記事のタイトルのつけ方一つで、印象が大きく変わるということ

 企業がブロガーにお金を渡す行為、55.5%が「賛成」を読んで。
 ビルコムという会社が実施したリサーチ結果が、ちょっとした話題になっているようです。
 特に議論になっているのは企業がブロガーにお金を渡す行為について、賛成か反対かという質問。
 ビルコムのリサーチは下記のとおりで「賛成」が55.5%で、「反対」が44.5%という結果に。
billcom3.png
 個人的にも、最近ステルスマーケティングとか、プレスブログの話題に注目していたところなので、この結果自体も興味深いのですが。
 まぁ、全体のトーンとしては、お金をもらうこと自体は賛否両論あるものの、お金をもらっている記事は信用しない人が大半と言う、ある意味当然のリサーチ結果に見えます。


 で、今回もっとも興味深かったのが、リサーチ結果のメディアでの取り上げ方の違い。
 冒頭のインプレスの記事をはじめ、各IT系ニュースサイトの記事のタイトルとはてなブックマーク数がこちら。
企業がブロガーにお金を渡す行為、55.5%が「賛成」
あなたは信用しますか? 企業から報酬をもらって書いたブログ記事を
「企業が宣伝のためにブロガーにお金を渡す」はNG–ビルコム調べ 
企業がブロガーに宣伝のための報酬を支払う行為を反対しているのは44.5%–ビルコム調査 
 同じ記事で、賛成からNGまで、これだけタイトルが違うんです。
 さらに、お金を渡す行為に肯定的と報じるInternet Watchの記事にブックマークが多く、NGと書いたCNETやインプレスR&Dの記事に反応が少ないようにも見えます。(まぁ、これは記事の掲載タイミングもあるので微妙ですが)
 同じデータなのにここまで件名が逆になるのはなぜなのかと思って、ちょっとビルコムのリリースをあたってみました。
 で、もともとのビルコムのプレスリリースのタイトルがこちら。
「企業がブロガーに、積極的に情報開示することについて「賛成」72.0%
宣伝のためお金を渡す行為については「反対」44.5%」
 
 どうやら、この件名だけ見ると、あえて反対44.5%を強調していますから、企業のブロガーへの情報開示はOKだけど、お金を渡すのはNGだと訴えたかったリサーチのように思えてきます。
 あえて、ヘッダーの部分だけ切り出してみました。
【ビルコムのプレスリリース】
billcom1.png
【Internet Watchの見出し】
billcom2.png
 これだけ見ると、まるでまったく別のリサーチ結果のようです。
 改めて考えてみると、ビルコム自体はPR会社のようで、ビルコレというクチコミ系SNSを運営したりしている会社なので、本来的には自然発生的なクチコミを支援している会社のはずで。 
 プレスブログ的な人工クチコミ生成サービスに、あまり良い思いは持っていない企業のように想像されます。
 そういう意味では、今回のリサーチは、そのお金を渡す行為はNGというのを強調したくて実施したのではないかと思えてきます。
 それに対し、Internet Watchの記者の方は、データ上55%が多数であることを重視し、賛成を強調する見出しに変更したのでしょう。
 Internet Watchの記事を読んだ人の多くは、リサーチの結果が肯定的だったという印象を受けたのではと想像されますから、もしビルコムさんが反対を強調したかったのだとしたら皮肉な結果。
 もちろん、データは同じなわけですから、改めて記事のタイトルが与える影響の大きさを感じてしまいます。
 ちなみに、個人的にさらに気になるのが、このリサーチの調査手法。
 プレスリリースには、ネットリサーチと書いてありますが、もし一般的なネットリサーチの手法だとしたら、回答者には何らかの謝礼を支払う形の手法をとっているはず。
 その場合、少なくともネットリサーチで小銭稼ぎをするのに興味がある人たちが母数になっているわけで、普段から企業からの謝礼をもらうのに慣れている人たちと言えてしまいます。
 もし、そうならリサーチ結果で「企業がブロガーにお金を渡す行為」に対して比較的肯定的になってしまう可能性も高いわけで、このリサーチ自体の意義が問われてしまうようにも思えてしまいます。
 このままほっておけば、このリサーチ結果自体が一人歩きしてしまいそうな気もするので、ビルコムさんは社長ブログも書かれているようですし、是非そのあたりのリサーチ手法も合わせて開示して欲しいところです。

“記事のタイトルのつけ方一つで、印象が大きく変わるということ” への1件のフィードバック

  1. こんにちは。
    ビルコム太田です。
    当社の社員から教えてもらい
    ブログ拝見しました。
    全くその通りですね。
    次のエントリーで、この件についてもう少し詳しく調査方法について説明したいと思います。
    突然のコメント、失礼いたしました。
    PS:メールアドレス入力欄の部分、問合せアドレスで失礼いたします。

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