ライブドアはパワードコムと携帯電話参入の夢を見れるか?

ライブドア、無線LAN公衆インターネット接続サービスを7月から開始 – CNET Japanを読んで。

 ライブドアが夏から公衆無線LANサービスを開始するようですね。

 もともと、公衆無線LANサービスに進出して、外出先でもスカイプを利用できるようにするというビジョン自体は、昨年スカイプと提携したときに堀江社長が披露していました
 そういう意味では今回のサービス発表は既定路線のはずなんですが、さすがにニッポン放送買収がらみのあとだけに何だかいろんなことを考えてしまいますね。

 特に、CNETの記事では触れられていないのが気になるのですが、注目したいのがR30::マーケティング社会時評で紹介されている日経の「パワードコムと連携」という部分。

 R30さんも指摘されているように公衆無線LANサービスにおいての肝はなんと言ってもアンテナの設置場所の確保。
 パワードコムがライブドアと提携するのが本当なのであれば、確かにこれは注目です。

 ちなみに、パワードコムは法人向けではかなり重要な地位を占めつつある通信事業者ですが、コンシューマーにはほとんど知名度がありません。
 実際、その知名度の無さは、自社のテレビコマーシャルで「日本最大級の光ファイバケーブル25万km」「顧客満足度第1位」「広域イーサネット利用率3年連続No.1」とアピールした後に「でもなぜか認知率たった49.6%」と自虐的な広告を打っていたぐらい。
 
 逆にライブドアの方は、今やお茶の間の主婦から大学生やお年寄りまで認知度はありあまって売れるほど。たしかに、いい組み合わせには思えます。

 
 ただ、日本でこれまで数多くの事業者が公衆無線LANサービスの夢に挑んで敗れ去っているのもこれまた事実。
 鳴り物入りでサービスを開始したMISが撤退したのを筆頭に、打ち上げ花火だけに終わった鷹山や、実証実験の延長程度に終わっている各通信事業者のサービスなど、公衆無線LANサービス単独での立ち上げの難しさは明らか。

 個人的には、結局日本のモバイルコンピューティングのニーズはウィルコム一社でカバーできる程度だと言うのが現状のように感じているので、いくらパワードコムのインフラを使っても難しい挑戦のように感じてしまいます。

 もちろん、堀江社長が以前スカイプとの提携会見で言っていたように、公衆無線LANサービスをベースとした携帯電話サービスを展開するということであれば話は少し異なります。

 丁度@nifty モバイルフォーラムでは、「Skype携帯電話がいよいよ年末までに登場」という記事が掲載されており、堀江社長の社長日記のコメントも掲載されています。
 実際にここまで端末の話も進んでいるのであれば、それに呼応してインフラ展開を進めると言うのもうなずける話ではあります。

 ただ、日本という市場を考えると、携帯電話やPHSとの競争はかなり厳しいのではという印象もあります。

 確かにそこら中に公衆無線LANのアンテナがあって、Skype携帯で無料で電話ができたら便利だな、とは思うわけですが。
 料金が安い携帯電話であったはずのPHSが、それほど普及しなかった日本の携帯電話市場の特性を考えると、はたしてサービス提供範囲が相当限定されるだろう初期の段階で、ライブドアの公衆無線LANサービスが利用者を増やしていけるのでしょうか。
 どうもよく分かりません。
 

 ちなみに、一利用者としては、公衆無線LANサービスのアンテナが家の近所に立ってくれれば、家のADSLを解約して公衆無線LANサービスだけに依存するというのが実は理想のような気もしてしまいますが・・・

マルチメディア推進フォーラムで講演をしました。

 マルチメディア推進フォ-ラム PART330で、講演をさせてもらいました。
通信系の方が多かったので、もう少しそういう内容にした方が良かったような気もしてます。

「P2Pトラフィックがもたらす電気通信事業へのインパクト」
-P2P通信の権利と義務-

12:10

13:40

「P2P電話スカイプが拓くP2Pサービスの可能性」

スカイプとは何か?

スカイプが電話業界に与えるインパクト

スカイプを支えるP2P技術の仕組み

P2Pモデルが向くアプリケーションとは

P2Pサービスの未来を考える


アリエル・ネットワーク㈱ プロダクトマネジメント室 マネージャ 徳力 基彦氏

 詳細はこちら

トップブロガーになるには覚悟も必要?

