におけるブログと言う言葉が、普通の人にとっては「面白い日記」として定義されてしまったことを感じてしまうのです。

 もう、こうなってしまうと、しばらくは大企業の社員が実名で「ブログ」を書きやすい状況になるということはないでしょう。

 実名で情報発信していたときに、もしその人の企業名が補足されてしまうと、上司に理解があればというレベルでは多分済まず。
 広報部だとか役員レベルがブログのメリットを理解していないと、誰かが「あいつはネットで日記なんか書いてけしからん」とかなってしまいそうです。

 未来のいつかの吉岡さんと、梅田さんが掛け合いをしているように、日本における守秘義務の定義は限りなくグレー。
 日本の「仕事」の定義は、その会社における人格が、私生活の人格ともオーバーラップしているようなところもありますから、この守秘義務のグレーな定義が、自動的にネットでの情報発信に対する後ろめたさにつながっている印象もあります。
(座談会で梅田さんと議論したときには、「日本人は仕事や飲み会で忙しすぎてブログなんか書いているヒマないでしょ」と言われたのも印象的でしたが)

 まぁ、だからと言って個人が情報発信することの価値は明らか。
 大企業の中の人が躊躇している間にも、梅田さんが言うところの「新しい日本」の中から、濃いブログを書く人もどんどん増えてくるんだとは思います。

 ただ、個人的には大企業に属していた人間なので、大企業の人にも是非個人情報発信の価値を分かってほしいなぁ、などと思ってしまうわけですが、果たしてこの流れを支援するにはどうすれば良いのでしょうか?
 やっぱり難しいのかな・・・