ひとつ上のアイディア (眞木 準)

ひとつ上のアイディア。 ひとつ上のアイディアは、20人のトップクリエイターのアイディア作りのポイントをまとめた本です。CMクリエイターの方がほとんどなので、あまり自分には関係ないと思っていたのですが、急に気になったので買ってみました。
 最近、テレビCM崩壊なんて本も話題になっていますが、正直なところ個人的にはあまりテレビ広告には良いイメージを持っていませんでした。
 なんとなくテレビ広告を作るための広告作りになっている印象があり、最終的な成果との連動性が見えづらい印象があったためです。
 ただ、この書籍の中に登場するようなトップクリエイターの方々のアイディアというのは、いわゆる奇想天外なCMで話題をさらうという目立つ広告を作るためのアイディアではなく、きちんと最終的な販売等の成果まで踏まえたものであるのが印象的でした。
 素人がこんなことを言うのは正直失礼な話ですが、さすがトップレベルの方は心構えも違うようです。


 個人的には「アイデアにはオリジナリティなど存在しない。全てのアイディアは引用からはじまる」という文章が非常に印象に残りました。
 もちろん、話題の中心はテレビCMのため、あまりゼロから新製品を企画するようなレベルでの「アイディア」の話は語られていないのですが、新しいものを生み出すための心構えや、視点のずらし方など、示唆に富んでいる本だと思います。
 アイデア出しに煮詰まっている方にお勧めの一冊です。
【読書メモ】
■アイデアリトマス試験紙として使える5つのフィルター
 「日常」「恋愛」「読書」「プチ悩み」「全人生」
■アイデアや企画は、肉体化してはじめて力を持つ
 
■クリエイターの視点
 生活のなかで受けたさまざまなショックについて、自分の感情の回路を整理しながら考えてみる。
■アイデアというものは、他の人と違わなくてはいけない
 マーケット調査をして流行っているものをやろうと考えた時点で、それは他人と違うものにはならないからアイデアではない。
■「あれはオレのアイデアなんだよ」という自慢話は無意味
 アイデアは自分がほめられるために出すのではなくて、人を喜ばせ、究極にはビジネスをうまくいかせるために出すもの。
■”幸せな驚き”が人を動かす
■何かの資料を参考にすることは、自分自身の発想が惑わされてしまう可能性がある
■自分を世界一自由で、ニュートラルな存在にし、この世のどんなささいな刺激にも反応するというくらい、感覚を鋭敏にしておく
■本当のシンプルというのは、引き算ではなく足し算
 足すべきものをすべて足して、ひとつの答えを出す。
■思いついたアイデアを口にするときの前置き
 「全然関係ないんだけど」「逆にいうと」
■つくる側の視点でアイデアを考えることの危険性
 使用する側は、まったく違った視点で見ていると思った方が良い
■アイデアの種を拾う4つのポイント
 「新しい発見」「日常を見つめる」「時代を見つめる」「アイデアは無限である」
■サイコロの6つの面を埋める
 順々にアイデアを転がしていく
■成功したゴールイメージの枠を作り、そこからさかのぼって考えてみる
■アイデアにはオリジナリティなど存在しない
 すべてのアイデアは引用からはじまる
■本質にそぐわないものを、無理矢理こじつけてもいいものにはならない。
■客観的に自分のアイデアのよしあしを判断するために、わざとけなしてみる。
【目次】
アイディアの「視点」(正面の視点を捨てられるか。(大島征夫)
やるべきことをやれば必ず見つかる。(佐藤可士和) ほか)
アイディアの「論理」(世の中に物語を描けるか。(安藤輝彦)
喜びで好循環を作る。(檍満子) ほか)
アイディアの「環境」(どこまで思いつきを口にできるか。(佐々木宏)
「見事に解けた」がいいとはかぎらない。(團紀彦) ほか)
アイディアの「作法」(意表をついた正論。(岡康道)
オリジナリティなど必要ない。(小沢正光) ほか)
アイディアの「経験」(自分の反応を見つめてみる。(児島令子)
一度つながれば出やすくなる。(杉山恒太郎) ほか)

ひとつ上のアイディア。 ひとつ上のアイディア。
眞木 準


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