デジモノに埋もれる日々: トップブロガーの規模を、推定のPageViewで比較してみるを読んで。

 「デジモノに埋もれる日々」に、トップブロガーのPVの想定一覧が掲載されて各所で話題を呼んでいますね。

 もともとはAlexaで想定された一覧表を掲載されていたのですが、各方面から情報が次々に寄せられ更に濃い一覧表が作成されつつあります。
 これまでもFeedMeterなどのサービスを使えば、トップブロガーの人気ランキング的なものは大まかに想定することができましたが、こうやって具体的なページビューが並ぶと改めてトップブロガーの凄さを思い知ります。

 ライブドア社長日記の一日26.5万PVは最近の騒ぎが影響しているとしても、アキバBlog、切込隊長ブログと、完全に個人ウェブサイトという枠組みを超えたそうそうたるブログが並びます。
 この数字を見て、羨ましく思うビジネスサイトの運営者の方も多いことでしょう。
 
 
 個人的に気になったのは、この記事を受けて梅田さんが「ブログのPage Viewについて」という記事でされているコメント。

 1日10,000PVを超えるようになると雑音が多くなってくるような気もしないではない。
 (中略)
 そんなこんなを色々と考えあわせると、500-3,000PV/日あたりが、Blogを書いていて、けっこう楽しいいいゾーンなんじゃないかな、と思ったりする。そのくらいだと、読みたいと意図して訪ねてくれる人がほとんどで、それ以上になると、背景を知らずに何かの拍子に飛び込んでくる感じの人が増えてくる。

 そう言われると思い当たる節があるのが、トップブロガーの人々のコメント欄の取り扱い。

 一般的にいうと、自分が書いた文章に対して誰かがコメントをつけてくれるのは嬉しいもののはずです。
 双方向のやり取りができるのがブログの一つの魅力でもあるはずで、トラックバックとあわせて、コメント欄はブログらしい要素と言えるでしょう。
 
 ただ、梅田さんが書いているような1日1万PVを超えるようなブログになってくると、コメント欄の対応に悩みが見られる場合も多くくなるようです。

 最近では3月にR30::マーケティング社会時評で、コメント欄についての議論がありましたし、ガ島通信さんではブログの運営方針を明示するなどコメント欄の対応には苦慮されているようです。
 それが、切込隊長ブログほどになると、完全にコメント欄が一つの掲示板として機能するようになっている例もありますが、逆にコメント欄を閉じたり、制限しているブログも多くあります。

  梅田さんが書かれているように数千PV程度であれば、あくまでそのブログの「愛読者」がメインの状態で、小さな蛸壺コミュニティとして機能している状態なのでしょう。
 それが1万PVを超えてくると、他の蛸壺からも多くの人が流れ込んでくるようになり、コミュニティの性質も変わってくるということになるようです。
 トップブロガーになるには、それなりの覚悟が必要ということになるのでしょうか。

 ちなみに、先日座談会企画で百式の田口さんとネタフルのコグレさんとPVの話になりましたが、コグレさんがアクセス解析などを比較的しっかり行っているのに対し、田口さんがアクセス解析はあまり興味ないと発言していたのが印象的でした。
 コグレさんが「個人ニュースサイト」としてネタフルを運営しているのに対し、田口さんの百式は「自己研鑽の場」という感じで位置付けているという印象を受けましたから、やはり、サイトの目的によって何を目指すのかと言うことをしっかり定義することが重要だということなのでしょうね。

 まぁ、無名ブログを運営している立場からすると、PVが増えて悩みが増えると言うのも、正直羨ましい話だったりするんですけど・・・

WiMAXはモバイルのADSLになるか、WiFiの二の舞か

WiMAXを使った鷹山の新通信サービスの勝算(前編) – CNET Japanを読んで。

 WiMAXの詳細にわたる記事が前編、後編と分かれてCNETに掲載されています。

 業界関係者以外には、ほとんど話題にならないWiMAXですが、個人的にはどうしてもADSLの登場初期と、印象がかぶって仕方がありません。

 ADSLが東京めたりっくによって提供され始めた当時、既存通信事業者の反応は冷ややかなものでした。
 「数年待てばFTTHになるから、すぐに意味なくなるのに」という感じで。

 それがその後ADSLは、Yahoo!BBの登場もあって急速に普及し、NTTグループもたまらずフレッツADSLを提供したりFTTHを値下げする羽目になったのは記憶に新しいところ。

 その視点で、WiMAXの周辺を見ると、既存の移動通信事業者の反応は「すぐに3.5Gや4Gの時代になるから、すぐに意味なくなるのに」という感じにも見えますが、どうなのでしょう・・・?

