ブログがNHKで紹介されるということ

 先日、村山らむねさんが運営するワーキングマザースタイルがなんとNHKに取り上げられました。

 ワーキングマザースタイルと言うのは、複数のワーキングマザーによって綴られているワーキングマザーのための総合情報サイト。
 ブログを利用して、グループブログ的に運営されているサイトで、通販のカリスマである村山らむねさんを中心に個性的なメンバーが揃っています。


 取り上げられる番組は、NHK総合特報首都圏「“ブログ”ブームでネットが変わる」ということで、いよいよブログも大手メディアに取り上げられるほどの扱いになってきたようです。

 と知り合いの一人として喜んでいたら、どうも放送の仕方ですれ違いがあった模様。

 
 詳細は、ワーキングマザースタイルに「特報首都圏についての意見と反省点」として掲載されています。

 このやり取りを見ていて非常に難しいなぁと思ったのは、ブログとアフィリエイトという概念の説明の難しさと、テレビというメディアの影響度の大きさ。

 NHKの方からすれば、ブログもアフィリエイトも初めてに近い言葉でしょうから、それを喜んでやっている人の気持ちを理解するのも不可能に近いでしょう。
 「ボランティアで主婦達が映画の感想を書くなんてバカみたいじゃないですか」という発言が出てくるのも、まぁ予想できなくもありません。
(実際、私も「良く仕事忙しいのに、毎日ブログ(なんて)書いてられるよね」という趣旨のことを言われることが良くありますし。)

 
 で、限られた放送時間の中で素人の視聴者に伝えるために、話をはしょったのも想像に難くありません。
 ただ、担当の方々が意識しているかどうかは別にして、テレビと言うメディアの影響力は非常に大きいわけで、今回の件だけでなく、多くの人がテレビに発言の一部を「切り取られて」苦い経験をしているんだろうなぁと感じてしまいました。(イラク人質報道なんかが良い例でしょうか)

 しかし、明らかに変わってきているのは、今回のようにある意味被害者になった側の人間にも、ブログを通じた訂正告知のチャンスがあることでしょう。
 実際、今回の件に関しては、ワーキングマザースタイルだけでなく、アフィリエイトの女王の和田さんやカレンの山内さんや四家さんなど、多くの支援表明記事やコメントがついています。

 アメリカでは選挙の際に、大手メディアが報道した間違いをブログが指摘したことが話題になっていたと記憶していますが、そういった草の根ブログのパワーが増してくることで、今回のような行き違い報道が少なくなることを期待したいですね。

 個人的にも、村山らむねさんとは、お互いにストーカー扱い(?)されている間柄なので、全面的に応援しております。

西京銀行とライブドアで「西京ライブドア銀行」設立

ライブドア、西京銀行とインターネット専業銀行「西京ライブドア銀行」設立構想で合意 – livedoor コンピュータを読んで。

 先日のヤフーとあおぞら銀行の提携のニュースの後に、社長日記で「発表では先を越されたが、まさに予想通りの展開。発表で先を越されても、スタートはこちらが早くできるよう、がんばりたい。」と決意表明していたライブドアですが、昨日発表をしたようですね。


 しかも、なんと提携先は山口県の西京銀行。
 私は山口県出身なんで知っていますが、普通の人は知っているのかどうか・・・?
 まぁ、オンライン銀行なんだからどこの銀行がやっても良いわけで、そういう意味では面白い組み合わせなのかもしれませんが。

 設立される銀行も「西京ライブドア銀行」と、一瞬「最強ライブドア銀行」を連想させる響きのよさ(?)、なんとも笑い話のようなホントの話です。

 まぁ、ライブドアからすれば、ネット銀行事業参入は2003年にイーバンク銀行に出資したときからの念願の事業。イーバンクと刑事告訴にまで至った不毛な歴史を帳消しにするべく、今回の再参入には並々ならぬ決意があるのでしょうね。

 ただ、現状ではメディアの反応は、前回の件もあるせいか、ヤフーとあおぞら銀行提携のニュースに比べると比較的冷ややかのようにも見えます。

 たしかに単純に比較すれば、ヤフーのヤフオク手数料や楽天のショッピングのようなドル箱決裁事業を持たないライブドアのネット銀行事業の不利は明白にも思えます。
 今の段階で考えると、livedoorブログの利用者が西京ライブドア銀行を使うと広告収入が優遇して振り込まれるとか、ライブドア証券との連携とかでしょうか?

 「結果がすべて。結果を出すには実行力が必要。アイディアや先見性がいくらあろうが、まったく意味を成さない。そういう意味では非常にムズムズする話である。」と社長日記では綴られていますが、はたして秘策があるのか注目したいと思います。

サイワールドの日本上陸とSo-netの盗作疑惑

【レポート】サイワールド、日本上陸 – 韓国コミュニティ事情を紐解く (1) 韓国を席巻中の「サイワールド」日本上陸 (MYCOM PC WEB)を読んで。

 先日紹介したサイワールド(Cyworld)ですが、今春3~4月には日本でもオープンを目指して準備を進めているそうです。


 MYCOMの記事では非常に細かく解説されているので、サイワールドについて知らない方は、この機会に勉強するのが良いと思いますが。
 はたして韓国で成功したモデルを日本に持ってきて、上手く機能するものなのでしょうか?

