[Blog]Googleニュース日本語版、直リンク問題を抱えてスタート を読んで

Googleニュース日本語版、直リンク問題を抱えてスタートを読んで

 今回のGoogleニュースは、やはりメディアにとって踏絵のような出来事になったようだ。


 前回Googleニュースについて書いたときは知らなかったのだが、Googleニュースに記事を提供しないと言う選択肢を取ったのは読売と産経だったらしい。

 まぁ理由としては推測するしかないが、読売新聞は以前から直リンクに対して反対の姿勢をとってきたようで、その理由としてトップページの価値低下(特に広告価値)や記事配信会社への地位低下の懸念、著作権問題など様々なものがあげられている。

 じゃあ、実際にGoogleニュースが始まっている米国でメディアのトラフィックがどうなっているかと言うことについて、磯崎さんがブログでAlexaのトラフィックを元に解説している。
 結論としては「新聞社の方には大変残念なお知らせですが、やはり、「既存メディア」が相対的に力を失って「分散化」が進んでいるという傾向は、世界的には当たってそうです。」ということのようだ。
 (この後、そもそもこれは当たり前の傾向かもという投稿もされています)

 Googleニュースに記事を投稿すればGoogle経由でトラフィックが増えるかというと、大手メディアにとってはどうもそうでもなさそうだ。
(読売と産経が提供を見送った背景に、このデータが影響しているかどうかは分からないが)

 ただ、残念ながらインターネットの世界は目をつぶっていれば脅威が無視して通り過ぎてくれると言う世界ではない。Google台風がメディアを直撃する可能性は非常に高いだろう。

 「Webビジネスコンサルタントのネタ帳」に特徴的なコメントがある。

・産経や読売のように既得権を守ることにしか考えがおよばないままネットの世界で直リンク禁止を叫ぶという無理をしつつ悶々とすごす者
・朝日新聞のように自ら記事のRSS配信をするくらいに直リンクWelcomeな態度で貪欲に進化を続けようとする者。(RSS配信というのは要するに記事の見出しとURLのリストのバラマキなわけだから)

もちろん最終的に生き残るのは、前進することをやめない方だろう。そうであってほしい。

 本当にそうであってほしいです。
 (このあたりの裏事情は、きまぐれ偏拾帖のGoogleNews雑感に細かく書いてあります、面白いです)

 ちなみに以前CNETの御手洗さんもブログでトラックバック開始に対する議論の過程をつづっていました。
 やはりメディアにとっては現在のネット上の変化に対する対応策は難しい選択なのでしょうが、選択が無ければ前進も無いように思います。

[通信業界]総務省の情報通信政策の最近の動向 を読んで

「総務省の情報通信政策の最近の動向」総務省・今川拓郎氏 – CNET Japanを読んで。

 はじめてCNETの「e-Japan戦略の本音を探る」という特集を見たときはちょっと驚いた。


 オンラインメディアがここまで真面目に霞ヶ関の人たちを取り上げるのはあまり見たことが無かったからだ。

 個人的には政府関連のサイトや情報は読みづらいものが多いため、実はほとんど読んでいない。
 そういう意味ではCNETのこの特集は意外に面白く勉強になるし、国の方針と言うのが産業に与える影響の大きさを感じてしまう。

 今回のインタビューであらためて浮き彫りになったのは、都市部と地方のブロードバンド普及の格差だ。
 現在東京や大阪などの都市部では、ブロードバンド回線の選択肢は無数にある。ADSLはもちろんのことFTTHにしても複数の事業者から選択できるケースも増えてきている。
 ただ、それに対して地方都市というのは意外にブロードバンドの普及が進んでいないようだ。CNETの記事では具体的な数字が掲載されている。
 DSLでも市部で75%、町村分で49%、FTTHでは市部で75%、町村部で14.9%というのが実態のようだ。

 もちろんサービスと言う視点で見れば、東京の方がデパートや小売店のバリエーションが多いのと同様で、民間企業からすれば投資が都市部に集中するのはごく当たり前の現象と言える。

 ただ、ブロードバンドサービスは、利用できる人に場所を問わずにインターネットに参加できる権利を与えるという性質があるから難しいところだ。田舎だからルイ・ヴィトンの店が無くて当たり前という話とは質が違う。

 こういう民間の競争原理だけでは問題が発生するところにこそ、国がリーダーシップを取って仕組みを作る必要があるはずだ。
 総務省としてはまさに腕の見せ所と言うことだろう。

 もちろん記事の中で触れられているような「ユニバーサル基金」構想が日本においては各通信事業者の思惑もありなかなか上手く行っていないのもまた事実。
 昨日触れた孫社長の会見のように総務省の手法に対して斜めに見ている人が多いのもまた事実だ。

 米国や韓国に負けないように、是非頑張って欲しいところだが・・・

[通信業界]ソフトバンク孫社長、「800MHz帯を利用して携帯電話事業に参入する」 を読んで

ソフトバンク孫社長、「800MHz帯を利用して携帯電話事業に参入する」 – CNET Japanを読んで。

 先日ある勉強会で、独占通信事業者の現状についての話になった。


 NTTグループが日本で未だに強固な基盤を維持しているため、日本にいるとあまり気にならないことだが、実は世界的には過去の独占通信事業者というのは結構負けているケースの方が多い。

 NTTが国際展開をようやく許された90年代に、世界をまたにかけて活躍していたのは米国のAT&Tと英国のBTだったが、AT&Tの存在感は急速に薄らいでいるし、英国の通信キャリアの代名詞はいまやBTではなくボーダフォンだ。
 
 そういう意味では、NTTグループは良く現在の地位を維持しているとも言うことができるのではないだろうか。

 
 だが、今回のような記事を目にするとこの健闘の影に、総務省との二人三脚があることが見て取れる。
 結局のところ競争のルールを自分達で作ったところが強いと言うのは、どこの世界でも同じだ。
 