 もちろん、ADSLが短期間に躍進できた鍵は、規制緩和によりNTTグループから低コストでメタルケーブルのインフラを入手できたこと。
 ゼロからインフラを構築するWiMAXは、当然不利な位置にあります。

 ただ、海外の状況を見ると英国においてT-MobilとTelabriaが、米国ではAT&TもWiMAXの実証実験を行うと表明しているそうで、端末や設備に関しては実は追い風。
 さらに鷹山は記事にあるように東京アステルのPHSインフラを持っていますから、ゼロから事業を開始するのに比べるとはるかに筋が良かったりもします。
 
  
 もちろん、課題もたくさんあります。
 最大の懸念事項は、やはり鷹山の実行能力でしょう。

 CNETの記事にもありますが、実は鷹山はその昔(と言っても3年前ですが)、東京アステルを買収したときに、PHS・WiFi・ポケベルを組み合わせた新しいIP電話サービスを立ち上げるとぶち上げたことがあります。
 
 このニュースも、業界の間では少し話題になりましたが、いろいろあったらしく、その後サービスが実際に提供されることはありませんでした。
 もちろん、今回はそのリベンジということでしょうが、狼少年にならないためには、今回のサービスは確実にリリースする必要があるでしょう。

 まぁ、そうは言っても、今でこそYahoo!BBで通信事業の一角を占めるソフトバンクも過去に一度スピードネット構想をぶち上げて失敗したことがありますし、電力会社の電力線インターネット構想もかなり長いこと実験レベルでしか出てきませんから、通信事業で新規参入が上手くいかないのは良くある話。
 
 今回の鷹山のWiMAX事業が、前回の失敗を教訓にして堅実に展開されているのであれば、ひょっとするとひょっとするかも・・・
 と思ってしまうのは私だけでしょうか?

N900iLで火がついたモバイル・セントレックスブームを考える

【緊急連載 モバイル・セントレックスの理想と現実】(1)PASSAGE DUPLE唯一の端末「N900iL」が抱える“秘密” : IT Pro ニュースを読んで。

 FOMA/無線LANデュアル端末であるN900iLの登場によりモバイル・セントレックスが注目を浴びているようです。

 モバイル・セントレックスとは携帯電話を会社の内線電話としても使うことができるIP電話システムのこと。
 N900iLは通常のFOMAでの携帯電話利用に加えて無線LAN経由で通話ができるためが、会社の中では無線LAN経由で内線電話として利用し、外に出たら普通の携帯電話として使うことができると言う仕組みが実現できます。

 同じような仕組み自体は、昔から構内PHSを使えば実現することができましたから、ある意味目新しいサービスではないのですが、NTTドコモのPHSサービス終了宣言も影響して、モバイル・セントレックスに注目が集まっているようです。

 特にNECのN900iLは2004年4月に発売されると発表された後に、遅れに遅れてようやく11月に発売されたという経緯もありましたから、期待が蓄積されていたのもあるかもしれません。

 IT Proでは5回にわたる連載特集が組まれているのですが、個人的に特に注目しているのが第2回で書かれている「N900iLを使った内線電話システムにも,多機能電話機と同じ機能が必要だろうか?」という点。

 現在でもほとんどの企業の机の上に置いてあるのは、ボタンがたくさん並んでいる多機能電話機でしょう。
 保留中の回線を取ったり、短縮ダイヤルの設定をしたり、多機能電話機では本当に様々な操作を実施することができますが、実は個人的にはほとんどその機能を活用している人を見たことがありません。