 そう思って調べていたら、VitaminX経由で、So-netがサイワールドにそっくりなミニホームページというサービスを既に12月に開始しているのを見つけました。
 なんでもあまりに似ていて盗作疑惑までかけられているそうです。

 ちょっと覗いてみましたが、確かに、ユーザビリティも見た目も、正直なところかなり似ています。
 サイワールドが日本進出しなければ訴えられずに済んだのかもしれませんが、悪いタイミングに重なったものです。

 まぁ、ブログにしても、SNSにしても類似のサービスが出てくるのは宿命のようなところがありますから、今回の問題がどれだけ深刻に捉えられるのは微妙なところがあります。
 (ちなみに、このサイワールドの訴えについての記事は、どうも朝鮮日報にしか掲載されていないようです)
 

 さらに、今のところSo-netのミニホームページサービス自体は、見たところ利用者もまだ1000~2000人前後と言ったところのようで、サイワールドが日本参入してブームを呼ぶのかどうかも微妙なところ。

 ソーシャルネットワーキング.jpの原田さんも「やはり他のSNSが有る程度、トレンドや需要を満たしてしまっているので、本国ほどの爆発は期待できないかと思われます」と書かれているように、せっかく韓国で利用者が1200万人いても言語の壁で相乗効果は発揮されないのがつらいところでしょう。
 同質の可能性を持っているサービスであるmixiが30万人突破と着実に利用者を増やして基盤を構築する中、はたしてサイワールドが日本にどのように入ってくるのか、注目したいと思います。

ヤフーとあおぞら銀行提携に見るポータルと金融の相性

ヤフー、あおぞら信託を傘下に収めてネット銀行業参入へ – CNET Japanを読んで。

 楽天やライブドアが金融業のバリエーションを広げる中、ヤフーはどうするんだろうという話になっていましたが、いよいよヤフーも金融業進出ということなのでしょうか。


 正直、金融業については素人ですし、今回の提携の裏にどういう背景があるのかは良く分かりませんがそもそもあおぞら銀行は一時ソフトバンクが出資していましたから、今回の提携先はヤフーなものの、いろんなことを想像してしまいますね。 

 R30::マーケティング社会時評では「あおぞら信託買収で1700億円の財布を手に入れる(はずの)ソフトバンク」と表現されていて、なかなか興味深いです。

 ちなみに、なんでもヤフー上ではコンテンツやオークションによって月間660億円の金額が動いているそうで、「手数料0.5%としたって年間30億円以上の売り上げがすぐに稼げる」んだそうです。
 
 それを聞いて、個人的に思い出したのは、以前Masa33さんがFPNで書いていた「アイデンティティ管理に関するクリステンセン的考察」と言う記事です。

ポータルサイトに対するISPの優位性はユーザの本人性確認能力にありました。 無料でオンラインでユーザ登録を受け付けるポータルサイトは、多くのユーザIDを獲得できますが、獲得されるユーザIDの信憑性は高くありません。 一方で、ISPのユーザIDは住所と課金手段が確認されています。 このアイデンティティの認証能力こそが、ISPのポータルサイトに対する優位性であると信じられてきました。
 (中略)
 将来的には、知の流通のためのID管理が破壊的イノベーションとなり、従来の財の流通のためのID管理を巻き取っていくのかもしれません。

 最近のポータル事業者の金融業参入はこの流れを証明しているような気がしてしまいます。

 金融業と言っても、別にいわゆる預金のための銀行ではなく、あくまで利用者のショッピングや株取引の円滑化のための決裁処理やローン事業ですから、一般的な「金融業」の定義とは違う捉え方をした方が良いのかもしれません。
 ただ、確実に昔イメージしていた「ポータル」と、現在の「ポータル」が違う次元に到達しようとしているのを感じます。

日本のブロードバンドは儲からない?