 現在のところ規制により寡占状態が維持されているのは、実は一番競争が激しいように見える移動通信事業の世界だ。
 固定通信においては、NTTのメタルケーブル網を開放することによってYahoo!BBやイーアクセスのようなアクセスプロバイダが登場し、ブロードバンドの低価格化と普及が一気に進んだ。

 ところが移動通信においては電波が有限であるため、この開放がなかなか上手く進んでいない。
 総務省は固定通信の成功に味を占めたので、現在のTD-CDMA用の電波帯解放につながったという話を聞いたことがあるが、今回の800MHz帯のニュースを見る限り本気で移動通信の電波を開放する気はまだ無さそうだ。

 孫社長のここ最近の矢継ぎ早な発表には、NTTグループと総務省に時間を与えると、また都合の良いようにゲームのルールを決められてしまう、という焦りのようなものすら感じてしまう。
(ここ最近は総務省をヨイショすることが多かったようにも思っていたのだが。)

 総務省とNTTグループに明確に宣戦布告をし、国民の味方であるとアピールすることでゲームのルールを自分に優位にする、というのが当面の孫社長の戦略のようだが、果たして上手く行くのだろうか?

 ちなみに、なんだかライブドアの近鉄買収宣言と同じようなものを感じてしまうのは私の気のせいかな・・・?

[Blog]Googleニュースの日本版と韓国版を提供開始 を読んで

グーグル、Googleニュースの日本版と韓国版を提供開始 – CNETを読んで。

 これは、今後のメディアとネットの関係を占う上で非常に重要なニュースだと思っている。


 多くのブログでもGoogleニュースについて取り上げられているが、個人的には
ネットは新聞を殺すのかblogの記事で良く理解することができた。

 メディアの価値は一般的には記事だと思われがちだが、新聞社の人などに聞くとその記事をいかに紙面という限られたスペースに配置するかがコアなんだと言う。
 Googleニュースの凄いのはそれを完全自動でやってしまうところだろう。

 手動と自動の違いという意味では、検索におけるYahoo!とGoogleの戦いと同じようなイメージになるのかもしれない。
 日本の新聞社からすると、来るべきときが来たというか、来て欲しくないものが来てしまったというところだろうか。

 自分の紙面作成の部分を飛び越され記事だけを持っていかれるのだから面白くはないだろう。ただ、湯川さんの下記の文章が全てをあらわしている。

「参加しない報道機関が多くなると、グーグルニュースの利用価値が下がる。報道機関が誘い合ってグーグルを拒否すると、確かに現状の秩序を維持できる。」

 ただ、グーグルに残った報道機関のアクセス数が増えるであろうことも容易に想像ができる。まさにゲーム理論の囚人のジレンマの世界だ。
 

 ニュース記事のRSS配信やブログによる個人の情報発信によって、メディアの未来は大きく変わることは間違いない。
 Googleニュースの登場によって、その変化は加速するのだろうか?

 はたして既存メディアはどのように対応していくのか非常に楽しみだ。

 ちなみに、日本発のニュースアグリゲーションサービスという意味で、個人的にはCEEK.JPに注目している。
 Ceekz Logzでは今後の方針変更は無いと発言しているが、Googleの力技に対してどのような対抗をしていくのか非常に興味がある。

[通信業界]ソフトバンク、独自通信網を使った固定電話事業を開始 を読んで

「NTTの基本料は不要」–ソフトバンクグループ、独自通信網を使った固定電話事業を開始を読んで

 やはりこのニュースを取り上げないわけにはいかないだろう。


 孫社長は、「日本テレコム買収はこのためにあった」と発言している。
 またも通信業界の常識破りという点で非常に驚きだ。

 良くNTTは倒産しないという話をするときに私が例に出していたのが基本料金の存在だ。CNETの記事にもあるように、「固定電話市場のうち通話料金市場規模が約1兆4000億円であるのに対し、基本料金市場は約1兆8000億円」NTTは経営が苦しくなれば基本料金を値上げすれば本質的には生き延びることができる。
 
 ただ、それはあくまで競争がない世界の場合だ。

 もちろん光ファイバやCATVにおいては、NTTの基本料金不要の電話サービスというのは既に存在する。ただ、銅線の電話網に関しては、これまでこの基本料金の世界への参入は、投資対効果に見合わないとされてきた。
 米国からの圧力により、NTTの電話網への相互接続料はかなり低い水準まで押し下げられたため、独自網を作るよりもNTTに相互接続料を支払った方が安く済むというのが一般的な見方だったからだ。

 ソフトバンクはこの常識を、法人向けに特化した形で乗り越える予定のようだ。
 通信料金の値下げ競争が激化する中で、基本料金はおそらく現在でも聖域とされているはずだから、案外このインパクトはあるかもしれない。

 独自通信網といっても、銅線を各企業まで引きなおすわけでなく、NTTの局者に設備を設置するだけだから、それほど時間もかからないだろう。
 設備投資額が数百億円規模で、年間730億円のNTTへの相互接続料を支払わなくてよくなる計算だそうだから、狸算としては非常に効率も良い。

 
 他の事業者がいっせいに法人向けIP電話サービスに注力する中、「個人向けサービスなら、IPバックボーンのほうが全体的に見てコストダウンになる。しかし寸断も許されない法人向けには、より安定的なサービスが必要だ」と発言できてしまうのは、個人向けIP電話サービスシェアトップであるソフトバンクならではの実感なのだろうか。

 ブランドの問題もあり、実際にこのサービスを企業が受け入れるかどうかは微妙ですが・・・
 さて、NTTはこれに対してどう反応するのか、それとも無視を決め込むのでしょうか?