 そもそも携帯電話であれば、電話は本人にかかってきますから、他の人に電話を転送する必要はほとんどありません。
 電話帳も内蔵のものであったり、ブラウザ経由でオンラインの電話帳を活用したりすることができますから、固定で短縮ボタンを利用する必要もありません。
 記事で「ビジネススタイルさえ変われば,今までのPBXでできた機能の70から80%はいらなくなる」と発言されているのもうなづけます。

 正直「多機能電話機」とはいうものの、いまだに電話番号をいちいちダイヤルしなければいけない時点で、携帯電話よりはるかに「低機能電話」だったわけで。
 利用者の利便性を考えると、多機能電話機が置き換えられていくのも時間の問題と言うことでしょう。

 
 さらに4回目の記事によると、外線もかけられるN900iLの登場で、内線専用の携帯型IP電話機が苦戦しているという興味深い事態になっているようで、使い勝手や機能の面で洗練されてきた携帯電話の強さを感じます。

 今後は、スカイプのような無料ソフトフォンの無線LAN対応端末も出てきますし、PHSのウィルコムのような低料金の端末を会社の中でも外でも使うと言う使い方もあるでしょうから、企業内の無線内線端末と言う視点では当然競争が激しくなることが予想されます。

 ただ、やっぱり、外出先で安定して使える携帯電話のモバイル・セントレックスの優位性というのはしばらく続きそう・・・そんな風に感じたニュースでした。

存在感を増しつづけるGoogleに思うこと

我々はもはや単なるテクノロジー企業ではない~米Googleが自社を定義を読んで。

 Googleが、自社はもはやテクノロジー企業ではないと宣言したそうです。

 なんでも「我々はテクノロジー企業として始まり、ソフトウェア、テクノロジー、インターネット、広告、メディアが全て1つにまとまった会社へと進化した」ということだそうで、記事では特にメディアが加わった点に注目しています。

 実際、最近のGoogleのサービス展開の速さは目覚しいものがあります。
 まがいなりにも同じIT業界に生きている人間としては、「はたしてGoogleやそのライバル企業に自らの守備範囲を飲み込まれずに生きていけるのか」と正直考えずにはいられません。

 そんな中、はてなダイヤリーで復活した梅田さんの「英語で読むITトレンド」で、「次の10年」とグーグルの弱点を考えるという記事が投稿されています。

 
 現在のGoogleの勢いやポジションを考えると、とてもGoogleの弱点など想像もできない気もしますが、そう言われればGoogleが登場する前にMicrosoftの支配に対して同様のことを感じていたのも、また事実。

 梅田さんの「何年かに一度、ゼロから出発した会社が新しいパラダイムを引っさげ、その時代を支配する企業を倒す」という言葉を読んで、イーマーキュリーの笠原さんが「インターネットにある機会は全て利用し尽くされたと誰もが考えたときに、そもそものルールを変えてしまうような企業が登場する。」という元Yahoo!CEOのティム・クーグルの言葉を引用して社内の説得をしたという話を思い出しました。
 やはり重要なのは、そう信じることができるかと言うことでしょうか。
 

 丁度、noglogの「Googleの現状認識(10-kファイリングより)
」においても、「Yahoo!、Microsoftなどとの競争において、MicrosoftによるOSとのバンドリング、ポータルサービスのコンテンツ・ラインアップ、宣伝広告費の負担、などが脅威となり得る」とGoogleの今後の課題が取り上げられています。
 
 検索にしても、Adwordsのような広告サービスにしても、類似のサービスがYahoo!やMSNから出てきていますから、これまでのような独走は確かに難しくなってくるでしょうし、サービスの多様化によって、最近はその独特なブランドの良さにも微妙に変化が見られます。

 また、冷静に考えればそもそも日本では依然としてYahoo!が大きな影響力をもっていますし、Googleのアプローチが必ずしも全ての顧客をカバーできると言うものでもないでしょう。

 もちろん、だからといってGoogleの勢いが急に衰えるのは当面想像もできませんし、次にどうなるのかというのはまだほとんどイメージが湧かないのですが・・・

 改めて梅田さんの言葉を引用します。

「グーグルがあまりにも凄い達成をしてしまったので、萎える人は萎えてしまう。もうできることはないんじゃないの? 会社を創業したってグーグルに会社を買ってもらうのが関の山じゃないの? というふうに。けれどそんなふうに思うことは全くない。」

 そう信じることが、やはり大事ですね。