日本のソフトバンク型ブロードバンドは失敗? : IT Pro 記者の眼を読んで。

 現在の日本のブロードバンドを巡る環境を考える上で非常に参考になる記事です。

 「日本のブロードバンドはすごいね」・・・。昨年末に取材で訪れた英国で,繰り返し言われたのがこれ。褒められてうれしくなったのもつかの間,「だけど日本みたいにはなりたくないな」と必ず言われてしまう。

 英国は、いまだに256~512kbpsがブロードバンドの主力だそうで、日本国内でADSLが40Mbps台、FTTHで100Mbps台を中心に高速化を売りに競争が起こっているのとは雲泥の差があります。

 やはり、英国の通信事業者からすると「節操なく続くスピード競争で,ビット単価(1ビット通信当たりにユーザーが支払う料金)を落とすのはまっぴらごめん」というのが本音のようです。

 まぁ、そう言われて振り返って見ると、日本国内のブロードバンドサービスはYahoo!BBが口火を切った価格競争で、「誰も儲からない」水準での競争が続いていると言われます。

 Yahoo!BBがサービスを開始した当初は、多くの通信事業者が「あんな価格帯で儲かるわけが無い」と嘆きつつも、やむを得ず追随したと言うのが実情でしょう。
 欧米の通信事業者が、この轍は踏みたくないと願うのも当然な気もします。

 
 ただ、その代わり大きなメリットを享受している人もいます。
 我々利用者はもちろん最大の受益者です。
 
 今なら4千円も払えば十分すぎるほどのブロードバンド環境を自宅に整備することができます。
 利用するたびに通信料金を気にして頻繁に接続を切ったり、テレホーダイタイムに固執する必要もなくなりました。

 記事にあるように『「通信料金を安くしてアプリケーションでもうける」という成功モデルをはっきり示せた事業者はいない』というのは、確かに通信事業という視点ではそうですが、バブルを乗り越えたインターネット関連事業者はブロードバンドの普及に後押しされるように事業を拡大しています。

 つまり、実際には通信料金の低下によってアプリケーションで儲ける事業者は増えてきているわけで、通信事業者にとっての問題は、現状の通信事業の収益と、アプリケーションでの収益の規模が差がありすぎる点なのかなぁと感じます。
  
 
 そういう意味では、日本のインターネット関連事業者は、世界的に見ても非常に良い事業環境にあり、有利な立場にあるとも言えるはずですね。
 これなら世界をリードするブロードバンド産業が日本から生まれて当然・・・と思うのですが、あまりグローバルに展開できているという話を聞かないのが残念です。

 そういえば、携帯電話周りのコンテンツ事業も、結局あまり国際展開できていないような・・・
 やはり言語が問題なのか、それともそもそもインターネット関連事業ってのはドメスティックなものなのでしょうか?

ヤフーが買うならシックス・アパート?はてな?

Kazuho Oku’s blog 「Yahoo! が Six Apart を買収へ?」を読んで。

 つい先日、Six ApartがLive Journalを買収するという話があったばかりなので、つい「おおっ、まじか!?」と思ってしまいましたが、どうやら推測記事だったようです。


 まぁ、GoogleにはBloggerがあるし、Microsoftも手を出しているし、一体Yahoo!はどうするんだ?というのは多くの人の疑問でしょうから、ガセネタとしてもつい信じてしまいそうになる背景があるのも事実ですね。

 特に日本国内のブログ周辺を巡るプレイヤーの乱立具合を見れば、ヤフーの今後はますます気になります。

 ライブドアがブログだけでなくSNSも始めたり、エキサイトがビジネスブログポータルを開設したり、GMOグループではJUGEMにYaplogにと複数ブログサービスを持っていたりと、ポータルの3番手あたりを争おうとしているグループがブログ周りで盛り上がっているのに比べると、ヤフーは申し訳程度にジオログを始めた程度で、その超然とした姿勢は不気味なほどです。

 グロービスの小林さんもブログで「今年、サービスの統合も含め、日本にブログサービスの再編が起こるだろう。」と予言していますが、奥さんが「ヤフーが買うとしたら、やっぱり、はてな? 」と書かれているように、つい色んな組み合わせを想像してしまいますね。

 そういう意味で、さっそくこの風説の流布に鋭い突っ込みを入れているR30::マーケティング社会時評のコメントで、なるほどなぁと思ったのが下記の部分。

 そもそもブログユーザーというのは、最大手のライブドアでさえ20万人、はてなが10万人、その他にも数万人を擁するサービス業者が10社ぐらい並んでいて、端的に言って「どんぐりの背比べ」状態である。その中でよほどマーケティング、技術上のアドバンテージがあるのでもない限り、ヤフーがどこか1社にカネをつぎ込んで買収するなんてことは考えにくい。(中略)「横綱相撲」を取るプレーヤーが乗り出してくるほどには、ブログというのはメジャーでも何でもない世界なんだと思うよ、きっと。

 まぁ、そういうことなんでしょうねぇ。
 ヤフーの利用者数やシェアを考えれば、実際現状のブログの市場規模なんてかわいいものでしょう。
 

 ただ、ヤフーの社員の方にこの辺の話を聞くと「もう、うちも大会社だから小回り効かないんですよ・・・」というあきらめとも謙遜ともつかないコメントが返ってくることが多いというのもまた事実。
 
 はたしてこれはトップポータル事業者にとってのイノベーションのジレンマ的な現象なのか、それとも後からやっぱりヤフーが美味しいところを持っていくんでしょうか?