なぜケータイ小説は売れるのか (本田透)

なぜケータイ小説は売れるのか (ソフトバンク新書 63) 「なぜケータイ小説は売れるのか」は、ケータイ小説の背景について考察されている本です。
 出版社の方に献本頂きました。 
 個人的には、明らかにPC世代のため、ケータイはなんだかんだ努力して使ってみるものの、メール、mixi、R25、モバツイッターぐらいにしか使えてません。
 当然、ケータイ小説の本質も全く理解できていなかったので、この本は非常に助けになりました。
 特に印象的だったのは、ケータイ小説が売れているのは地方都市であるというくだり。
 東京と、地方とで、PCやケータイの利用傾向に、差が出てきているというのは、地方出身者としてはイメージとしては想像できなくもないのですが、もう東京に住んで10年が経過していることもあり、すっかり抜け落ちていた視点でした。
 
 ケータイ小説は、CGM的なネットのコンテンツが書籍となることで収入をあげているという、ビジネスモデルとしても興味深いのですが、社会環境的な視点からの分析というのも刺激になる本だと思います。
 私のようなPC世代だけどケータイ系の勉強をしたいという方にオススメです。


【読書メモ】
■ケータイ小説は「ライブ」
 「当時、月間300万ビューくらいあって、毎日何百通もの感想メールが送られてきます。それを読むと、彼らの身の回りで起きている「現実」の方が「物語」よりずっと厳しいんです。」(「Deep Love」 Yoshi)
■ケータイ小説本が100万部を超えたというニュースを聞いて、「いったいどこで売っているんだ?」と首をかしげる人も多いだろう。(中略)
 答えは、「地方都市」なのだ。
■「恋空」のファンは、この美嘉の「自分語り」に共感しているのだろう。
■電車男と恋空
・電車男は「実況中継」。
 電車男の物語と、同時にその物語に対する「突っ込み」を内包している
・恋空は「小説」
 読者も感想を述べることはできるが、「物語」の中に直接突っ込みを入れることはできない。
■小乗と大乗
 小乗の物語は即効性のある薬で、大乗の物語は革新的な新薬
 市場に流通する物語の8割以上は、おそらくはこの「小さな物語」である。
■同じ教室にいる生徒が「赤い糸」と「涼宮ハルヒの憂鬱」とに分離している
・恋愛新興にどっぷり浸かったクラスメイトの少女がケータイを使って「恋空」や「赤い糸」を読んでいる・
・その横で、自意識に目覚めてしまった少年は「涼宮ハルヒの憂鬱」などのライトノベルを読みながら、現実には存在しない学園、セックスやレイプや妊娠やドラッグに犯されていない学園を脳内に幻視する。

なぜケータイ小説は売れるのか (ソフトバンク新書 63)
なぜケータイ小説は売れるのか (ソフトバンク新書 63) 本田 透

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