ユーザー中心ウェブサイト戦略は、ユーザビリティテストを活用したウェブサイト構築で有名なビービットの武井さんと遠藤さんが書いた書籍です。
以前PRボードのイベントで頂きました。
実は私は今の会社で働き始めた頃に遠藤さんとお会いする機会があり、話を聞いて感動してユーザビリティテストをお願いしようとしたのですが、予算が取れずに断念したことがあります。
机上の仮説でウェブサイトを構築するのではなく、実際の利用者の行動を確認しながらサイトを構築していくというのは、実は当然のように思えて実際にはなかなか難しいのが現状だと思いますが、まさに百聞は一見に如かず。
目の前でユーザーの迷いを見せられるほどわかりやすいことはありません。
ちなみに個人的にユーザビリティテストのデモを見たときに印象に残っているのは、人がウェブサイトでほとんど文章を読んでいないこと。
大体記事のタイトルとか太字とかを流し読みしてるのを目の前で見せられると、ああ、自分の記事とかブログもこうなってるんだろうなーと、分かってはいたつもりの現実に改めてショックを受けます。
ウェブサイトだけでなく、ウェブサービスや、ソフトウェア開発にも役に立つ一冊だと思います。
【読書メモ】
■シナリオ
ウェブサイトという「点」だけを見るのではなく、その前後左右の状況である「線=文脈」を把握することで、実際にサイトがどう使われるのかがわかる
■情報の主導権がインターネットの登場で企業から個人に
・企業主導
情報の独占が権力の象徴
情報格差をビジネスの源泉にできた
→情報の独占、管理が重要
・個人主導
情報の透明性を求める
比較が容易なため、企業側の押し付けを嫌う
→ユーザに合わせることで最終的に利益獲得
■ユーザ利用時のインターネットの特性
・前のめり型メディア (目的を達成できない場合には強い悪印象を持つ)
・斜め読みメディア (印刷した文章に比べて読む速度が25%遅くなる)
・新鮮・網羅メディア (一覧化された網羅的な情報が期待されている)
・遠慮不要メディア (気兼ねなく立ち去ることができる)
・比較メディア (「比較する」という行動を促進している)
■ユーザー中心設計の作業ステップ
1 サイト戦略立案
2 サイト戦略懸賞
3 要件定義・基本導線設計
4 基本導線検証
5 詳細画面設計
6 詳細画面検証
7 デザイン・開発
8 運用・効果検証
■サイトの目的の設定
1 サイトの目的
2 ターゲットユーザ
3 ユーザーと心理 (ニーズ、インセンティブ、心的状況)
4 ユーザー環境 (認知経路、物理的環境、競合・仲間把握)
5 行動シナリオ
■目的設定のありがちな間違い
「ページビューを増やすこと」は目標になることはあるが目的にはならない
ページビューが増えるということはどういう状態であるのかを今一度検討してみる
【目次】
第1部 ウェブビジネスを成功に導く方法論(ユーザ中心思想の背景とネットユーザ行動特性
ユーザ中心設計手法とは
ユーザ中心設計を進めるツール)
第2部 ユーザ中心設計の進め方(サイト戦略の立案
サイト戦略の検証
サイト基本導線設計と検証
サイト詳細画面設計と検証
サイトの効果検証)
ユーザ中心ウェブサイト戦略 仮説検証アプローチによるユーザビリティサイエンスの実践 株式会社ビービット 武井 由紀子 遠藤 直紀 by G-Tools |