「次世代広告コミュニケーション」は、CNETでコラムを書かれている横山 隆治さんや、インターネット広告のひみつの太駄 健司さんなどADKのメンバーが中心に執筆されている広告の未来を考察した本です。
献本を頂いたにもかかわらず読書メモを公開し忘れていたので、遅ればせながら公開しておきます。
個人的にもAMNで広告業界に関わるようになってようやく1年が経過したわけですが、これまでのマスマーケティング的な広告手法とインターネットを使った広告手法の間に大きなギャップを感じています。
そのギャップを、大手広告代理店であるADKの視点から総合的に解説している本という意味で、この本は非常に勉強になります。
特に、「広告コミュニケーション」と広告単体でなくコミュニケーションという双方向のキーワードで表現しているのは、興味深く、「プッシュ型からプル型のコミュニケーション開発へ」とこれまでのテレビCMとWebサイトではコミュニケーションの方向が反対であるというのは、あらためて考えさせられるポイントでした。
ちなみに、面白かったのが、ブロガーに商品を送るときの5原則として紹介されていた要素の5番目の「書いてくれなかったとしたら何か事情があるはず。そっとしておこう」。
ブロガー向けサンプル配布で、ブロガーが記事を書いてくれないと、何で書いてくれないのか?という話になるというのはありがちですが、ここをそっとしておくことができるかどうか、というのは一つ難しいポイントになりそうです。
インターネットマーケティングに関わる方は、是非読むことをお勧めします。
【読書メモ】
■オンラインとオフラインの境界
(オフラインの)クリエイティブディレクターが「いいアイデア」と呼ぶのはテレビのアイデア。
■消費者にコンテンツを製作させたいというクライアントは多いですが、どこまでコントロールをギブアップできるか、十分に考えられていない
■「パリティ」つまりブランド間の差がない状況が起きて久しい。
■広告活動の2極化
・マス広告に頼ってきたものの環境変化に対応しきれないマスマーケティング企業
・ネットという顧客獲得ツールを駆使するものの、ブランディング活動の有効性を活用しきれない企業
■プッシュ型からプル型のコミュニケーション開発へ
・プロダクトコーン理論:15秒間で刺さるコミュニケーションのテレビCM
規格→ベネフィット→エッセンス
・スプレー理論:見込み客が「買う理由」を探しに来るWebサイト
体験価値←ベネフィット←規格
■メディアミックスとクロスメディア
・メディアミックス(メディアを足し算)
到達効率を基準とした短期的なコスト配分モデル
・クロスメディア(メディアを掛け算)
マーケティングの時間軸ないし生活者との接点を複層的に捉え、各接点の機能を複合的に設計する
■クロスコミュニケーション
コミュニケーションコンテンツとメディアの組み合わせにおいて、特定のコンテンツにおける各メディアの情報深度(レレバンシー)構造をコミュニケーション設計の土台にする
■4つの情報深度構造
・Awareness(商品を知るメディア)
・Conversations(商品を理解するメディア)
・Experiential(商品を体験するメディア)
・Personal(商品を受け入れるメディア)
■エンタテインメントコンテンツの活用の方向性
・オリジナルコンテンツの製作
・既存コンテンツの2次利用
・エンターテインメント企業とのコラボレーション
■オンラインのクチコミならではの要素
・伝播の範囲
・伝播の速度
・伝播の確度
■クチコミマーケティングの4つのステップ
・Planning(戦略シナリオ作り)
・Seeding(種まき・支持者作り)
・Expanding(拡張・大規模化)
・Retaining(維持・再発信)
■ブロガーに商品を送るときの5原則
・適切なブロガーを選択しよう
・なぜ選出されたのかブロガーに教えよう
・ブロガーに与えたものは、そのブロガーから隠さずに開示してもらおう
・商品の感想は自由に書いてもらおう
・書いてくれなかったとしたら何か事情があるはず。そっとしておこう
(オグルヴィパブリックリレーションズ ロヒトバルガヴァ氏)
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