みんなの「知識」をビジネスにする (兼元謙任、佐々木俊尚)

4798113913 「みんなの「知識」をビジネスにする」はOK Waveの兼元謙任さんと佐々木俊尚さんの対談形式でまとめられている本です。
 献本をいただきましたので、読書メモを公開しておきます。
 この本で主なテーマとなっているのは、以前ブログでも取り上げた「クラウドソーシング」というキーワード。
 個人的にも非常に注目しているキーワードなのですが、OK Waveはそのはしりに近いことをWeb2.0ブームの以前からやっている会社で、兼元さんの言葉のはしばしに、そういうクラウドソーシング的な事業を展開してる会社ならではの要素が出てくるのが興味深いところです。
 ちなみに、個人的に印象に残ったのは、デザインにおける日本とヨーロッパの文化の違いのくだり。
 日本のデザイン力はボトムアップで民衆から出てきているのに対し、ヨーロッパは、貴族がパトロンになった形のトップダウンのアートという大きな違いがあるようです。
 そういわれてみると、最近注目されているお絵かき系のサービスなんかも、日本だとすぐにクオリティの高い画像が次々に生成される印象がありますし、そういったみんなの力を集めて何かをやるというのは、やはり日本ならではのアプローチというのがありそうな気がますますしてきます。
 まずは、クラウドソーシングの基本的なコンセプトを押さえたいという人には役立つ本だと思います。


【読書メモ】
■お金、情報の次は興味だ
■ゼロ次サポートをユーザーとともに助ける
・0次サポート:メーカーが関わらなくて良い外部の問題
・1次サポート:すぐに答えられる回答
・2次サポート:きちんと調べて答えなければならないようなもの
・3次サポート:スペシャリストが出ていかないと解決できないもの
■以前はローカルで話し合い、ローカルで解決して封じ込めておけばよかった問題が、テーブルに並べられてしまうのがインターネットの世界
■日本とアメリカの文化差をみると、日本人にはかなり群れたいという要素が残っている。だからその群れたい欲求を満たすために、若い社員がみんなmixiに行っちゃう
■欧米の場合は、文化が組織の外と内で同じ
 日本では別文化が生まれてしまいがちで、SNSとリアル組織でデュアルカルチャー的にやっていくしかない。(山崎氏)
■企業は売り上げが上がると、その理由をなにか一個の固定した要因に集約させたいとつい思ってしまう。実際にはいろんな要因が重なって相乗的に機能してたり全体に波及してたりして、相互作用で一個の結果が生まれてくる。
■情報は溢れていて、人はその情報の多さに疲れ切っている
 これからはもっと人が見える、もっと顔が見えるようにわれわれのほうでご案内する方向にシフトせざるを得ない(ニフティ前島氏)
■ユーザーの提案を商品に落とし込むデザイナーの役割は最後まで集合知化できない(エレファントデザイン長田氏)
■潜在市場
 一般向けの商品の中にはしかたなく使っている人が多くて、もっとグサッと刺さる商品が作れるかもしれない。(エレファントデザイン谷岡氏)
■日本のデザイン力は、世界で見てもピカイチ
・日本「みんなの思い」:日本のデザイン力は民衆から出てきている
・ヨーロッパ「自己主張」:アートがあって、それを貴族がパトロンになって育ててきた(アッシュコンセプト 名児耶氏)
■モニターはヒントをもらう場所
 チェック機構ではあるけれど、最終決定機構にはしていない(アッシュコンセプト名児耶氏)
■人は「僕は○○企業の社員です」という前に、1人の生活者
 社員を奴隷のように考えるんじゃなくて、社員は一緒に買ってくれるお客さんなんだ、って発想になって物事を考えていく

4798113913 「みんなの知識」をビジネスにする
兼元 謙任 佐々木 俊尚
翔泳社 2008-03-19

by G-Tools

“みんなの「知識」をビジネスにする (兼元謙任、佐々木俊尚)” への1件のフィードバック

コメントは受け付けていません。