メディチ・インパクト (フランス・ヨハンソン)

4270000759 クリステンセンのイノベーションのジレンマに出会ってから、「破壊的なイノベーションが重要なのはわかったんだけど、はたしてそういったイノベーションを引起すためには何が重要なんだろうか?」というのが個人的にずっとテーマだったりします。
 
 このメディチ・インパクトは、そういうイノベーションへのヒントという意味では、去年読んだ本の中でも1番納得感のある一冊でした。
 大阪駅で新幹線の待ち時間にやることが無かったので入った本屋で、帯のクリステンセンの名前につられて手に取っただけなのですが、そのタイトルや表紙とは全く異なった内容でした。
 特に印象に残っているのは、「交差点」の重要さと、「イノベーターは成功したから多くを生み出すのではなく、多くを生み出すから成功したのだ」という一文。
 考えに考え抜いた結果ネガティブ要素に気をとられてあまり実行に移さないよりは、とにかく実行してみる方が実は確率が高いのではないかというのを、改めて考えさせられる一冊です。
 (とはいえ、何も考えずに試してみれば良いという話ではありませんが)


【読書メモ】
■交差点が増加していることの背景
・第一の力 人の移動
・第二の力 科学における相互乗り入れ 
       「専門分野別の科学はもう死んだ。そんなものはもう存在しませんよ」
       米国科学振興協会(AAAS) アラン・レシュナー
・第三の力 コンピュータ技術の飛躍的向上
■思い込みの逆転方法 「創造性を解読する」マイケル・マハルコ著より
1.今取り組んでいる問題に関連する状況や商品、コンセプトを思い浮かべ、そこから連想される事柄を文章にする。
2.連想した事柄を紙に書き、次にそれを逆転する
3.逆転した方の内容をどうやったら実現できるか考える。
■交差点的アイデアが生まれるかという教訓
・教訓その1 異なる概念を組み合わせる
・教訓その2 それは偶発的である
■偶発的な組み合わせが起きるチャンスを増やす
・職の多様化
・多様な構成のグループ
 「この業界で長年やってきたんだから、使える人間かどうかは見ればすぐに分かる」
 人は他人の中に自分との共通点を探そうとする。その結果、面接する側は自分と似た候補者を採用するケースが多いのだ。
・交差点ハンティング
 
■イノベーターは成功したから多くを生み出すのではなく、多くを生み出すから成功したのだ。 「天才の起源」ディーン・サイモントン
・創造的プロセスは偶発的である
・画期的なイノベーターは膨大な量のアイデアを生み出しもする。
■ブレーンストーミングのルール
・できるだけ多くのアイデアを出す
・できるだけ幅広いアイデアを出す
・互いのアイデアをもとにして発展させる
・出されたアイデアに判断を下さない
■実際に失敗にどう報いるべきか
・アイデアを実行しないことこそ最大の失敗であり、罰の対象になるということを周知徹底する
・全員が過去の失敗から学ぶようにする。同じ失敗には何度も報酬を与えない。
・失敗の数が少ないときには疑う必要あり。その人間が十分なリスクを負っていないか。あるいは組織の他のメンバーが自分の失敗から学ぶのを嫌って、失敗を隠している可能性がある。
・過去に「知的な」失敗を犯した人を採用し、組織の他のメンバーにそれが採用の理由のひとつであることを知らせる。
■リスクにまつわる「行動のワナ」を回避する
その1 「事がうまく運んでいるからじっとしていよう」のワナ
その2 「長い間ここでやってきたから、動かないほうが無難」というワナ
その3 「交差点でのリスクを方向的な視点から見る」というワナ
【書籍目次】
第I部 交差点
 第1章 イノベーションの生まれる場所
 第2章 交差点が生まれるとき
第II部 メディチ・エフェクトを生み出す
 第3章 垣根を取り払う
 第4章 連想のバリアを壊す
 第5章 偶発的な概念の組み合わせ
 第6章 偶発的な組み合わせを見つける
 第7章 アイデアの爆発に火をつける
 第8章 爆発をわがものにする
第III部 交差的アイデアを形にする
 第9章 失敗を乗り越えて実行せよ
 第10章 決してひるまず、成功へと前進する
 第11章 既存のネットワークから飛び出す
 第12章 ネットワークからの脱却
 第13章 リスクを引き受け、不安に打ち克つ
 第14章 公平な目でリスクを測る
 第15章 交差点に踏み込め

4270000759 メディチ・インパクト
フランス・ヨハンソン 幾島 幸子
ランダムハウス講談社 2005-11-26

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