「がんばれ!銚子電鉄」は、2006年に経営危機に直面した銚子電鉄のストーリーを紹介した本です。
献本をいただいていましたので、遅ればせながらメモを書いておきます。
タイトルからだと直接は想像できないのですが、この「がんばれ!銚子電鉄」は実は、インターネットを通じた顧客とのリレーション作りの生きた事例のような本といえるでしょう。
もちろん、単純にプロジェクトX的な銚子電鉄のストーリーとしても十分面白いのですが、やはり個人的に勉強になったのは、経営危機に直面した地方電鉄が、ホームページを通じた電鉄側の呼びかけをきっかけに、利用者やファン、支援者のエネルギーを目の当たりにし、それによって経営自体のアプローチを変えていき自信を回復していくプロセスです。
特に印象に残ったのが下記にもメモしましたが、テレビに取り上げられた後の反応の継続の違い。
1997年頃に同様の経営危機でテレビで取り上げたときは注目が一過性だったのに対し、2006年の時にはインターネットの効果によって話題が長続きしたという話は、企業のマーケティングにおけるテレビとネットの組み合わせを考える上でも非常に参考になる話だと思います。
【読書メモ】
■銚子電鉄のぬれせんべいがテレビで紹介されて話題になったのは、2006年11月のときがはじめてではありません。1997年頃にも、テレビのニュース番組でぬれせんべいが取り上げられたのです。(中略)
しかし、そのときのブームは、まさに一過性のものでした。放送から数日たつと、問い合わせの電話はみるみる減りました。テレビの効果は、ほんの数日しかもたなかったのです。
2006年11月のときも、ブームがすぐに収束してしまうのではないかという予感が私のなかにはありました。ところが、その予感はいいほうに外れ、前回とはまったく違う結果となったのです。
いったい何が違ったのでしょうか。
それは、インターネットの存在です。
■テレビのニュースは大勢の人が目にするものですが、基本的にその日だけのものです。時間が過ぎれば、すぐに忘れ去られてしまいます。国民の大多数にかかわるようなことでもない限り、くり返し取り上げられることはありません。
しかし、インターネットでは、興味を持った人が、さらに情報を調べることができます。ネットで発信した情報は、基本的に残っていくからです。テレビのニュースを見て、多くの人はすぐに忘れてしまっても、興味をもった一部の人はインターネットで銚子電鉄について調べてくれるのです。
■「まちは、我々よりも長い時間生きてきたし、これからも、長い時間続くのだから、結果を意識しても無駄。だから今できることを一生懸命するだけ」
【目次】
第1章 「ぬれせんべいを買ってください!」
――ネットの向こう側にあった良心
第2章 銚子のまちと共に歩んで
――銚子電鉄84年の歴史
第3章 銚子電鉄と私
――鉄道マンとして25年つとめて
第4章 「本日も無事運行を終えることができました」
――みんなの気持ちをつなぐインターネット
第5章 まちづくりとローカル鉄道
――銚子電鉄が生き残るためには
第6章 これからの地方鉄道
――すべては、はじまったばかり
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向後 功作
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