映画「ダヴィンチコード」に学ぶ批判を味方にする技術

ダ・ヴィンチ・コード(上)Sankei Web ダ・ヴィンチ・コード 騒動も商機を読んで。
 映画「ダヴィンチコード」が好調なスタートを切っているようです。
 6000万部売れた本が原作だから、話題になって当然といえば当然なんですが、やはりそれ以上に大きかったのは事前の騒動でしょう。
 カトリック教徒によるボイコット運動をはじめ、上映を禁止する国や観賞に年齢制限をつける国が出てきたりと、これほど公開前に一般紙で記事になる映画というのはスターウォーズぐらいじゃないかという気もします。
 批判されればされるほど、それがきっかけで話題になり無料で世界に宣伝してもらえたことになります。
 もちろん批判された分、その批判が理解できる人には映画を見ない理由になるんでしょうが。
 それ以外の方には認知度をあげるための話題として作用したというところでしょうか。
 ちなみに、日経産業新聞によると、「ソニーは制作の早い段階で米国の危機管理会社やキリスト教市場に強いマーケティング会社と契約し注意深く作品を宣伝」してきたそうです。
 実際、宗教問題というのはちょっと取り扱い方を間違えれば非常に大きな問題になるナイーブな問題ですから、当然といえば当然。
 その努力の結果、興行収入も好調で、今となっては上手いことやったという感じですが、担当者の人たちの苦労は並大抵ではなかったことと容易に想像できます。
 まぁ、そういう意味では、興行収入がスターウォーズ エピソード3に次ぐ史上2位の売り上げを上げたというのも、担当者の人たちの長い期間の努力の結果で、当然といってもいいのかもしれません。
 あと、個人的に注目したのが、下記の部分
「専用ホームページを開設し、宗教学者の意見を載せたりキリスト教に関する自由な討論の場を提供したりして異見や批判を積極的に吸収した。」
 
 どのサイトのことなのか分からなかったので、詳細は確認できていないのですが、一般的にこういう炎上の元となるようなネタはこれまでであれば、燃えないようにふたをしていただろうところを、あえて自社でホームページを開設し、積極的に批判を吸収したというのは注目です。
 ソニーというと、ウォークマンブログの炎上が記憶に新しいところではあるのですが、少なくとも今回のダヴィンチコードにおいては、炎上の力を上手く活用したと言っても良いのではないでしょうか。
 あえて炎上をいとわずに問題提起をし、批判や反論を吸収して、ギリギリのところで話題づくりをするという手法は、これからのネット社会でも一つの技になりそうな気もします。
 ちなみに、私個人はダヴィンチコードは昨年の早い時期に読んで、それに影響されてフランス・イギリス旅行に行ってしまったぐらいのミーハーなんですが。
 本を読んだ人にもこの映画はお勧めできると思います。
 何と言っても、映画を見て改めて感じるのは映像の力。
 本を読んでいるときには絵の構図とかなかなか想像できないものが、映画だとパッと一瞬で理解できますし。
(自分が本を読んだときに勝手に勘違いしていたシーンがいくつもありました)
 ただ、映画だけだとさすがに2時間半に、あの分厚い2冊の本は納まりきっていない感じもしたので、本を読んでない方は速い展開についていくのが辛いかもしれません。
 ということで、本を読んでから映画を見るのがお勧めです。

ダ・ヴィンチ・コード(上) ダ・ヴィンチ・コード(上)
ダン・ブラウン 越前 敏弥


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