ソーシャル・ウェブ入門は、Social Web Ramblingというブログを運営されている滑川さんの書籍です。
光栄にも献本をいただくことができましたので、読書メモを書いておきます。
滑川さんはIT関係の翻訳を本業にされているようなのですが、このソーシャル・ウェブ入門は、そんなプロならではの細かいカバーと幅広い知識が全面に打ち出された本になっています。
何しろ、Googleからブログのようなソーシャルメディアまで、一つ一つのサービスの事例において、そのサービスが生まれた本当に根源的な背景から、関連本、ちょっとした逸話まで本当に幅広い情報が満載。
Long Tail WorldのSATOMIさんによると、「大人の薀蓄ノウハウ本が必要なのだ」というのが今回のこの本の背景にあるそうですが、なるほど納得です。
個人的にも仕事の関係から、結構このあたりの話には詳しいつもりでいましたが、まったく知らない逸話や、びっくりするようなエピソードが満載で、驚きながら読むことができました。
リアルタイムで出来事に遭遇しているからといって、大体知ったつもりになっていた私のような人は、是非この本を一度ちゃんと読んだ方がいいと思います。
ちなみに、一番印象に残ったのは、「Small Pieces Loosely Joined」というデビッド・ワインバーガーの言葉の背景にある「コミュニケーション手段の特性はツリー的ではなく、タグ的」という指摘。
フューチャリスト宣言でも、組織への所属の観念が「所属」ではなく「連携」というメタファーで考えるべきと茂木さんが指摘されてましたが、なるほどそういうことなのかもしれません。
自分にもようやくタグの概念が腹に落ちてきたような気がします。
【読書メモ】
■Web革命の4つの条件
・高度な検索サービス
・ブロードバンドによる低価格大容量通信
・パソコンの処理能力の増大
・検索連動広告による無料サービス
■「人間は本性からしてソーシャル・アニマルだ」(アリストテレス)
人間には金儲けや異性の獲得といった功利性からコミュニケーションするのではなく、コミュニケーションそのものを目的としてコミュニケーションを図る強い傾向がある
■Amazonが成功したポイント
・オンラインストアならではの膨大な品揃え
・オンライン商品データベースの利用
・顧客情報のパーソナル化
・アフィリエイトシステムの組織化
・カスタマーレビューの提供
■「Small Pieces Loosely Joined」(デビッド・ワインバーガー)
コミュニケーション手段の特性はツリー的ではなく、タグ的
■集団の英知が機能する条件
・多様性
・圧力の排除
・Webの情報配信・検索能力
■Googleが実現した「世界と同寸の遍在する知の精密地図」が引き起こしたこと
・検索可能性:情報がどこかに存在さえすれば誰でも簡単な手続きで必ず取り出せる
・オーガニック広告市場:広告料金のおかげで無数のスタートアップ企業が誕生
■CBSがClip and Slingと提携し、自社の番組をネットにアップロードして共有できるように
「音楽業界はユーザーの声に耳を傾けないという大きな過ちを犯した。タワーレコードの跡地を通るたびにイヤな気持ちになる」
「Web上で番組のビデオを見たユーザーの53%が実際にテレビ番組を視聴しに来る」
■メディアとは:medium=媒体、間にあるもの
コンテンツとオーディエンスの「仲立ちをする場」
■「メディアはメッセージである」(マクルーハン)
メディアはそれが伝える情報内容とは別に、その存在形式そのものが社会に大きな影響を与える
【目次】
ソーシャル・ウェブ入門―Google、mixi、ブログ…新しいWeb世界の歩き方 滑川 海彦 by G-Tools |
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